街の散策
あおいは、リンと共に街を歩いていた。
「あそこの屋台の肉串が、高いけど凄く美味しいんだよ!」
「じゃあお昼は、それを食べることにする?」
「んん、お昼にするには少ないかも。お昼にはおすすめのお店があるよ!」
「じゃあそこにしよっか!」
「うん!」
二人が談笑しながら歩いていると、一人の女性が近付いて来た。
「嬢ちゃん二人、ちょっといいかい?」
「はい?」
「最近オープンした雑貨店なんだが、人通りの少ないところにオープンしたせいで、客足が少なくてね。よければこれから見に来ないかい?」
「リンちゃん、どうする?」
「あおいちゃんが見たいなら、行ってもいいよ!」
「少しだけ、見ようかな?」
二人は女性に連れられて、雑貨店に向かうことになった。
人通りの少ない道に入り、歩いている三人。
「オープンする場所を間違えたねえ……やってられないよ。」
「あの……どんな雑貨を売っているんですか?」
「……ん? ああ、髪飾りやブローチなんかを売っているよ。」
「楽しみだね、リンちゃん!」
「うん……」
「リンちゃん、どうしたの?」
「実はね、この辺、本当は来ちゃいけない所だから……」
「え?」
「お店もうすぐかな? もしかしたら、帰った方がいいかも……」
「そうなんだ……どうしよう。」
二人が相談している矢先、女性は立ち止まって振り向いた。
「着いたよ。さ、中に入って。」
「は、はい……」
「ここが、お店……」
「店は奥の部屋なんだ。ほら、入って。」
二人は恐る恐る、その店へと足を踏み入れた。
女性に後ろから背を押されるように、奥へと進む二人。そして奥の部屋へと辿り着くと、そこには雑貨も何も無く、複数名の男女がいる小さな部屋だった。
「あの……お店は?」
恐る恐る聞くあおいの言葉を無視し、女性は部屋の中へと言葉を飛ばす。
「どうだい。中々上玉だろう。」
部屋の中にいる男女が、それぞれ声を上げる。
「お貴族様のお嬢様と、その従者……といったところか。貴族に手を出すなんて、中々どうして、怖いもの知らずだなあ。」
「まあ悪くないんじゃないか? 身ぐるみ剥がしゃ身分なんてあってないようなもんさね。」
「この服も上物だし、売りゃ相当儲かるんじゃないかい?」
「いや、服とセットで売るからこそ価値が跳ね上がるってもんだろう。」
男女が話し合っていると、この部屋に連れてきた女性の後ろから、更に複数の男性があおい達を部屋に押し込むようにやって来た。
「服はセットで売ろう。ほらさっさと行くぞ。仕事は速さが命だぜ。」
男達は、困惑しているあおいとリンの両手を手際よく縛り、その口にも縄を宛がった。
そして二人は、多くの大人達に囲まれながら、暗い路地を進んだ。




