なりたくて★1になったわけじゃない
★1キャラの朝は早い。
毎朝起きて鏡を見るたびに思う。なんて地味な見た目なんだろうか。
★1キャラというのは大抵の場合装飾がほとんど無いに等しい、せいぜい申し訳程度のアクセサリーがつけられるくらいだ。
私に与えられた衣装は無地の生成色のワンピースで、茶色のボタンが右肩に3つ付いているだけの決して華やかとは言い難い衣装だ。
その一方で★4以上の方達の煌びやかさといったら・・いや、やめておこう。こんなことを考えても虚しくなるだけだし。
この世界「ガールズ♡ジャンクション」通称「ガルジャン」には5種類の女の子が存在する。
★5、★4、★3、★2、そして私と同じ★1
★5の女の子。それはみなの羨望の対象であり、この世界の絶対的権力者。総勢300人以上の女の子が住むガルジャンの世界に、たった8人しかいないスーパーレア。
もちろんビジュアル・ステータスのどれをとっても桁違いで、まさしく頂点と呼ぶにふさわしい方達だ。
★4の女の子達は★5の方達と比べてしまえば少し見劣りするかもしれないが、それでも十分に憧れの存在と言えるだろう。こちらもわずか30人ほどしかいない。
ここまでがこの世界での所謂「勝ち組」。★4と★3の間には決して超えられない大きな壁が存在する。
★3〜★2はこの世界の大多数を占める普通の女の子たち、色々な面でそこまで大きな差はない。
だけど★3の子は★2の子を内心見下していたりするし、★2の子は★1じゃなくてよかったと思っているだろう。
★3、★2の子達はパーティーメンバーの補欠に加えてもらえたりすることもあるし、完全にハズレともいえないだろう。
そして★1、圧倒的ハズレの女の子、つまり私。
★1の女の子の数はあまり多くない、私含めて12人しか存在しない。
通常ピラミッドのように最下層の数が一番多いと思われがちだけど、この世界で一番多いのは★2と★3だ。
数が少ないなら逆にレアじゃんって?それは★2の女の子が私をからかう時に言うセリフだ。
★1の子達は圧倒的にステータスが低い。ビジュアルも地味だし本当にいいところがない。
でもみんななりたくて★1になったわけじゃ無い。★5とまではいわなくてもせめて★2になりたい。
でもこのガルジャンの世界では生まれ持った★の数は一生変わることはないのだ。