悪役令嬢と悪徳令嬢
部屋で対峙する令嬢二人。
片や口が悪くぶっきらぼうな態度から嫌われていた女、片や人当たりが良く王子から求婚されるほどの美女。
見下ろす者と見上げる者。
四角い窓と窓の間。その視線は上から下へ、下から上へ……
嘘よ、こんなの!こんなの絶対嘘……!
嫌だ!死にたくない……!
悲鳴に近い甲高い声が部屋に響き渡る。
床にへたり込みわめく女と、離れたところに立って静かにそれを見下ろす女。
ふと二人の視線が交錯する。
□ □ □
私、何もしてないわ。
悪い事なんてなんにもしてない。
あはは、なんだか笑えてきちゃう。
大勢の兵士、無数の剣先に囲まれて。
なんで……どうして……
なんてそう言うあなた。
せいぜい醜く死んでちょうだいな。
みんなの嫌われ者。冷ややかな視線に囲まれ。
でもそれは過去の話。今の私は……
愛し愛され素敵な恋人生活に、仲間にも恵まれて充実した毎日。
別にいいじゃない、ちょっと話を盛っただけよ……何の罪もないわ。
あなたは私を見てそう言った。
私の婚約者を盗るつもり?見え透いた嘘、そんな小手先のテクニックで。
結局真実は暴き出され、こうしてここにいるのだけど。
今までのいくつもの虚言、お涙頂戴の演技……全ては婚約破棄を仕向けるためのもの。
美貌があれば何でもできる、何でも手に入れられる。この世の全て欲しいまま。
……とでも思っていたのかしら。
華やかな宮廷生活、それでも品良く慎ましく生きる。それが貴族、ましてや王族というもの。
そんなの当たり前だと思っていたわ。
好き勝手やりたい放題。貧乏な家の出でずっと我慢してきたんだから、これは仕方のないこと……
ふざけた事を平気で言うのね。
まったく、有頂天なのはどちらかしら。
王子に見初められ宮廷に入った絶世の美女と、偶然生まれが良かっただけのただの令嬢。私とあなたじゃ違いすぎるのよ、調子に乗るんじゃないわ。
それは、初めて会った時あなたに言われた言葉。
救いようのない馬鹿。
ほんと、久しぶりだわ。
あなたとこうやって向き合うのは。
いつぶりかしらね。
ごきげんよう、と互いに挨拶を交わした。
□ □ □
座り込む女の周りを取り囲んでいた兵士達は、互いに目配せすると一斉に剣を振り上げた。
ダイジェスト版ざまぁ。
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