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溺愛ハッピーエンドが欲しくて頑張ったのに、なぜか彼氏はヤンデレ化した  作者: ChaCha


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次はあなたの番です

薄いカーテン越しに、朝の光がやわらかく部屋へ滲み込んでいた。

新居の寝室は、夜の名残を丁寧に片づけたような静けさに包まれている。


白いシーツのしわ、枕に残る体温、

空気に溶けた微かな香り

――すべてが、昨夜が夢ではなかったと告げていた。


「ぜ、全身が痛い……」


思わず零れた声に、自分で苦笑してしまう。

動こうとすると、あちこちがゆっくり主張してきて、身体が昨日までとは違う配置にあるみたいだった。


「無理をさせた」


低く穏やかな声が、すぐ隣から返ってくる。

振り向くと、朝の光を受けた横顔が、夜よりもいっそうはっきりと見えた。


濡れた色を残したままの瞳。

眠りから覚めきらない声の温度。


「むー! えいっ!」


照れ隠しの勢いで、首元に顔を寄せて軽く噛みつく。

歯を立てるというより、触れて確かめるみたいな、拙い仕返し。


「ははは」


笑い声が、胸元に振動となって伝わる。

その振動がくすぐったくて、思わず指先が彼の服を掴んだ。


「次はベルンハルトの番です」


そう言うと、彼は一瞬だけ目を細めた。

その視線に、昨夜の余韻が重なって、胸の奥が静かに熱を帯びる。


彼の腕が、逃がさないと約束するように背へ回る。

抱き寄せられると、骨格の確かさと体温が、朝の冷えた空気を押しのけてくる。

 

触れ合う距離は近いのに、動きは驚くほどゆっくりで、

呼吸の間合いさえ合わせるみたいだった。


「…カレン」


「……次は…俺の番だ」


囁く声が、耳元を撫でる。

昨夜の熱を急いで再燃させるのではなく、確かめ直すように、今ここに在ることを選ぶ声音。


頬に落ちた口づけは、羽が触れたみたいに軽い。

それでも、胸の奥まで届く。

 

重ねられた額、絡む視線、揃う呼吸。

それだけで、世界が十分に満ちていく。


気づけば、離れる理由はどこにもなかった。


最初から逃げ道なんて、用意されていなかったのだと、

朝の光の中で静かに理解する。


この人の腕の中で、恐さは溶けて、

代わりに確かな安らぎが残る。


迎えた朝は、ふたりの歩幅を同じにするための、やさしい合図だった。



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