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夏休み終了

8月下旬。

本州よりも短い北海道の夏休みが終わる。

この夏休みは受験生の割には色々と楽しめた。

ケータイも買ったし彼氏も出来たし長谷川の家にも行ったし明子とも遊んだしetc。

他人から見たらどうなのかはわからないけど、私なりには充実した夏休みだったと思う。

そういえば明子と遊んだ時に長谷川と付き合い始めたことを伝えたら泣いて喜んでいた。

どうやら私が正樹の呪い(?)から開放されたのが嬉しすぎて思わず泣いてしまったらしい。

私はいい友達を持ったものだ。

これからも大事にしていこう。

明子といえば一美だけど、私に『明子LOVE』がバレてからは私によく明子のことを聞いてくるようになった。

ついにデレ期に突入したのかと思って、あれやこれや聞いてみたら、極上のツンで返されるばかりだった。

まったく、実の姉をなんだと思ってるんだ。明子の親友だぞ?

あんまりツンばっかりだと明子にあることないこと吹き込んでやる。

そして長谷川だ。

夏休み中に何回か勉強会と称して会っていた。

未だに期待しているような展開には一度もなっておらず、キスどころか手を繋いだことすらない。

でも私も長谷川も互いにそんなことにはあまり興味がなくて(私の方は全くないわけじゃない)、ただ一緒に過ごす時間を楽しんでいた。

別にこのままのんびりと付き合っていければ、私はそれでいいんだけどね。

一応勉強会なので勉強もするんだけど、天才肌の長谷川の教え方が抽象的すぎてとてもわかりにくい勉強会だった。

後半はもう途中の式の確認程度しか聞いていなかった。

相変わらず説明が下手な奴だ。


そして今日から学校が始まる。

いつもの場所で明子と会って学校へと向かう。

まだ8月ということもあって外は暑い。


「うへー。暑いよー」

「これやめなさい、そんなはしたない格好」


隣で暑い暑い言ってる明子がセーラー服のスカートをバフバフして風を送り込んでいる。


「まだスカートなんだからマシでしょ。男子とか見てみなよ」


そう言って私は近くの男子生徒を指さす。

制服は学ランだけど、夏服の場合は上を脱いで学校指定の白いポロシャツにズボンとなっている。


「そりゃズボンよりはいいけどさ、黒って熱吸収するんだよ?サウナ状態だよ?君子は熱くないの?」

「暑いに決まってるじゃん。ホワイトアルバムが使えたらどんなに嬉しいことか」

「はいはい。スタンドはわからないっちゅーの」

「あ、そっか」


つい長谷川と話すときのようにスタンドネタを入れてしまった。

慣れとは怖いものである。


「だから全巻貸してあげるって言ってるのに」

「私グロいのダメなんだってば。何回言えば納得してくれるのさ」

「ジョジョは全然グロくないよ?」

「だめだこりゃ」


呆れた明子は肩をすくめて笑う。

明子の攻略法はどこに存在するのかわからない。

あれこれ話をしながら歩いてるうちに学校についた。

いつものように玄関で靴を履き替え階段を上り約1ヶ月ぶりの自分の席に腰をかける。

しばらくして先生が来て朝のホームルームが始まった。



昼休み。

前の授業中から我慢していたらしいトイレに行った明子待っていたらケータイがブルブルと震えた。

長谷川からメールだった。


『吉野。もちついて下を見るんだ。』


なんのことかわからないけど、とりあえず深呼吸して落ち着いていた気分を更に整えて、かなり大きいスペースを下へ下へとスクロールして一番下に書いていた文字を読んだ。


『加藤が戻ってきた』


なんのことかわからなかった。

加藤って・・・正樹のこと?

とりあえず長谷川にメールをする。


『どういうこと?』


送るとすぐに返信が来る。


『前に二人で話したところまで来てくれ。照井も一緒で大丈夫だ』

『こちら吉野。了解した』


冗談かとも思ったけど、メールの文章がオタクらしくない長谷川のメールだったので信じてみる。

明子が戻ってくるのを待ってから前に長谷川と話したところに向かった。



「あー・・・私さっき見たわ。そっくりさんかと思ってたけど、まさか本物だったとは」

「照井も見たか。吉野は?」

「え、戻ってきたってそもそもどういうこと?」

「聞いた話によると俺のクラスじゃなくて1組に転校してきたみたいだ」


長谷川は同じクラスの元いじめっこたちが大騒ぎしているのを聞いて知ったらしい。

どうやら転校していたのは、親の単身赴任が原因で、その赴任期間が終わったからこんな中途半端な時期に戻ってきたらしい。


「多分吉野と照井のところには会いに来るだろうな」

「かもね」

「え?会いに来るの?だってもう別れてるんだよ?」

「そう思ってるのは吉野だけかもしれない。もしかしたら加藤は仲のよかった友達として会いにくるかもしれない」

「君子。もし会いに来たらどうする?」


珍しく明子が真剣な顔で聞いてくる。

私はどうする?

確かに自然消滅みたいなものだったから、まさきが別れていないと思っているかもしれない。

でも私はもう長谷川のことが好きだし・・・

キーンコーンカーン


「チャイムだ。戻るか。とりあえず吉野。帰りは玄関と玄関の真ん中のところで待っててくれ」

「う、うん。わかった!」


廊下をそそくさと戻っている時に、後ろを振り返って長谷川のクラスのさらに奥の1組のほうを見ると、こっちを見ていた正樹みたいな人と目があった。

ハッとしてすぐに目を反らしてしまった。

少しからだが震えたのが分かった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると逆上がりができそうな気がします。


この話を最終章にしようかどうか、未だに悩んでます。

最終回は(頭の中に)出来てるんですが、なんかもったいないような気がして・・・


まぁとりあえずは次回も楽しみにお楽しみに!

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