あなたが好きです
「好きです!愛してます!俺と付き合ってください!!」
「断る」
「なんで!?」
「・・・何回フラれたら気が済むの?」
「君がOKを出してくれるまでさ!」
はぁ・・・ウザイ。
何回告白を断ってもすぐに立ち直って告白してくる。
こいつアルツハイマーかなんかなの?
「何回告白しても一緒よ。私には付き合ってる人が居るんだから諦めてちょうだい」
「しかしそいつとはもう半年以上も会ってないんだろ?だったら俺にもまだチャンスはあるっ!」
いやいや、堂々と「俺と浮気してください」宣言されても困るし。
私には心に決めた人がいるのだ。
今は遠距離恋愛だから会えないだけで、心の底から愛していると言える。
多分向こうもそう思っているはずだ。
「もうチャンスなんて無いから。何回告白しても結果は同じだから。私の考えは変わらないから。私用事あるから。バイバイ」
しっかりと言い切って後ろを振り向く。
背後で何か言っているが、気にしないで歩く。
こいつが私につきまとい始めたのは、三週間前のテストのあとの学校帰りだ。
友達と別れて一人で歩いていた時。
「キミが吉野君子さん?」
「え?はい。そうですけど・・・どちら様ですか?」
「俺の名前は長谷川隆夫。良かったら俺と付き合ってくれないか?」
「・・・は?」
これが最初の告白だった。
私には遠距離恋愛している彼氏がいたので、申し訳ないと思いつつも丁重にお断りした。
しかしこれから毎日毎日学校帰りで一人になったところを告白され続けた。
最初の1週間は告白されたのも初めてだったので、断るのにも少し罪悪感を感じていたけど、こうも毎日告白されては断るのを続けていると罪悪感も何も感じなくなって来る。
毎回同じ場所で告白されるもんだから、2週間目は違う道を通ってみたけどやっぱりダメだった。
まるでストーカーのように私がいる道だけを選んで待ち伏せしている。
これはもう訴えたら勝てるレベル。
もしかしたらからだのどこかに発信機でも取り付けられているのかもしれない。
そして現在の3週間目。
もう違う道を通るのを諦めていつもの道を通り、相手の精神をブッ壊すために全力で断り続けている。
しかしあいつの精神力は底なしか?
何度断っても断っても学習していないかのようにつきまとってくる。
もしかして機械で出来ていて、学習するAIを搭載し忘れたのだろうか?
それなら納得がいくが、そんな近未来の話がある訳がない。
私はリアリストだからそんな話は信じたくもない。
「あ。忘れてた。メールしないと」
メールの相手はもちろん遠距離恋愛中の加藤正樹。
同い年の17才で事情があって大阪へ転校してしまったのだ。
当時付き合っていた私と正樹は互いに別れるつもりはなくて、大人になったら会う約束をして遠距離恋愛を続けている。
メールや時々する電話だけが私たちをつないでいるけれど、私達の気持ちはいつも目に見えない何かでつながっていると信じている。
きっと正樹も同じことを思っているはずだ。
そう思いながら私は正樹へメールを送った。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
前の作品から読んでいただいている方は、いつもありがとうございます。
この作品から読んでいただいている方は、よろしくお願い致します。
なんやかんやでまた恋愛小説に落ち着きましたが、これからも拙い文章ですがよろしくお願い致します。
では次回もお楽しみに!