オークション会場にて
あおいは屈強な男性に連れられ、別室へと移動する。そこで縛られたまま待っていると、覆面を被った大人が二人、室内へと入ってきた。
「いやあ、いい買い物をされたと思いますよ!こんな上玉過去にもありませんでしたから。」
「ふふふ……」
二人の覆面は椅子に腰を下ろし、何やら話をしている。
そして、二十七番と書かれた番号を胸に着けた大人が、大きな鞄を、もう一人の大人に手渡した。そして、二十七番は胸の番号札を外しテーブルに置き、あおいの傍へとやって来た。
「ふふふ……」
値踏みするように、あおいの顔を覗き込む。
「縄を外せ。顔が見えん。」
あおいの元へ屈強な男が近付き、その口に宛てがわれた縄を――――外した。しかしあおいは、押し黙る。
二十七番はあおいの口を強引に開けさせ、その歯並びまでを隅々まで見つめる。
「ふふふ……素晴らしい。」
あおいの顔をまじまじと見つめる二十七番は、その笑みが覆面越しでも伝わってくるかのようだった。
「腕が……」
あおいは、ゆっくりと、震える声で呟いた。
「ん?」
「腕が、痛いです……キツく、縛られていて……」
二十七番があおいを後ろに向けさせると、その腕を見つめた。確かに、その腕は赤くなっており、擦り傷が見えた。
「……逃げるかもしれませんよ。」
もう一人の大人が二十七番に向かって呟く。
「手枷は持ってきている……そちらに変えよう。暫し見ていろ。」
二十七番はそう言って、あおいを残して部屋を出て行った。
「なあお嬢様。お前は一体どこの貴族令嬢なんだ? 参考までに家名を教えてくれよ。 」
「私は……お貴族様じゃありません。」
「ははは、嘘が下手なガキだな。まあ明日には分かる事だ。」
「……」
あおいがゆっくりと深呼吸をして気持ちを落ち着かせていると、二十七番が手枷を手に、部屋に戻ってきた。
「……逃げるなよ?」
そう言って、二十七番は手枷をあおいに見せつけた。
屈強な男があおいに近付き、その手の縄を――――解いた。
「我が名はあおい――」
あおいは呟いた。
縄を外したあおいの腕に、手枷を嵌めようと手を伸ばした二十七番だったが、そのあおいの言葉に一瞬、視線を奪われた。
その隙に、あおいは両腕を――無限収納へと突っ込む。
ハッとした二十七番は、すぐに手枷を嵌めようと手を伸ばすも、あおいの腕は、肘から先が消えてなくなっている。
「な、何が……腕が……」
二十七番の驚きの声を無視して、あおいは言葉を続ける。その手には、杖と、友達手記を持っている。
「神の名のもとに力を行使する者!」
金色の魔法陣があおいの足元に広がり、あおいを淡い光が包み込む。手に持つ杖の宝具は美しく輝き、友達手記は浮かび上がる。
「サモン、ブルー!」
瞬時に、友達手記の一ページ目が開かれ、足元に別の魔法陣が浮かび上がり、眩い光と共に、ブルーが姿を現した。その場にいた二十七番は弾き飛ばされる。
「あおい、どうした。」
ブルーは辺りを見渡し、状況把握に務める。
「ブルー、助けて!」
「分かった。」
ブルーは牙を剥き出しにすると、その場から走り移動したあおいを背にし、大人達に威嚇をする。
「サファ……イア……タイガー……」
大人達は呟き、その場にへたり込む。
「何が起きて……」
ブルーが雄叫びを上げる。
「うわああああああああああああああ」
大人の一人が叫び、走り出そうとするも、ブルーの速度には敵わない。ブルーは瞬時に間を詰めると、その腕で大人達を次々に突き飛ばす。
一瞬にして、その場に立っているのはブルーとあおいの二人だけになった。
「ブルー、他にも捕まっている子達がいるの! リンちゃんも捕まっちゃった。みんなを助けたいの! 手伝って!」
「分かった。乗れ!」
あおいはブルーの背に乗り、部屋を突き破って飛び出した。
「サファイアタイガーだ!」
「うわあああああああああ」
大人達の叫び声が聞こえる中、あおいとブルーは走り回った。
そして、あおいとブルーは、子供達の救出に成功したのだった。




