5人の魔王
各属性を極めた5人の魔王は全員酷い傷を負っている。
幾ら魔王であれど立ち上がることさえ難しい程の傷は杖を持てなければ治すことは出来ない。それに、例え杖を持てたとしても魔王たちは自らを回復させる魔力すら持っていなかった。
「ねぇ。みんな生きてる?」
「まぁね」
「……当然」
「辛うじて」
「勿論よ」
5人の誰もがこのままでは死に絶える運命にある。それは皆分かっていた。
「今から、みんなで魔法を使わない?」
「杖も無しに?」
「……魔力も無いけど」
「大丈夫。もうこれの魔法には魔力を込めてある。後はみんなの同意で起動できる」
「そう言えば、以前、私達みんなに魔法の手伝いをして欲しいって言ってたね」
「そう。みんなに協力して貰った魔法。あれならまだ生きられる可能性がある。こんなに早く必要になるとは思ってなかったから細かい調整は出来てないけど、悪いようにはならないと約束しよう」
各属性魔法のエキスパートである魔王が協力して創った魔法。
「この場にいる5人を長い時間をかけてゆっくり治療する。目が覚めるのは何年後かも分からないけどね」
「良いよ。やって」
「同じく」
「早くして」
「お願いするわ」
「それじゃ、いくよ……!」
既に話をしていたことで満場一致で魔法を発動することになった。
5人が6色の魔力に包まれる。
こうして5人の魔王たちは長い眠りに着いた。本来なら一人用の魔法だが、それを5人まとめての使用。当然時間は5倍以上かかる。そして、5人の魔王は瀕死の状態から元通りに復活するのではなく、長い時を経てその存在を進化させていくのだった。