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公園

ストーカー男が居なくなってから丸二週間。

一つの厄介だった問題が解消された私は、正樹のことで頭がいっぱいになりつつあった。

どうして電話くれないの?

どうしてメールの返事をくれないの?

今なにしてるの?

時々ひどくなると、夜に勉強をしていて泣き出してしまうほどだった。


「でも正樹と私は・・・」


本当に正樹と私は心が繋がっているの?

そんなことまで考えてしまう私はダメな子だ。

あの時私のことを助けてくれたんだから、今度は私が頑張らなきゃ。

我慢我慢!



「君子・・・大丈夫?」


ある日の朝、学校で明子に言われた。


「あんた泣いたでしょ?」

「なんでわかるの?」

「だって目の周り真っ赤だよ。なんか辛いことあった?」

「まぁ・・・ちょっとね」

「私で良ければ話聞くよ」


私は明子に甘えて話を聞いてもらうことにした。

いい友達を持ったと思った。

そして放課後。

いつもの帰り道とは少しそれたところにある、公園のブランコに二人で腰掛けた。

通学路とは少し離れているから、他の人が来ることは滅多にない。

私は正樹のことについて色々話した。


「もしかしてだけどさ、加藤君ってもう別れたいんじゃない?」

「やっぱりそう思う?」


私も少し思っていた。 


「でも連絡ぐらいしてくれてもいいのにね。と私は思うけど、君子から電話はしたの?」

「してない。なんか怖くて」

「そりゃ怖いかもしれないけど、そのままズルズル引きずっていくよりはいいと思うけどなぁ」

「うん・・・」


明子はブランコをこぎながら私の返事を待っている。

でも私はなかなか踏ん切りがつかなかった。

正樹のことはすごい好きだ。

それに正樹がホントに忙しいから連絡できないのかもしれない。

でもいくらなんでもこれはおかしい。

もしかしたら事故にあって連絡ができないのかもしれない。

でもだからといって電話ぐらいは使えるはずだ。

いろんなことを頭で考えてしまう。

これが遠距離恋愛なのだ。

相手からの情報がないとなにもわからなくなって、結局自分自身で解決せざるを得なくなって、どんどんどんどん悪い方向へと考えてしまう。


「明子・・・私どうしたらいいんだろう・・・」

「君子・・・」


答えを待っていたはずの明子も、私の表情を見て返す言葉がなくなってしまったようだ。


「なら俺に任せてくれないか!」


突然、公園の中に声が響いた。

何事かと思って公園の入口を見てみると、あのストーカー男が立っていた。


「何あれ?」

「えーと、照井明子さんだったかな?はじめまして。長谷川隆夫と言います」

「あ。ご丁寧にどうも」

「おじぎしないでよ!明子!あいつが例のストーカーよ!」

「なんと!やっぱり変態紳士っていたんだ!」


変なところに驚いている明子を横目に、ストーカーに声をかける。


「なんの用?」

「そんな冷たい目で見ないでくれ」

「明子。帰りましょう」

「だから無視はやめてって!」

「なんか言ってるけどいいの?」

「いいのよ。いつものことだから。帰りましょう」

「加藤の話だろ?」


唐突に話を戻すストーカー。


「まさか立ち聞きしてたの?」

「違う。うちはそこだ」


彼の指さした方向を見ると、公園の周りを取り囲むような形で生えている木の隙間から家が見える。

あそこからならここの公園はばっちり見えるわけだ。


「たまたま窓の外を見たら、ブランコにすごくしょんぼりした吉野君子がとお友達が座っているではないか。こんなにしょんぼりさせるのは加藤のやつしかいないと思った。そして家から出てきて今に至るというわけだ」

「説明乙。つまりあんたは加藤君について何か知っているということ?」

「まさにそのとおりだ」


自信満々に胸を張るストーカー男。

ホントに大丈夫なのだろうか?

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると執筆意欲が高まります。


次回もお楽しみに!


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