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換金所にて

約束の一週間が経ち、あおいは換金所へとやってきていた。

「あおいお嬢様、いらっしゃいませ。お待ちしておりました。」

「店員さん、どうでしたか?」

「成分を調べたところ、銅、銀、金、白金、ダイヤモンドに関しては、お嬢様の仰った通りの本物。純度も最高で素晴らしい物だということが分かりました。ダイヤモンドに関しては、この世界に二つとない程精密な装飾が施されており、これも美術品としての価値は非常に高いものであることが分かりました。」

「よかった!」

「それで、残りのミスリル、オリハルコン、アダマンタイトに関してですが……こちらは未知の鉱物であることが分かりました。そして、それぞれ御伽噺に存在する通りの性質を持つことも分かりました。オリハルコンに関しては、未だに分かっていない点が多く存在しています。」

「では……」

「はい、お嬢様の仰っている事を信じざるを得ないという事です。」

「では、買取りをお願いできますか?」

「その事ですが……お嬢様には一度、王宮でお話をお伺いする事となったのですが、よろしいでしょうか?」

「王宮ですか?」

「はい。この換金所は、王室と繋がりのある由緒正しい店です。未知の鉱物の発見に当たり、各研究機関と共に、その入手経路も含めて王宮でお話を伺うこととなりました。」

「分かりました。」

「お時間がよろしければ、これから王宮にご同行願えますか?」

男性店員に連れられ、あおいは王宮に向かうこととなった。



「初めましてあおい様、私は王宮で大臣を勤めているゼノスと申します。」

「私は鉱物研究所の所長、アレクと申します。」

「改めまして、私は換金所の店主をしております、レイモンと申します。」

あおいは、それぞれと挨拶を交わした。

「本題ですが、まずあおい様、本当はどちらの貴族令嬢様でしょうか?」

「私は……お貴族様じゃないです。」

「何故お隠しになるのですか?」

「隠していません……」

あおいの言葉に、みんな思案顔となる。

「私は……別の世界からやって来ました。」

「別の世界……」

「はい。別の世界で一度死に、神様にある力を貰って、私はこの世界にやって来ました。その時にコインもドレスもいただきました。」

「見間違えかもしれませんが……」

レイモンはゆっくりと話し始めた。

「あおい様がコインを取り出す際、何も無い空間にその腕を入れているように見えました。目の錯覚だと思っていたのですが……」

あおいは頷き、その腕を無限収納の中に入れた。

「おお……」

「なんということだ……」

「これは一体、どうなっているのだ……」

そしてあおいは、無限収納の中からコインを一枚、取り出した。

「レイモンさんがおっしゃっている事は事実です。これで私が言っている事を信じて貰えましたか?」

「神様から貰ったという力が、それなんですか?」

「はい。でもこれだけじゃなくて、私はお友達を作る力もあります。」

あおいは、これまでの経緯を全て話した。


「では、あおい様はサファイアタイガーをこの場に呼び出すことができるということですか?」

「はい。それと、光の微精霊のウィスプくんも。」

あおいは友達手記を渡した。

「にわかには信じがたいが……嘘を言っているようにも思えない。」

「しかし、もしそれが本当だと言うのなら、王宮で保護するべき存在じゃないか?」

「それは危険すぎるのでは?」

「これは、国王様の意見を聞くべき案件だな……」

「その光の微精霊というのは、危険な存在なのか?」

「いえ、ウィスプくんは光を放つくらいなので、危険ではないと思います。」

「では、それを見せていただけないでしょうか?」

「わかりました。」

あおいは立ち上がり、杖を手にした。


「我が名はあおい、神の名のもとに力を行使する者。」

あおいの全身を光が包み、足元には金色の魔法陣が現れる。

「サモン、ウィスプ!」

友達手記の二ページ目が開かれ、小さな魔法陣と共に煌めく光が現れた。そしてその光は強まり、部屋の中に眩しい光が溢れる。

「これは……」

「眩しい……」

「ウィスプくん、ありがとう。――リターン、ウィスプ!」

ウィスプはその場から消失した。

「これは、認めざるを得ませんな。」

「しかし、サファイアタイガーを見た訳ではないので……やはりサファイアタイガーも見せてもらうべきでは?」

「しかし危険では……」

「ブルーは危険ではないです。その……私が言えば分かってくれます。」

「ふむ……」

「場所を移動しましょうか。」


「ここならば、場所も広く、人目に付くこともありません。」

あおい達は狭い応接室から、広い応接室へと移動した。

「では……」

あおいは呪文を唱え、ブルーを召喚する。

「サモン、ブルー!」

大きな魔法陣が広がり、そこには光に包まれたブルーの姿が現れた。ブルーは辺りを見回すと、牙を剥き出しにして唸り始める。三人は震え上がり、その場にへたり込む。

「あおい、敵か?」

「ブルー、大丈夫。この人達は悪い人じゃないの。」

「そうなのか。」

ブルーは鋭い眼光で三人を見据える。

「これは……」

「サファイアタイガーに間違いありませんね……」

「なんということだ……サファイアタイガーを従えている……」

「ブルーは攻撃しません、大丈夫です。――ブルー、お友達手帳の中はどう?」

「快適だ。」

暫し沈黙が辺りを包んだ。


「これはやはり、一大事ですね。」

「ああ、とんでもない事になった。」

「あおい様は、その、王国に仇なすおつもりはございませんか?」

「そんなことしません!」

「そうですか……」

「このサファイアタイガーは……ブルーは、あおい様に懐いているのですか?」

「懐いているというか……お友達です。」

「お友達……ですか。」

「何か指示を出すことは可能ですか?」

「指示……ですか。」

あおいはブルーに近付き、その頭を撫でる。

「お友達に指示するなんて、何か違うと思います。お願いなら……出来ますけど。ブルー、私を背中に乗せてくれないかな?」

「ああ、構わない。」

ブルーはその場に体勢を低くし、あおいはブルーの背によじ登った。

「こんなことなら、できます。」

「騎馬ならぬ、騎虎なんて……」

「これだけでとんでもない戦力ですね。」

「……あおい様、分かりました。サファイアタイガー、ブルーを戻してください。」

「わかりました。ブルー、来てくれてありがとう。戻すね。」

あおいは呪文を唱え、ブルーは友達手記の中へと戻って行った。


「あおい様は、神様から力を授かった魔法使いなのですね。」

「魔法なんてものが、実在するとは思ってもいませんでした。」

「それとコインに関してですが、全て王宮で買い取らせて頂いてもよろしいでしょうか?」

「はい、勿論です。コインはまだまだたくさんありますし、お金はあまり持っていませんから……」

「銅のコインが五万ゴールド、銀のコインが十万ゴールド、金のコイン、白金のコインが一千万ゴールド、ダイヤモンドのコインが二千万ゴールド、ミスリル、オリハルコン、アダマンタイトのコインがそれぞれ一億ゴールドとなりますがよろしいでしょうか? ミスリル、オリハルコン、アダマンタイトに関してはその有用性が未知数ですから、今後値段は変わってくるかと思います。」

「はい、それでいいです。」

「書面にサインを。」

あおいは書面にサインをし、貨幣を受け取り、全て無限収納へと入れていく。

「国王様にお話しした後、改めてあおい様には王宮に来ていただくことになりますが、その時はまたよろしくお願いします。」

「家がないのですが、どうやって私に連絡を取るんですか?」

「それではまた一週間後、換金所にいらして下さい。」

「分かりました。」

あおいは王宮を後にし、レイモンに連れられて帰路についた。

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