宿屋にて【2】
「あおいちゃんは、家出したの?」
リンは用事を済ませた後、あおいの部屋で紅茶を飲みながらゆっくりと過ごしていた。
「ううん、家出した訳じゃないんだけど……なんて説明したらいいか、難しくて。」
「そうなんだ。私、あおいちゃんが天使様だって言われても、信じるわ!」
「そ、そんなんじゃないよ!」
あおいは暫し考えた後「多分……」と呟いた。
「そのお洋服も素敵ね! ああ、私も一度でいいからそんな服着てみたいわ!」
「私も素敵だと思う。このお洋服も神様から頂いたの!」
「え、神様?」
「あ……」
あおいは表情を固め、目をぱちくりさせた。
「神様っていうニックネーム? ……そんな訳無いか。」
「あはは、何でもないの。気にしないで!」
「そう? なら気にしないけど……」
「そうだ、よかったらリンちゃんも何かお洋服着てみる?」
「いいの!? 着てみたい!」
「うん! じゃあ……これなんてどうかな!?」
そう言ってあおいは、無限収納から一着のドレスを取り出した。
「ええええええええええええ?」
「ああああああああああああ!」
お互いに凄い形相で叫び、その声を聞きつけてやって来た店主の女性に叱られるのだった。
「あおいちゃんは、やっぱり天使様だったの? それとも魔法使いのお姫様?」
「こ、これはね、実は……」
あおいは、これまでの経緯をリンに話した。
「あおいちゃん……」
リンは泣きながらあおいに抱きつくのだった。
「そんな辛いことがあったんだね……でも神様に助けられて、今は生きてるんだね……」
「うん、だからね、これからはたくさんお友達を作って、幸せになろうって思うんだ!」
「うんうん、幸せになろうね!」
「リンちゃん、凄い顔!」
「だってえ!」
あおいは笑い、リンは泣くのだった。
「でも青い虎って、もしかしてだけど……」
落ち着いたリンは、あおいと二人椅子に座り話している。
「サファイアタイガーじゃないかしら……」
「サファイアタイガー?」
「別名、青い悪夢。その美しい見た目に反して、その凶悪さは凄いって。一匹で街を壊滅させられるくらい強いっていう……」
「でも、ブルーは優しいよ。」
「それは、神様に頂いた力のお陰なんじゃないかな……」
「そうかもしれないけど……」
「この街の近くにある、入らずの森にも住んでるって聞くし……冒険者様達が定期的に倒しに行ってるみたいだけど。」
「そうだったんだ……ブルー大丈夫かな。」
「お友達だったら、心配だよね……」
「そういえば、このお友達手帳には他にも使い方があってね、この中にお友達を入れることもできるみたいなんだけど……」
「じゃあ、そのブルーも入れておいた方がいいんじゃないかな? サファイアタイガーの毛皮や剥製を飾ってるお貴族様もいるんだよ。」
「そうなんだ。じゃあ、ちょっと……呼んでもいいかな?」




