休み時間 3
『なっちゃん、もう一度、今のところ、そう、ここから』
そう言って、校舎の最上階にある階段の踊り場で、休み時間にダンスの練習をしている。
もうすぐ、蝶の池公園でダンス大会があるから、友達の「なっちゃん」と一緒に出る予定。
『ユリちゃん、もう一度』と、
お互い優勝を狙っている。
ダンスに目覚めたのは、つい最近のこと。
ある時ママの昔の写真やDVD、画像データを見つけた。
そこには信じられない光景があった。
DVDには『集会15』と書かれていた。なんだか、コンサートの様子が映っていた。
どうやら、何かアイドルのコンサートの映像が流れ出した。
そしてよく見るとその中の一人に見覚えのある人物が、ステージを所狭しと走っていた。
『ママだ』
そして画面にテロップが流れてきた。
『 ミッション№シュガー 第25回ドームツアー記念公演
会員番号7 愛称 ゆにこ
キャッチフレーズは あなたの、夢と未来に私を連れてって欲しい!それが (せーの) 私ツインテールゆにこは、あなたのもの。』と流れた。
多分、テスト盤だと思う、DVDのケースも盤も真っ白だったから。
DVDの事を聞くと、ママは恥ずかしそうに言った。
私が生まれる前。
ママは中学生の時からずっとアイドルグループ『MISSION №シュガー』として、活躍し一世を風靡した、ほとんど社会現象にもなっていたって。
キラキラ光っていた。
何回も繰り返し見ている、ママのキラキラしたダンスや、歌は私の誇り、
少しでもママに近付きたくて、ダンスを始めた。
時々、ダンスを教えてもらったりする。
でもあまりママは恥ずかしいからと言って、今はほとんど、教えてくれない。
時々ママに聞いてみる。
『ママは、私が生まれたからアイドルを辞めたのって。』
ママは。
『この世で一番大切なものが、私たちの前に来てくれたの。私は、何よりそれを命をかけて守りたかった。だから、アイドルを辞めたの、後悔なんてするはずはないわ。』
とジッと、私の瞳の奥底を見るように、でも優しい目で。
もうすぐ、ダンス大会が、蝶の池公園で開催される。
きっと、ママの様に。
キラキラしたい。
『なっちゃんもう一度』
『百合川さん今のところもう一度』
拙作に目を通していただいて、大変感謝しております。お時間頂戴いたしております、重ねて感謝申し上げます。




