王宮
一週間が経ち、あおいは換金所へと来ていた。
「あおい様、お待ちしておりました。これから王宮へ向かいますが、よろしいでしょうか?」
「はい。」
あおいはレイモンに連れられ、王宮へと向かった。
通された広い応接室で暫く待つと、複数の大人達が室内へと入って来た。
「私はルイズ・ヴェル・シュタイン。この国の王だ。」
「初めまして、私はあおいです。」
「話は全て聞いている。固くならずにゆっくりするといい。」
国王が椅子に座り、他の者も全員が椅子に腰を下ろした。
「あおい、何も無い空間に手を入れる事ができるようだが、まずは実際にここでやって見せて貰おう。」
あおいは「分かりました。」と言って右手を無限収納へ突っ込んだ。周囲から「おお……」という声が漏れる。
「あおい、そなたを王家に迎え入れようと思う。親もなく家もなく、異端の力はあれど、孤児なのだろう。歳はいくつだ?」
「十歳です。」
「見た目より歳は取っているのだな。六歳か七歳そこらに見える。――それで、あおいには私の養子となって貰う。そして別邸で暮らしてもらう。よいな。」
「養子になったら、私はどうなるんですか?」
「この国の第二王女となり、神から授かった力は己のため、そして王家のために使って貰う。」
「神様からいただいたコインはどうなりますか?」
「全てあおいの物だ。しかし必要に応じて、この国の貨幣で買い取らせて貰う。コインはどれ程あるのだ?」
「……数え切れないくらいあります。」
「ふむ。盗まれぬよう、くれぐれも大事にすることだ。」
「あの……」
「気になることがあれば何でも聞くといい。」
「王様が、私のお父さんになるっていうことですか?」
「そうだ。そして王妃があおいの母親となる。身の回りの世話をする者を常に付け、護衛を常に付け、身の安全は保証される。食事や生活の心配をする事もなくなる。衣服や装飾品も定期的に買い与える。ただ、礼儀作法、帝王学等の教師を付けて勉学に励むことになる。望むならば学院に通うこともできる。」
「お父さん、お母さんとは一緒に暮らせるんですか?」
「別邸での暮らしとなるため、共に過ごす時間は少ない。望むならば、その都度共に食事をとる事はできる。」
あおいが暫し考えていると、紅茶が用意されたため、一口飲む。
「私は、一度この国で攫われた事があります。何も知らずに悪い人について行って、攫われました。とても怖くて、何もできなくて、何とかブルーに助けて貰って帰って来られました。」
国王は静かに紅茶を飲み、耳を傾ける。
「私は正直、怖いです。何か悪い事に巻き込まれるんじゃないかって……」
国王は目を細め、あおいを見つめた。
「あおいが悪いことに巻き込まれないために、王家に迎え入れるのだ。――あおいの力は未知の力だ。その力を振るわれては、こちらもただでは済まない。何者かに強要され、その力を使うことになるかもしれない。そのような危険を放っておくことはできない。王家があおいを守ることは、この国のためでもあるのだ。」
あおいは暫し紅茶を見つめ、そして国王に目を移す。
「本当の家族のように……愛してくれますか?」
「血を分けた娘のように、あおいを愛そう。」
「お父さんって、呼んでもいいですか?」
「うむ。お父さん、お母さんと呼ぶといい。」
「……分かりました。私の事、よろしくお願いします。」
「では書面に目を通して、サインを書き記すのだ。」
傍にいた男性が書類を用意し、あおいの前に差し出す。
あおいはその書面をゆっくりと読み、サインを書いた。
「あおいはこれで王家の一員となった。これからは名を改め、あおい・ヴェル・シュタインと名乗ることだ。」
「あの……昔の苗字はなくなっちゃうんですか?」
「あおいが望むなら、ミドルネームにするといい。」
「広瀬と言います。」
「では、あおい・ヒロセ・ヴェル・シュタインとする。」
「分かりました。」
「これからの事だが、王家に養子を迎えた事、第二王女が誕生した事は、国内外に周知しなくてはならない。そのため、近々あおいのお披露目をする場を設ける。その事を覚えておくように。そしてあおいのこれからの生活だが、別邸に、あおいに相応しい部屋がある。これからはそこを自室として使うといい。案内させよう。」
応接室にいるみんなが立ち上がり、あおいはバトラーと名乗る男性に連れられて、別邸へ向かうこととなった。
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