旦那様へ
信じてください旦那様。私は潔白です。
私が奥様の真珠のイヤリングを盗んだというのは濡れ衣でございます。
奥様もメイド頭のホリーさんも、はなから私を犯人だと決めつけてまともに取りあっていただけません。そこでレベッカお嬢様のお手を借り、文をお渡しいただきました。
奥様のお怒りはごもっともです。旦那様が奥様の誕生日に贈られた大切なイヤリングをなくされたのですから。そして奥様のお部屋の掃除をした私が疑いをかけられるのも、無理のないことです。
また、私はホリーさんに仕事のことでよく叱られています。ですからホリーさんがイヤリングを盗んだのは出来の悪い私に違いないと奥様に言ったことも、悔しいですが理解できないことではありません。
しかし私は本当にやっていないのです!
第一、イヤリングを片方だけ盗んでなんになりましょう? きっと何かのはずみで転がり落ちてしまったのではないでしょうか。
疑いをかけられてすぐ、私は身体も部屋の中もつぶさに取り調べられましたが、当然ながらイヤリングは出てきません。ホリーさんは私が屋敷のどこかに隠しておいてあとで回収するつもりなのだろうといって、私がその隠し場所を明かすまでこの暗くて寒い納屋から出さないといっています。もう2日何も食べていません。このままでは寒さと飢えでまいってしまいます。
旦那様、どうか私をお助けください。もしも疑いが晴れて再び仕事を任せていただけるのなら、誠心誠意お仕えします。
ソフィア・ホワイト