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見てはいけないもの

私は驚きのあまり、そのまま何事もなかったかのようにレジで会計を済ませ、普通に家に帰って一息ついた。

頭の中はぐちゃぐちゃだったけど、からだはとても冷静だった。

あれ?なんか見てはいけないようなものを見た気がするぞ?

よし。冷静になって思い出してみよう。

まず本を買いに本屋に行った。

そこで欲しかった本を見つけて買った。

家に帰った。

終わり。


「あれ?終わっちゃった!?」


いやいやいやいや違う違う!!

えーとなんだっけ・・・いや、思い出せるんだけど思い出したくないような感じ。

えーと・・・思い出したくないなぁ・・・

たしか本棚の影からそっと覗いたらたしか・・・


「ああああああーーーーーーーー!!!!えっ!?なんで!?なんでなのっ!?あの二人ってデキてたの?私だけ知らなかったとか?うわーなんか仲間外れにされてるしー・・・はぁ」


はぁ。

もしもホントに付き合ってたんだとしたらどうしよ。

でも明子には、私が長谷川に気があることはバレてるっぽいし、長谷川は長谷川で・・・

ん?私、長谷川のこと全然知らないな。

知ってることと言えば、ジョジョ好き・ゲーセンのプロ・成績優秀。

このぐらいだ。

なんで好きになったんだべ?


「って話が脱線してる!」


そうだ!今は私の長谷川に対する気持ちじゃない。

問題なのは明子と長谷川の関係についてだ。

長谷川の家からはあの本屋が一番近いから、あそこにいるのはわかるよ。

でも明子は?

明子の家ってあの本屋の最寄駅からJRの駅で4駅ぐらい離れてるんだよ?

わざわざこっちまで来る用事ってなんだ?

まさか本当にあの二人が付き合っているとしたら、全部つじつまがあう。

長谷川に会いにきた明子。

これから二人で夏休みの宿題を片付けるために長谷川の家で・・・



『照井。そんなこともわからないのか?』

『ちがうよ!長谷川くんの教え方がわかりにくいんだよ!』

『そんなことはない。俺は教科書よりはわかりやすく教えていると思っている』

『これだから天才肌はいかんのだよ』

『俺は天才なんかではない。普通に授業を受けていれば簡単に解けるはずだ』

『いいや違うね』

『そうだそうだ!隆夫は天才バカだ!』

『兄さんまで・・・』

『さすが鳴海さん!私の良き理解者!』

『フフフ。この長谷川鳴海の永遠の理解者としてそばにいさせてもよいぞ?』

『それはいくら兄さんでもだめだ!照井はおれの理解者なんだ!』

『二人とも私のために争わないでー!』



ってな感じになってたらどうしよう!

・・・これはないな。

でもなんで明子があの本屋にいたのかが謎だ。

誰か私に答えを教えてくれー!

その時ケータイからオラオラオラオラオラー!と声がした。


「ん?電話?」


私の着信音はオラオラの連打である。

ケータイを手に取り電話にでる。


「もしもし?」

『あ。もしもし?』

「どちら様ですか?」

『あ、オレオレ!オレだよオレ!あの高校の時からの同級生の!』

「なんだ明子か」


まるっきり女声で『オレオレ!』って言われてもバレバレじゃん。

とても落ち着いていたけど、心臓はバクバクである。

なんせ噂の明子さんからの電話である。


「どうかしたの?」

『実は今長谷川くんといるんだけど、良かったら君子も来る?』

「え!?なんで!?」

『いやぁ、たまたま会っちゃってさぁ』


ホントにたまたまなのか?


「どこの本屋?」

『君子の家の近くの本屋』

「何しに行ってたのよ」

『君子の家に行こうかと思ってたら、君子の妹ちゃんに勉強教えてって言われちゃってさ。そんで本屋によってから行こうと思ってて、よったらよったで今度は長谷川くんに会っちゃってさ。で、君子の家だと妹ちゃんがアレだからこっちに来たほうが長谷川くんと話しやすいんじゃないかぁと思って』

「一美・・・あいつが原因か!」

『へ?原因?なんの話?』

「なんでもない!こっちの話!今から行く!マッハで行く!」


電話を切った私は一美の部屋にオラオラノック(高速連打ノックのこと)をする。

コンコンコンコンコンコンコンコンコンコン!!!


「ちょっと何!うるさいうるさい!わかったからちょっと待ってて!」

「いいや限界だ!開けるね!」


がちゃり!

開けてから気づいたけど、久しぶりに一美の部屋を見た気がする。

そこにはなんかこう・・・見てはいけないようなものがあった。


「なんで吉良よしk・・・きゃーっ!!!ホントに開けないでよ!!」

「一美・・・あんた・・・」

「ちょっともう出てって!むしろこの家から出てって!」

「え?ホントここって一美の部屋・・・?」

「もうお姉ちゃんには関係ないでしょ!私の趣味をとやかく言わないでよ!出てって!」


強引に追い出されてしまった。

えーと。とりあえず明子の待つ本屋に行こう。

愛車のエクストリームサイクロン号にまたがり、半分くらいボーッとしたままペダルを踏みこむ。

ゆっくりと動き出す愛車に力をいれながら一美の部屋を思い出していた。

一美の部屋にあったもの。

それは部屋の中にある大きなコルクボードいっぱいに貼られていた、たくさんの明子の写真だった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると踊り狂います。


ついに話が動き始めましたね!一美の!


次回もお楽しみに!


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