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『なんでもない』と『大丈夫』

夏休みが終わってから1週間が経った。

私と長谷川は夏休みの時以上に仲良くなっていた。

学校帰りも一緒に帰るし、昼休みには一緒にお弁当を食べたりもしている。

・・・って、そんなノロケ話がしたいんじゃない。

正樹のことがあってから明子の様子がおかしいのだ。

あの次の日、明子にお礼と200円ぐらいのものを奢ってあげようかと思って話しかけた時だった。


「明子。昨日はありがとね。何か奢ってあげようかと思ってるんだけど、何がいい?」

「え?お礼なんていいよ。大したことしてないもん」


笑顔で言ってくれるのは明子らしい。

でも発言が全然明子らしくなかった。

いつもなら『えーと何買ってもらおうかなー♪今度出る新刊とか・・・』みたいな会話になるはずなのに、遠慮してくるなんて全然明子らしくない。

何かあったのかと思って長谷川に聞いてみたけど、特に心当たりはないとのこと。

家に帰って、明子LOVEの一美にも聞いてみた。


「明子の様子が変なんだけど何か知ってる?」

「えっ!?明子さんがどうかしたの!?」

「ちょっと顔が近い!なんか最近考え事してるみたいでさ。何か知らない?」

「うーん・・・特に何もないかな。毎日してるメールもいつも通りだし」

「・・・メル友だったんかい」


誰も何も知らない。

もしかして一人で抱え込んでるのかな?

だとしたらここは私の出番なんじゃないか?

あれだけ悩んでた私を励ましてくれた明子に恩返しをするチャンスだ!

そう考え始めたら居ても立ってもいられなくなった。

さらに次の日、明子に直接聞いてみた。


「なんか悩み事?」

「え?何もないよ」

「なんか最近明子変だよ?」

「そうかなぁ?ちょっと夜ふかししすぎたからそれかも」

「なんだ夜ふかしか。あんまり無理しちゃだめだよー」

「うん。ありがと」


その時の会話でわかったのは、明子は私に何かを隠しているということだった。

私もそうだけど、悩み事がある時は隠そうとしてしまう時がある。

『なんでもない』『大丈夫』

この二つは要注意ワードだ。

ごまかすのには最適な言葉だし、人は『なんでもない』とか『大丈夫』と言われてしまうと、なかなか踏み込みにくいものだと私は思う。

心に張ったATフィールドを破るのが大変なのはアニメでも実証済みだ。

2次元でも難しいのに、3次元で簡単に破れるはずがない。

とりあえずはそっとして欲しいのかと思って、しばらく様子を見ることにした。

そして今。

未だに様子がおかしい明子が横の席で授業を受けている。

時折、小さくため息を吐いているのが可愛いのだけど、親友としては心配だ。

今日こそはATフィールド内に踏み込んでみよう。

もしかしたら簡単に中和出来るかもしれない。

長谷川にメールをして今日は一緒に帰れないことを伝える。



そして放課後。

明子に一緒に帰ろうと誘い、学校をあとにする。

校門を出た直後ぐらいに私は仕掛けた。


「明子さ。なんか悩み事あるでしょ」

「なんにもな・・・くはないかな」


意外とあっさり白状した。

白状っていう言い方は良くないな。

ATフィールドを中和してくれた、ということにしよう。


「で、何に悩んでるの?」

「うーん・・・ちょっと言いにくいんだけどさ。私、君子に言わなきゃいけないことがあるんだよね」


え?私に?何かしたっけ?

身に覚えがなさすぎる自分が怖い。


「・・・もしかして私なんかした?」

「いやいやいや!君子は何もしてないよ!」


あわててからだの前で両手を振る明子。


「ほら、最近君子強くなったじゃん?私も少し強くならなきゃなーって思ってさ」

「どーゆーこと?」


私から見たら明子は結構強いと思うんだけど、まだ強くなりたいのかな?

明子が少し悩んだ表情をしてから顔を上げた。


「・・・私ね。実は東京の専門学校行こうかと思ってるんだ」


少し震えた声で明子は言った。

東京の専門学校?

そう聞こえた気がした。


「え、ちょっと待って。なんで東京?北海道にもたくさん専門学校あるじゃん」

「そこの専門学校だと、近くに幼稚園とか保育所とかがあって、実習が多いんだよね。前から行ってみたいとは思ってたんだけど、東京だしって思ってて候補に入れてはいたけど行く気は無いって感じだったんだ。でも最近の君子見てたら、挑戦してみたくなってきてさ」

「だからって東京って・・・一人暮らしするの?」

「うちの親って共働きじゃん?だから仕送りとかはしてくれるって言ってるし、調べてみたら保育所のバイトみたいのもあるっぽいし」


明子の決意は硬そうだった。

そりゃ親友が決めたことだから応援してあげようとは思う。

でも東京って・・・


「私ね。君子のことが心配だったんだ」

「私?」

「うん。だって長谷川くんと会う前の君子って、加藤くんのこともあったしなんか危なっかしくてさ。でも今は長谷川くんもいるし大丈夫かなーって思ったんだ。だから思い切って東京とか行っちゃおうかなってさ」


私が原因って・・・私はなんて贅沢なんだ。

こんなに心配させてて、やっと決意できたことを邪魔するなんてできない。

私は親友として明子を応援したい。

明子の手を両手でつかむ。


「私応援するよ!東京に行っても私は明子の親友だしね!」

「あ、当たり前じゃん!私がせっかく出来た友達を無駄にするもんか!」

「なんで泣いてるのさ」

「そーゆー君子だって泣いてるじゃん」

「これは汗です!」

「汚いやつだ!」


今後来る別れの時に泣かないで笑えるように、思いっきり二人で抱き合って泣いた。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると大変興奮いたします。


今回は明子との友情ストーリーでした。


次回もお楽しみに!

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