何がなんでも異世界転生したい!〜何回死んでも神が異世界転生の邪魔をしてくる件〜
この作品はフィクションであり、実在の人物及び団体とは一切関係ありません。
俺の名は異世界転生!どこにでもいる一般社畜だ。今日もいつも通り深夜2時に帰宅だ。はぁ。疲れた。目の前が真っ暗だ。早く家帰って寝よ。
「おい、あんた!危ない!」
「え?」
キキキー!
やばいトラックだ。このままじゃ俺、死ぬ。
「ああ」
ここで終わるか。短い人生だったな。出来れば次はファンタジー風の世界でイケメンに生まれて女の子とイチャイチャハーレムを築きたいなあ。
ドサッ!
「ん?ここは?」
真っ白な壁に柔らかく暖かなベット。俺を呼ぶ声が聞こえる。は。もしかして、これは……!
「転生さん?異世界転生さん?やっと、起きましたね」
美少女だった。美しい天使。普通の人じゃ着ないような服だし、めっちゃ可愛いし、もしやこれは異世界転生ではあるまいか。
「あの?ここは?」
「異世界病院ですよ。あなたはバスに轢かれかけて失神したところを救急車で搬送されたんです」
「なるほど。ご迷惑をおかけしました」
ちげえじゃん!全然ちげえじゃん!何が異世界だ!病院じゃねえか!よく見たら可愛いだけのただのナースだわこれ。そりゃよく見かけない服なわけだ。医療用白衣なんて、一般人が着るわけねぇよなぁ!
「えっと、お世話になりました。医療費の方は?」
「初診で夜間診療も含みますので、7620円になりますね」
「わかりました。ありがとうございました」
えーーー!高くない?だって俺寝てただけだよ!寝てただけで7620円とか……。くそ。異世界転生め、許さねぇ。俺が異世界転生した暁には、異世界の全てを滅び去らせてくれるわ。
☆★一方その頃天界では★☆
「危なっ。コイツやばそうだなって思ったから異世界転生させないようにトラック目の前で止めて良かったー。絶対異世界転生させたらやばい系ピーポーじゃん。別の世界の女神は、自分自身が異世界転生の道具にさせられたらしいし、私もそうなったらやばいし。直前で運命変えといてマジ良かったー。ってかなんだよ異世界転生って。名前そのまんまじゃねーか。コイツは要注意人物として見張っておこっと」
「どうしたんですか?ブツブツ呟いて。せっかくのお可愛いお顔なのに、行動がキモオタみたいですよ」
「キモオタとか言うなし。私、神様なんですけど、誰もが羨む女神様なんですけど」
「階級と特性は関係しませんよ。女神だからってキモい人はキモいんです」
「ぐぬぬぬぬ」
「はわわ。喧嘩はダメですよぉ〜」
ベキン!
「あいたたたぁ〜。何するんですかぁ〜」
「はわわと言った者には罰を下すと法律で決まっているんですよ」
「そんな法律ないですよぉ〜。ふえ〜ん」
☆★それから数日後の人間界★☆
はー。もう嫌になっちゃうよ。ベットで寝ただけで金取られるわ。会社で残業をさせられるわ。散々だ!あーもう。今日は3時だよ。日に日に帰る時間が遅くなっていく。やってらんないぜ!こんな日は酒でも飲まねえとっと?
なんだ?あいつ?俺に向かって走ってくる?いや、まさかな。
「ハァハァハァ。えいっ!」
「な……。ガハッ!」
ぐぬぅ。痛え。痛すぎる。ああ、血が流れ落ちてゆく。今度こそ、死んだかな。ああ。ラノベの主人公は……こんな痛みを負っていたのか。やっと気持ちが……わかったぜ。あばよ。現世。
ハッ。どこだここは?あれ?あいつは、さっき俺を刺したやつだ。どういうことだ?時間が巻き戻されている?もしかして、俺は時間を巻き戻す能力を手に入れたのか?
ならば試すしかあるまい。時間よ巻きもどれ!
ヒュゴオオー!
一陣の風が巻き起こった。もしかして、これはっ!
「え?うわぁぁーー!」
一陣の風に吹き飛ばされた。俺が呼び出しんじゃねぇのかよ!ただの自然現象かよ!ビルの近くだったからビル風がめちゃくちゃ強くなりましたって?いや、信じられねぇよ!こんなこと起きるわけねぇだろ!いや、まあ、起きとるやろがいって言われたら何も言い返せないが。
「うわぁぁーー!」
ビターン!
痛ってえ。何かと思えば俺の家か。歩かなくていいのは楽だが、欲を言えばもっと優しく運んで欲しかったぜ、まったく。ま、自然現象に言ってもしょうがないけどよ。なんか最近不幸続きだな。
☆★天界★☆
「あーー!やばい!」
「どうしたんですか?大声をだして。酔っ払いのおっさんみたいですよ」
「緊急事態系だわ!人間界で自分好みのイケメンを探してたら、例の男が刺されちゃったよ!マジどうしよ」
「別にいいじゃないですか。ちゃんと法律通り転生させてあげれば」
「ダメダメ!このままじゃまずいって。きっといつかスライムかなんかになって天界にやってきて、私にひどいことをしてくる系ピーポーだからあいつは。私ってば超がつくほどのスーパーハイパー美少女だからさ☆ハァ。美しいって……罪ね。醜さを知りたい」
「顔面ボコボコにして、その顔醜くさせて差し上げましょうか?ま、そんなことより、ヤバイんじゃなかったのですか?」
「怖っ。天使ちゃん怖っ。女神の私にそんなこと言っちゃうとか、怖っ。そんなことより、どうしよ。神の奇跡使っちゃう系でいくしかないか」
「いいんですか?一介の人間如きに神の奇跡なんて使って」
「別にいいんじゃね。とりま、時間逆行使っといてっと……。ダメだ。コイツ惚けてて全然うごかねー。めんどーだし、風の奇跡で吹き飛ばしちゃえ」
「うわー、雑ですね」
「人間さんが可哀想ですよぉ〜」
「よしこれにて一件落着。イケメン探しに戻ろっと」
☆★人間界★☆
バスに轢かれかけたり、ナイフで刺されかけたり、散々だよ。まったく。お祓いにでも行くか。そういえば、車で1時間くらいのとこにそこそこ大きな神社があったな。そこ行ってみるか。
真っ赤で大きな鳥居。大きな本殿。とても立派で荘厳な景色。ここなら、祈祷も期待できるんじゃないか。あれ?それにしてもここ、こんなに大きかったっけか。ま、いいか。
「すいません。お祓いをお願いしたいんですが」
「かしこまりました。玉串料、五千円になります」
「五千円ですね。わかりました」
意外とかかるんだな。ま、いっか。これで安心安全な暮らしが保証されるんだったら。
「では本堂にご案内致します」
「失礼します」
木のいい匂いがフワッと香ってくる。とても荘厳な雰囲気でいいぞーこれ。ん?あれ大仏じゃねえか。神社に大仏とか、これもうよくわかんねえな。急に不安になってきた。大丈夫かここ。
「具体的にどのようなことでお悩みですか?」
「ブラック企業に入ってから災難続きで、今週で二回も死にかけたんです。それで、なんとかしていただきたくて……」
「かしこまりました。では、そこに座って目を閉じていてください」
「わかりました」
「掛けまくも畏き伊邪那岐大神筑紫の……」
ん?止まったぞ。大丈夫か?
「目を開けよ」
へ?声が急に変わった?どういうことだ?
「目を開けよ」
「は、はい」
目を開けるとそこには、黄色い光を背負った神主が……ってドラゴンボールか!なんなんだこれは?俺はもうダメなのか?
「まず、数々の無礼失礼した。内の駄女神のせいで、運命を二度も変えられたとか。神界法違反者として、キッチリと罪は償ってもらうが、許してもらえるだろうか?」
「ええ、もちろん」
どういうことだ?神界法?神様にも法律があるのか?ってか、女神によって俺の運命は変えられてたのか。もしかして俺、女神に惚れられたのか。死なせたくない。助けてあげたいという思いから、法律を2度も破って俺を救ったのか。自分はどうなってもいい。ただあなたは、生きて的な。なんて純情な女神なんだ。
「お主には2つ道がある。1つはこのままここで人生を謳歌すること。もう一つは、異世界に転生し、そこで暮らすことだ」
「ふむ。なるほど」
よっしゃあ!異世界転生だ!やっと!むふふ。夢が広がリングだ。
「ちなみに異世界転生する事で恩恵とかはあるのですか?」
「お主の場合は、神の世界である程度自由に行き来することができるという恩恵が与えられるぞ」
「わかりました。異世界転生、します。新しい世界で、未知が溢れた世界で、俺は生きたいです」
「そうか。ふふふ。若いのう。エネルギッシュで良いことだ。ならば、行け!未知と過酷に溢れた世界へ!混沌に溢れた、刺激多い新しいせかいへ!」
え?俺は過酷なんて頼んでないけど。ハーレム作りたかっただけなんだけど。あれ?もしかしてこれヤバイ系でしょ。ヤバイヤバイ。光の門に吸い込まれてく。
「過酷なんて頼んでない〜。異世界ハーレムエンドしたかっただけだ〜。戻してくれ〜!」
辺りには光が溢れて……俺が最後に聞いたのは。
「ん?儂ゃお主の望みの世界に連れて行くとは一言も言っとらんぞ」
という言葉のみだった。
「嫌だーー!俺のハーレムがーー!この、真田正幸めーー!」
思いついたのでつい書いてしまった。
ホモ、拾いましたという作品を連載してるので暇なら読んでみてくださいね。