十七戦記 7話 幻覚
俺たち、特別戦闘班は現在、モンゴルと通商連邦と大日領中華連邦の国境付近にいる
なぜこんなところにいるかというと、さかのぼること数時間前。
南京解除作戦がおわり、台湾にある高雄基地に帰還してすぐにおれは司令部から呼ばれた。
司令部へいくと、山本中将がいた。
「耳口大尉、連邦とモンゴルが手を結んだという事は知っているか?」
「知っています。」
ここでこの話を持ち出すという事は恐らく、北方に行かないといけないのかな
そんな予想は見事に的中した。
「実は、モンゴルの竜騎士団と連邦の妖魔隊が合流するという情報が入ったんだ。そこで耳口大尉には、この作戦を実行してほしい」
そういって、作戦内容の書かれた書類を渡した。
「拝見させていただきます。」
作戦名は
「黒い霧作戦?」
「ああ、竜騎士団と妖魔隊が合流する直前に、天使の幻覚魔法を使って仲間割れを起こしてほしい」
「わかりました。」
そして現在に至る
「11時の方向から敵、竜騎士団接近、」
「ミカエラ、数は」
「120頭程。」
「120だと...」
「リコ、前に龍を一体倒したことがったといってたよね。」
「そうですね、9回挑んでようやく勝ったくらいですよ。8回くらい死にかけましたけど」
「ははは、」
正面からやりあうと、間違いなく負ける。まあ、今回は裏方の仕事だが。
「3時の方向、妖魔族、中級生物、数140。妖魔族主力です。」
どうやら一気に攻めるつもりのようだな。140もいたら、大日帝国軍北方守備隊を2日で全滅にできる。
「作戦を開始する。」
俺たちは、森林の中に降りて、透明魔法を展開した。
天使たちは、幻覚魔法を展開し始めた。
天使の幻覚魔法は、幻想種よりかなり劣ってしまう。
そもそも、幻覚魔法は、視覚、聴覚、嗅覚、感覚、その他諸々だが、これを狂わせる魔法を展開しないといけないが、
天使にできるのは、視覚と聴覚のみだ。
それでも十分だが。
「天使が使う幻覚魔法陣って、紫いろできれいだな。」
太田がそういった。
「確かにきれいだな。幻覚魔法見るのは初めてだな。」
10分経過した。どうやら魔法の展開が終わったみたいだ。
それは、あいつらを見ればわかる。
何を話しているのか全く分からないが、突然、ドラゴンが口から火の玉をはいた。その玉は、妖魔隊に向かっていった。
その玉は、妖魔隊の内の一体に命中した。
その光景は、まるで巨大花火のようだった。
そこから先は、目の前に地獄が現れたようだった。
爆音と、大穴ができるくらいの爆風などが起きていた。
「耳口隊長、地獄って、こんな感じなんですね。」
「中村中隊長、俺だって、こんな風景は初めて見た。」
そんな会話していたら、
「もう帰っていいですか?」
とリーファの声が聞こえた。
「あれ、リーファ、魔法は?」
「幻覚魔法、とっくに解除してますよ。」
そう、幻覚はもうなくなっているのに、戦闘をやめない。
これはもう、止まらない。
「よし、帰るか。これくらいしとけばいいだろう。おそらくこれで、モンゴルと連邦は戦争状態に入るだろう(嬉)」
「それが目的だったんですか?」
「当たり前でしょ。モンゴルと連邦が戦争してくれれば、しばらく連邦とモンゴルは俺らに攻撃する暇はない。」
耳口の予想通り、翌日、連邦とモンゴルは宣戦布告し、戦争状態となった。
本日の戦況報告。
南方では、フーリ共和国領東南アジアを制圧完了
ヒィリピンの合衆国軍残党も終わり、南方諸島の8割占領した。
ヨーロッパ地方では、ドイトやその他同盟国によって、ヨーロッパはほぼ制圧した。
アフリカまで撤退したフーリ共和国は、名前を自由共和国連合と変え、徹底抗戦している。