疾必成労高校にはジャンルすら理解できない奴はいらない
「『ジャンルー・ワカラン』。お前を本日をもって退学とする。」
いきなり全校生徒が体育館に集められたかと思うといきなり1人の女が前に呼び出され理事長から退学を言い渡された。今月で何人目かの退学者。
我が校『疾必成労高校』は、退学を言い渡される者は珍しく無い。
そもそも疾必成労高校は、一流のなろう作家を目指す高校生達が集まる高校だ。
生徒たちは日々なろう小説の設定を考え、それを文章として書き出す。
本名は禁止、名乗れるのはペンネームだけ。だから今退学を言い渡された奴も本名では無くペンネームなのだ。
それにしても『ジャンルー・ワカラン』ねぇ。
今回退学を言い渡されたあの女はその名を悪い意味で表していた。
あの女の退学を言い渡された経緯を話そう。
まず、この学校には『ランキング』と言うのがある。
『ランキング』とは言わば発表会みたいなもの。
まず『疾必成労の図書館』と言う我が校のサイトに生徒達が思い思いの自作小説を投稿する。
その小説を外部の人間が読み、気に入ればレビューやブックマークしてもらえる。
そしてその数多ある中でも、多くの人に読まれた自作小説がランキングになる。
ランキングが高ければ書籍化、漫画化、アニメ化して名声を得られる。
だから生徒達は切磋琢磨するし、心が折れてスランプに陥る生徒達も居る。
そんな時に出てきたのが『ジャンル詐欺』。
『ランキング』には『ジャンル』がある。
例えば『ハイファンタジー』。
これは異世界が舞台の話。そこで主人公達を動かす。
逆に『ローファンタジー』もある。
これは現実の世界が異世界に侵食される所から始まる。
そんな感じで『ジャンル』が沢山ある。生徒達は自作小説を投稿する時はその『ジャンル』を設定するのだ。
そして、今回退学を言い渡された女は『異世界恋愛』の話を『ローファンタジー』と設定した。
そして高校からの『ジャンル訂正の指示』を無視した。
まず舞台が異世界。登場人物は日本人でも無い。申し訳程度の戦闘要素。
これがローファンタジーだとするなら駄作未満の作品だ。誰がどう読んでもローファンタジーでは無いからだ。
そもそも何故ジャンル詐欺をするか?それはジャンル詐欺をする奴が雑魚だから。
争いの激しい『異世界恋愛』から逃げて、ランキング上位を取りやすい他ジャンルに作品のジャンルを偽造する。
そんな「良い作品を書く努力すらできない雑魚」がよくやる馬鹿な足掻きだ。
しかし読めばジャンル詐欺なんかすぐバレる。
辛口のコメントを打つなら、「その自作小説を投稿している端末でジャンルを調べ直せ。」や「論外」と酷評されるだろう。
そして騙された読者が怒って「ジャンルを変えろ」と言う。だがそんな事をやる奴はそんなコメント効かない。
結果的にこの問題に対応することになった高校は、ジャンル詐欺をする生徒に警告を出し、ジャンルを訂正しなければ退学にしている。
一度警告を挟むのは、悪意なく本気でジャンルを間違っている生徒が居る可能性を考えての警告だ。
しかし警告をしても尚、ジャンルを直す事なく退学を言い渡されて消えた生徒は多い。
今回の女もその1人。
『ジャンルー・ワカラン』。その女のプロフィールには「「自分の書く作品のジャンルがわからない」みたいな意味で付けた名前だ。」と記述されていた。
だがこの女はジャンルの違いを分かっていて、ジャンル詐欺をした。そしてそのジャンルによって退学を言い渡された。
言ってしまえばジャンル詐欺する奴なんて、スランプに陥っている奴以下なのだ。
だからスランプはこの高校に残されて、ジャンル詐欺はこの高校から消える。
退学を言い渡された女は足掻く。理事長は、女のこの高校の全てである『ジャンルー・ワカラン』を理事長権限で完全削除した。そして警備員を呼び女を追い出した。
「残念ながら退学者が出ました。皆様はジャンル詐欺などせず、切磋琢磨してより良い自作小説を作りましょう!」
その理事長の言葉で、頑張って居る生徒達は一段とやる気を出し、なろう作家として成長していくのだった。




