宿屋にて【4】
リンがあおいの服を着せてもらったり、天界のコインを見せてもらったり、他愛のない話をしているうちに時間は過ぎ、夕食の時間となった。
リンは元の服に着替え、二人一緒に食堂へと向かった。
「こんばんは。リンが世話になったね。たくさん食べて行きな。」
女性店主と挨拶を交わし、二人で食事を摂る。
「あおいちゃん、これから一週間、何して過ごすの?」
「街を色々見て回ろうと思ってるよ!」
「じゃあ、よかったら私も一緒に連れて行ってよ!」
「一緒に来てくれるの? 嬉しい!」
会話を弾ませながら、食事の時間は過ぎていく。
部屋に戻り、相変わらずあおいとリンは二人で話していた。
「リンちゃん、お風呂はどこにあるの?」
「え、お風呂? そんなのうちにはないよ!」
「お風呂がないの!?」
「お貴族様のお屋敷か、高級な宿屋にしかそんなのないよ! あおいちゃんってお風呂に入ったことがあるの?」
「毎日入ってたよ!」
「毎日入ってたの!? やっぱりあおいちゃんは元々お貴族様だったのね!」
「違うの!」
「違うの!?」
「違うの! でもじゃあ、お風呂に入れないのか……」
あおいは悲しそうに項垂れた。
「うん、入れないよ。水浴びならできるけど……あとは体を拭くとか……ほら、そこの桶にお湯を貰ってきて、タオルで体を拭くの。」
「水浴びか……じゃあ後でお湯を貰ってこようかな。」
「でも、あおいちゃんの魔法でお風呂とか入れないのかな?」
「お友達手帳で? 入れないんじゃないかな……」
「でも、空を飛んだりはできるんじゃないかな?」
「お空を飛ぶの? どうやって?」
「分からないけど……風とお友達になるとか……」
「風とお友達に……」
あおいとリンは、窓の外を見つめる。外には大きな月が一つ浮かんでいる。
「わからないけど、やってみる価値はあると思うの!」
「明日、色々試してみようかな。」
「うん、一緒に色々試してみようよ、あおいちゃん!」
「うん!」
二人は別れの挨拶をし、リンは自室へと戻って行った。
あおいは桶にお湯を貰ってきて、体を拭いた。
「そういえば、リンちゃんもお友達手帳に加わってくれるかな……」
あおいは今日の出来事を思い返しながら、ゆっくりと眠りについた。




