第二章:帝都議員選でも僕ちゃんは悪くない
人民院選挙の大敗から3か月後、今度は帝都議員選挙が控えていた。
「党首、今回は勝敗ラインをどう設定しますか?」
新任の選対委員長、佐藤が質問した。前任の山田は、人民院選の責任を取って辞任していた。
「そうねぇ...現在30議席だから、25議席取れれば勝利ってことにしよう」
またしても現有議席を下回る設定だった。
「党首、それは敗北ラインでは?」
「敗北なんて言葉は使わないで。『調整ライン』って呼ぼう」
言葉を変えれば問題ないという発想だった。
しかし、帝都議員選の準備は困難を極めた。人民院選での惨敗を受けて、党内の士気は最低レベルまで下がっていたのだ。
「党首、出馬を辞退したいという候補者が続出しています」
「辞退?なんで?」
「人民院選の責任を取ってほしいという声が強くて...」
「責任?僕ちゃんの責任じゃないよ。シツゲン議員と裏金議員と応援議員のせいでしょ?」
民意党首は最後まで他人のせいにしていた。
「でも党首として...」
「党首は悪くないの。部下が悪いの」
5歳児のような理屈だった。
そんな中、新たな問題が発生した。
「党首、今度は談合・ズブズブ議員の汚職疑惑が発覚しました」
「また?なんで僕ちゃんの部下はそんなに問題ばかり起こすの?」
民意党首は被害者ぶっていた。
「党首が任命した議員ですが...」
「任命したけど、悪いことをしろとは言ってないよ」
「でも監督責任が...」
「監督責任?僕ちゃんは監督じゃないよ。党首だよ」
屁理屈のオンパレードだった。
帝都議員選挙の結果は、再び大惨敗だった。
がんばる党:30議席→18議席(12議席減)
「調整ライン」の25議席を大幅に下回った。
「これで2連敗ですね」
佐藤選対委員長が暗い顔で報告した。
「2連敗?野球で言えば2ストライクでしょ?まだ1球余ってるよ」
民意党首は野球に例えて楽観的だった。
「普通なら辞任では?」
「辞任?なんで?僕ちゃんはまだ三振してないよ」
「2回連続で大敗して...」
「大敗じゃないよ。18議席も取れたんだから。頑張った証拠だよ」
どんな結果でもポジティブに解釈する天才だった。
記者会見でも、民意党首の強弁は続いた。
「2連敗について責任をどう感じますか?」
「連敗?僕ちゃんは勝ったと思ってるよ」
「どこが勝利なんですか?」
「だって議席を取れたでしょ?ゼロじゃないよ」
「でも大幅に減らして...」
「減ったのは悪い議員が淘汰されただけ。良いことだよ」
どんな角度から攻められても、屁理屈で切り返した。
「3回目の比例院選挙に向けてはいかがですか?」
「3回目?野球なら最後のチャンスだね。でも僕ちゃんはバッターボックスを離れないよ」
「普通、2回大敗したら辞任するのでは?」
「普通って何?僕ちゃんは普通じゃないから党首になれたんだよ」
最後まで辞任する気はなかった。
しかし、党内からは厳しい声が上がり始めていた。
「党首交代論が出ていますが...」
「交代?僕ちゃんより良い党首がいるの?」
「それは...」
「いないでしょ?だから僕ちゃんが続けるしかないの」
強引な理屈だった。
こうして、民意党首の3回目の挑戦が始まろうとしていた。しかし、この3回目が最も悲惨な結果を招くことになる。




