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第六章  4

 

                3


 内容は、ハッカーがどこのサーバーからどういう手段でハッキングを行っているのか。

 どんな順にサーバーを乗りかえてきたのかを追跡できる装置の開発。


 世界中のハッカーを捕まえるための装置を、リンに、否、スピースに開発させる。


 そして、もう一つ。


 国家機関のコンピューターに侵入するためのプログラム。

 危険性のある国のコンピューターに侵入し、危険を事前に回避する為だと説明された。


 元々、これをリンに作製させる、そのためにリンを花屋に行かせた。


 今はリンに拒否出来ず、しぶしぶ命令に従っている。

 リンが納得している訳ではない。


 作業は部屋で行うが、その様子は常にモニターで監視されていた。

 二十四時間の監視体制に変わりはなかった。


 庭には、一度も出ていない。


 それでも、文句を言える立場にもなく、だからといって、喜んでいるのでもなく。

 リンにとって不満でしかなかった。


 そしてある日、リンは取調室に呼び出された。


 呼び出したのは、カーライルだった。

「リン。予定通りに終わってもらいたいものだな? それともリンでも出来ないのか?」


 カーライルの言っているのは、国の保安システムに侵入するためのプログラム。

 これは国の保安システムの確認のために使われるもの。


 別に、違法のハッキングのために使うためではないが、

 リンにはなんとなく抵抗があり、製作自体をしていなかった。


 それを確認するための、この呼び出しだった。


「リン。今日はなんでここに呼ばれたか、分かっているだろう? 

 なんで作業に取りかからない? 条件に従えないなら、どうなるか分かっているんだな?」


 リンは答えず、ただ、カーライルの方を見た。


「なんだ? 何が言いたい?」


「……これを、本当に正しいことだけに使うとは思えない。

 これを作ったら、本当は何をするつもりなの?」


「質問は受け付けない。リンは指示された用件だけをすればいい。

 これの活用方法は我々が考えて決める。

 異議は認めない。いいか、ここでは拒否は認めない。

 命令には、全て従うのが、ここにいられる唯一の条件だ。

 守れないなら、地下に移ってもらうが、どうする? 

 今、ここで決めてもらおうか? 作るのか、それともこのまま地下に移るのか?」


 カーライルは、他の捜査官と一緒になって迫ってきた。


 リンは、もうその捜査官に従うだけだった。

「……分かった、でも時間がかかる。

 というか、出来るかどうか、やってみないと分からない」


 その言葉に、カーライルも気を良くした。


「いいだろう。ただし、わざと時間をかけるのはやめてもらおう。

 その時も地下行きだ」


 リンは、しぶしぶ頷くだけだった。


 それからのリンは、とりあえず作る振りをした。

 こんな得体の知れないものを、ここの連中に渡せない。


 ここの連中ときたら、自分達は正しいと信じている。


 それは明らかに暴走している仕組みでも止められない。

 そんな特殊な組織に、どこまでの権限が許されるのか。


 リンには、納得の出来ない指示には、

 いくら地下行きがかかっている命令とはいえ、従えない。


 今回引き受けて、否、引き受ける振りをして、時間かせぎをしたかった。


 そうして、リンが振りをしている間に、改めて条件の提示があった。


 それは、


「この件が終わったら、しばらく休暇を与えよう。

 好きなことをしていい。花を育てたいなら、育てればいい。

 何をするかは、自分で決めろ」


 カーライルはそう言って、部屋を出て行った。


 これには裏がある。


 リンにはすぐにそう確信した。

 素直に従わないだろうと、ニンジンをぶら下げたのだろう。


 どうにかして、完成させたい。


 それが伝わってくる。

 そこまでして、一体何がしたいのか? 


 そう思った時、リンはすぐに行動を起こした。


 リンの技術は、研究されている。


 ただし、それは、過去のスピースのもの。

 今のリンはそれ以上の技術がある。


 すなわち、リンが何かして、気づく人がいるとは、考えにくい。

 幸い、今はプログラムするよう命令されている。


 だからこそ、今だから出来ることがある。


 リンは、その日から改めて、本格的にパソコンに向かい合っていた。


 カーライル達は、ニンジンの効果だと信じていた。


 リンは、ここに来て初めて、本気でパソコンに取り組んだ。





 そして、ある事実をつかんだ。


 今回で第六章を終わります。

 リンの力をどれくらいに評価していたかは、お分かりいただけたかと。

 ただし、それが黒と出るか白と出るか、そこを次回より書いていきたいと思います。、

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