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2話


 

目を開くとそこは真っ白な世界。ただただ白い平地が続くだけの場所。


「ここは……どこ?私は自分の手首を切って自殺したはずじゃ……」


 私は自分の右の手首を見た。するとそこにはまだ生々しい傷跡があった。それに血がまだ止まっていない。血はポタポタ垂れ真っ白な地面に落ちる。しかしその地面は赤くなるどころか血を白くした。まるで元々血が垂れてきていなかったように。


「おや?目を覚ましたんだね心。気付いていると思うけど君は死んだよ。日記を書いて手首を切ってね。でもある者が君が死ぬ前にここに運んだ。簡単にここを説明すれば外の時間とは切り離された場所ってところかな。それで本題なんだけど君今までの人生に後悔してるよね?」


「わ、私は別に後悔なんてしてません!そもそもあなたは誰ですか?」


 すると彼はニヤリと笑った。しかし彼の目は笑っていない。きっと彼は嘘の上手い人なんだろう、私はなぜかそう感じた。


「僕のことは置いておいて君の話だ。実の親に売られて世界の崩壊でまともに恋も学校生活も楽しめなかったはずだよね。じゃなきゃあの日記にあんな事書かないはずだ。ちがうかい?」


「日記に書いてあっても心ではそう思いません!私が身代わりになってお父さんとお母さんは助かりました!学校生活と恋愛が途中で終わったのは私が悪いからです!」


「そっか。でもそれは本心じゃないよね。だって君泣いてるよ」


「え……」


 私は自分の頬を撫でる。すると指が濡れた。自分が泣いていることに気付くともう涙は止まらなかった。ボロボロ零れ落ちる涙。

「なんで……なんで流れるの……。止まって、止まってよお……。私は、私が犠牲になればみんな幸せになるからいいって決めたのに。なんで…なんでよ……」


 泣き出した私はまるで小さな子供のようだった。


「ほら君は自分の気持ちに嘘をついていた。本当は生きたかったんだろう?男共の慰み者にもなりたくなかった、もっと恋も学校生活もしたかっただろう?だから聞き方を変えるよ」


 すると泣いている私にハンカチを私彼は手を差し出してきた。


「君はもう一度世界が終わるとしても時間を戻して自分が幸せになりたいと思うかい?」


 その言葉を聞くと自然と涙が止まった。もう一度人生をやり直せる。でも結局は世界が終わってしまう。私が死んでも世界が終わった理由はわからなかった。だから私に世界を救うことはできない。でも私一人が私と好きな人が幸せになるくらいなら出来るかもしれない。


「私は幸せになりたいです……幸せになってもっともっと長く生きて生きたいんです……だからお願いします時を戻して下さい!」


「いい返事だね。少し時を戻すことを説明するよまず君の今の記憶は持っていくことはできない。正確には戻った時間の記憶と同化するからそれより先の世界の記憶は消える。そうしたら何のために時を巻き戻すって事になるよね?だから記憶の片隅心に刻むんだ。これをやらなければいけないっていう感じの使命感を」


「私の場合はそれが幸せになりたいっていう事ですか?」


「そうだね。まあ説明も長いと面倒なだけだからあと一個だけ。君が時間を戻れるのは三回。その三回の中で幸せになって死んでおいで」


「わかり……ました」


「それじゃあ時間を戻すよ。幸せになってきなね」


「えっちょっと待って!まだききたいこと……」


 私の言葉は途中で遮られた。すぐに目の前が真っ暗になって意識も消えていったから。最後に見た彼の顔はこの状況を楽しんでいるような顔だった。

11月6日編集しました

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