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第六章 2

 そのどれもが、スピースファイルを復元させようとして、

 システムそのものをダウンさせたというものだった。


 ダウンさせただけならまだしも、

 再び立ち上げられなくなり、それも接続していた全てのパソコンが同時に使用不能に陥った。


 そんこともあり、リンに詳しく聞くと、


「スピースは、二度と現れない。

 そのために復元させようとするコンピューターを再起不能にするプログラムを組んである」


 かといって、このままにすれば、問題は解決しないばかりか、複雑になるばかりだった。


 そこで、スピースの管理を頼まれたIIMCとしては、

 各国からの要請を果たすためにも、早急の事態の収拾をつけるため、

 手段を選ぶわけにはいかなかった。


「リン。修正プログラムの構築は可能か?」


「もちろん。可能だよ。

 ただし、これには特殊な鍵が必要なの。それをクリアしないと何も解決しない」


「その鍵とは?」


「言わない。その代り、そのプログラムを組ませてほしい。

 説明するより早いと思うよ。急いでるんでしょう?」


「だめだ。それは無理だ。説明しろ。それによってこっちでプログラムを完成させる」


 リンとマラホイアの話は、平行線のまま、時間だけが過ぎていった。


 そんな中、マラホイアは、こんな条件を出してきた。

 リンの性格を理解した上で。


「リン。プログラムを組ませてやってもいい。ただし、条件がある」


「……何?」

 マラホイアの真剣な表情に、リンも思わず引き込まれた。


「あの、リンがお世話になった、確かシャレット・フラワーだったかな? あの花屋。

 そことの契約を今後も継続するか、それとも他の花屋と契約するのかの問題が出ている。

 リンとの関係者を雇うのに抵抗を感じている人間もいる。

 そこでなんだが、

 もし、リンが余計な事を何もせず、必要な事だけをして、我々に従うなら、

 シャレット・フラワーと今後も契約しよう。

 反対は、説得する。

 どうだ、我々の条件に、今後も一切逆らわないと約束するならだが。

 もし、何か条件に背くなら、その時点で、契約は破棄だ。

 もちろん、リンはここ|(地下)から出さない」


 リンは、このスピースの問題が解決すれば、

 監視態勢を元の開放的な部屋に移動できると聞かされたばかりだった。

 それが、無に帰すかもしれない。


「……それって、どういうこと? この件が終われば、戻れるはずでしょう? それを今更……」


「無事に終わればだ。スピースについての一連の解決が行われたら。

 それなら戻してやっもいいと言ったまでだ。

 いつまでも解決しないなら、ずっとこのままだ」


「ず、ずるい。騙したのね。それってずるい」


 リンは、自分をこれ以上支配しようとされている状況に、納得できなかった。


「好きに言え。先に騙したのは、そっちだ。

 とにかく、決定権はこっちにある。このままならそれでもいい。

 我々には、時間がある。プログラムを組むのもいずれ出来るだろう。

 そうすればリンはいらない。

 する気がないなら、ここから出たくないなら、それでいい。いつまでもここにいるんだな。

 いずれ、また外に出られるようにしてやろうと思っていたが、それも叶わない」


「……外に? ホント?」

 リンは、この言葉に喰いついた。


「ああ、本当だ。スピースとして活動しないなら、自由にさせてもいいと思っている。

 居所さえ確認でき、パソコンに触れないなら。

 しかし、このままなら、それも無理だ。」


 マラホイアのこの言葉を信じないまでも、可能性はゼロではないかもしれない。

 リンは、今は従っていた方が得かもしれない。そう思い始めていた。


「どうする? 我々に百パーセント従うなら。どうにでもしてやろう?」

 リンは、なかなか決断できなかった。


「リン。ビルはいい人だなあ。

 花屋をここでしたいと言いだして、確かに儲けは上がっているが、

 それだけでここにいるわけじゃない。リン。

 ……リンが心配で、ここに居続けるんだ」


 リンは、そう言って自分の方を見ている、マラホイアの顔を見た。

 それを見て、大きく息を整えてから、


「分かった。……言う通りにする。だから、プログラムを組ませてほしい」


 リンのこの言葉を待っていたマラホイアは、契約書をリンの前にさし出した。


 内容は、さっきマラホイアが言った内容が、羅列されていた。

 特に目を引くものもなく、ただ、一つ気になった。

 もし、これに違反した時の条件の提示の部分。

 そこには、監視の条件が最高ランクになるとされていた。

 これは、今いる状況とほぼ同等だ。

 これだけは、避けたい。しかし、変えてくれる様子は、まるでない。


「これは変更しない。これが嫌なら、ずっとここにいればいい。

 どうする? 従うなら、ここにサインしろ」


 ペンが一本添えられただけだった。


 リンは仕方なく、サインした。


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