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映画

土曜日。

私と長谷川は映画館に来ていた。

駅と直結のショッピングビルの上のほうにある映画館を選んだ。

チケットを窓口で購入し、カードを受け取って、今ポップコーンを買うための列に並んでいる。

私は別にカードはいらなかったから、そのまま長谷川にプレゼント。

喜んで受け取り財布の中にしまう長谷川。

意外と雑だな。


「ポップコーン食べるの久しぶりだ」

「私も久しぶりかも。ってゆーか映画を見るのも久しぶりかも」


多分最後に見たのは・・・小学生?多分そのくらい前だと思う。

たいていの映画は家でDVDとかでレンタルで見ることが多い。


「俺は前にポケモンの映画見に来たな」

「鳴海さん?」

「そうだ。いい歳して恥ずかしいらしい」

「人のこと言えないじゃん」

「でもあれは恥ずかしかったな。周りは小さい子ばっかりだったからな。それに比べてこっちは大きいお友達が多いから、あんまり恥ずかしさを感じない」

「昔からのファンか、カードやってる人が多いもんねー」


ちなみに私は昔からのアニメのファンだ。

あのブロックに挟まれるトンガリ頭の彼には敬意を表したい。


「俺はただ単にアニメで出てくるカードを持っていたいだけだからな。そーゆー意味ではアニメファンデありカードのファンでもある」

「コレクターってやつかね?」

「まぁよくわからんが遊戯王は好きってことだ」


ポップコーンを購入した私たちは、映画が始まる時間ということもあり、指定の上映場所へと向かった。





「やばかったな」

「うん。やばかった」


正直なところ、漫画みたいな展開(ポップコーンを取るときに手が触れたり的なアレ)があるかと思ってたけど、それどころじゃないぐらい面白くて見入ってしまった。

その証拠にポップコーンがまだ半分ぐらい残っている。


「なんか・・・凄かったな」

「うん。凄かった」


さっきから二人してこの調子である。

圧倒的迫力!

まるで会話にならないけど、窓口のあるロビーで並んで椅子に腰をかけて、ムシャムシャと残ったポップコーンを食べている。


「これってデートなのか?」


ふいに長谷川が口を開いた。

だけどポップコーンを食べる手は止まらない。


「デートなんじゃない?」

「俺が思い描いていたデートとは少し違う気がするんだが・・・」

「どういうのを思い描いてたの?」


長谷川の思考に少し興味があった。

いや、もともと興味が無いとかそんなんじゃないからね?好きな人を知りたいと思うのは当然のことだと思う。うん。そういうことだ。


「なんかキャッキャウフフしながら街を歩いてウインドウショッピングして、ちょっと遅めのお昼を食べて暗くなってきたら夜景を見てから帰る。そんな感じを想像してた」

「ブハッ!!ゲホゲホッ」


痛い!

長谷川が変なことを言うからポップコーンが変なところに入った。


「大丈夫か?」

「だ、大丈夫じゃない。大問題だ」

「そんなに苦しいのか?何か飲み物買ってくるか?」

「そこは大丈夫!問題なのは長谷川の頭だ」

「俺の・・・頭?」

「なにその理想は。私たちがそんなリア充になれるわけがなかろう!」

「・・・たしかに!!」


長谷川は無表情ながらも、雷に打たれたような表情になる。

前から言っているように、私たちは生粋のオタクだ。

故に、リア充と呼ばれる人間たちの行動が理解できない。

それを真似るなんてとてもじゃないが・・・きっと死人が出るぞ。


「そうだったのか・・・吉野に借りた漫画には、そんなことをしているカップルがいたから、それが普通なのかと思っていた」

「漫画と現実は違うのだよ。漫画の世界ではたいていがリア充だから真似ると大変になる」

「どうして吉野はそんなに説得力があるんだ?」

「漫画の中にはイケメンがいるけど、現実にはいないからね。それで色々と悟った気がしてた」


もう何を言っているのかよくわからない。

長谷川も何気にこの流れに乗ってくるから収拾がつかなくなってきた。

ツッコミ役が欲しいところだった。


その時。


「あれ?君子?」


知った声が聞こえた。

声がした方を見ると、親友の明子が立っていた。

なんでこんなところに?


「明子さんお待たせしまし・・・た・・・」


後ろからパタパタと駆け寄ってきたのは、我が妹の一美だった。

小走りの一美と目があった瞬間、私の目の前まで瞬間移動したかのように素早く移動し、私を立たせて明子と長谷川から少し離れた位置に移動する。

一瞬時が飛んだのかと思った。

そして明子達からは見えないように少し屈んで話す。


「なんでお姉ちゃんがこんなところにいるの!?」

「私は映画を・・・。それより一美こそなんでこんなところにいるのさ」

「映画館に来たならすることは一つじゃん」


胸を少しだけ張って言う一美。

効果音を付けるなら『エッヘン!』かな。


「もしかして明子を誘ってきたの?」

「もちろん!」

「・・・あんた何気に行動力あるよね」


同じ姉妹とは思えないほどの行動力を見せつけてくる。


「お姉ちゃんこそあの人誰なのさ」

「長谷川は私の彼氏だよ」


改めて口に出して言うと少し照れくさいな。


「やっぱり彼氏かー」

「あれ?見たことあったっけ?」

「お姉ちゃんが引きこもってた時と夏休みに来た人でしょ?」

「あーそっか。その時会ってたか。でもその時はまだ付き合ってなかったんだけどねー」

「そうなんだ。お母さんとかに紹介したら喜びそう」

「でもお父さんは泣きそうだね」


アハハと笑っていると明子がブーブー言ってきたので、一美は明子の元へと戻っていく。

入れ替わるように長谷川が私の元へと歩いてくる。


「あの二人付き合ってるらしいぞ」

「まぁ一美のほうは明子大好きだからいいんじゃない?・・・って付き合ってるの!?」

「あぁ。照井が『今日は妹ちゃんとデートなんだ』って言ってた」

「デートしてるからって付き合ってるとは限らないでしょ・・・」

「でも照井は吉野の妹が自分に好意があるのに気づいていたぞ?両思いだろ?」


えー。

私はどうリアクションしたらよいのだろうか?

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とかあれば書いていただけると大変恐縮ですが前宙とかできそうです。


さて次回から少しテンポが早くなります。

・・・投稿のペースではなくて、作品ないの時間の速さの話ですよ?


というわけで次回もお楽しみに!

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