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日課の終わった日

作者: 弐逸 玖

目に入ったもの。


なにも出ていない酸素吸入マスク。

液の止まった点滴。

院長先生の糊の利いた白衣。


さっきまで身体を預けていた長枕。

白い緑ナンバーのエスティマ。

整列した先生と看護師さん。


銀色の布団。

サインをするためのボールペン。

ドライアイスの入ったクーラーボックス。


お寿司の乗ったテーブル。

真夜中の自動販売機。

広い駐車場にポツンと止まった車。


受付に積み上がる封筒。

百合の花粉の零れる花のスタンド。

綺麗に並ぶ黒い服の人達。


黒くて長いクルマ。

マイクロバス。

お辞儀をする人達。


綺麗で無機質な建物と高い煙突。

制服を着てお辞儀をする係の人。  

『5号炉/着火』と書かれたタッチパネル。


並べられた椅子。

スタンドマイク。

カンペ-。


段ボールの祭壇。

小さな写真。

チャッカマン。


玄関の黒い靴。

お使い物のお菓子の箱。

お客さん用の座布団。



悪いけど、あと少ししたら元の生活に戻るよ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 本当に個人的な我儘ですが、PV0の飾り気のない文体のほうが、個人的には好きです。
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