表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/17

宿屋にて【3】

「――我が名はあおい、神の名のもとに力を行使する者。」

あおいの足元に金色の魔法陣が出現し、あおいを眩い光が包む。そして手に持った杖の宝具は輝きを放つ。

「サモン、ブルー!」

あおいの正面に浮かんだ友達手記の一ページ目が開かれ、部屋いっぱいに魔法陣が広がり、そこには光を纏いながらブルーの姿が現れた。だが、その体躯が巨大なため、部屋がいっぱいになってしまう。

「うぎゃ!」

壁に押しやられたリンが、何やら苦しそうな声を放った。

「ブルー、さっきぶりだね!」

「あおい……ここは一体どこだ? なんと窮屈な……」

「さ、サファイアタイガーだ……」

ブルーの姿を見たリンが、ガチガチと歯を鳴らしながら全身を震わせた。

「この人間は何だ? あおいは我に食料を取ってきてくれたのか? ありがとう。」

「違うの! 食べちゃ駄目!」

「食べちゃ駄目なのか……」

ブルーは少し項垂れた。

「食べ……」

リンはへたり込んだ。

「リンちゃん、ブルーの言葉が分かるの?」

「ううん、私はあおいちゃんが言ってることしか分からないよ。ブルーはさっきから唸ってばかりだよ。ブルーと話せるの?」

「今話してるよ!」

あおいはブルーの頭を撫でながら、先程の話をした。


「ふむ……確かにあの森にいると、人間が時々我らを襲いに来ることがある。そして狩られていった同胞達も少なくはない。」

「だからね、お友達手帳の中に入ってくれたら、安全だと思うの。」

「しかし、その中はどうなっているのだ?」

「最初は何もない空間で、中に入った人が望む世界になるんだって。食べ物も道具も、思うままに出すことができるって。それか、呼び出されるまで眠りにつくことができるって。」

「では飢えることはないということか。」

「うん、神様はそうおっしゃってた。」

「ならば中に入っても構わない。」

「本当? それなら私も安心できるよ!」

あおいは嬉しそうに、ブルーの頭を撫でる。

「先程から我の頭を撫でているが、心地よいものだな。」

「よかった。」

あおいは微笑み、ブルーを撫で続ける。

「あ、あおいちゃん……」

「リンちゃんどうしたの?」

「私もブルーをさ、触ってみたい。」

「ブルー、リンちゃんも触りたいって。いいかな? 彼女は私のお友達のリンちゃん。」

「人間の小娘か。あおいの友ならば構わない。」

「リンちゃん、いいって!」

「や、やったあ。じゃ、じゃあ失礼します……」

リンはおずおずと、ブルーの背に触れた。

「ふかふか……凄い……サファイアタイガーなんて初めて触った!」

リンは震えながらブルーの背を撫でる。

「綺麗……」

「ブルー、リンちゃんがブルーのこと綺麗だって!」

「ふむ……嬉しいものだな。それで、いつその本の中に入るのだ?」

「じゃあ――始めるね!」

あおいは目を瞑り、呟く。

「――我が名はあおい、神の名のもとに力を行使する者。」

魔法陣が浮かび、眩い光があおいを包む。

「――フィックス、ブルー!」

ブルーの体が光に包まれ、その光はブルーの体と共に、友達手記の一ページ目へと吸い込まれていく。

「凄い……」

ブルーが消え、少し荒れた小さな部屋の中でリンはそう呟いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ