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第1話 "あの日"
男子中学生が必ず夢に見ることがある。
それは学年1番の美女に告白されることである。
そんなことを中3の時、夢見る奴がいた。
その奴の名前が神埼 風音だ。現在、高2でフートと呼ばれている。
フートの親友は天川 隼人といい、フートと同じクラスである。
この2人は同じサッカー部である。
今の時刻は午後6時半。ちょうど部活終わりの生徒たちで校門は混雑していた。
今は夏が近づいてきて日が長い。しかし厚い雲がかかっていた。
「おい、フート。日焼け止め無いのかよ。」
「ごめ。家に置いてきてみたいだわ。」
「チッ。あれいいやつだったのに。」
どうやら、隼人が貸した日焼け止めを置いてきてらしい。
フートは時間を確認しようとし、スマホのホーム画面を見た。
"6/16 6:34"
この表示を見てフートは止まってしまった。
「お、おい。どうした? フート!」
隼人はとても心配している。
「あ、ごめん。”あの日”を思い出しちまって。」
「”あの日”は忘れた方がいい。」
「ああ、そうだな。」
フートは空を見上げた。
「あの日も、こんな曇りの日だったな…」