ボールと、さがしもの 4
ぼくが、できることはなんだろう。
「そうだ、一緒に探す事だ。」
そう思って、早速、校庭の端で探し物をしているコーチの所に行って、もう一度、一緒に隅々まで探すことにした。
その時には松根さん、宮竹さん、百合川さんも、「私たちも一緒に探すわ。」と言ってくれていた。
日は傾いてきたので、モモちゃん先生、逢佐古コーチは僕たちの親に少し帰宅が遅くなるからと、連絡をしてくれた。
桜の精や、梅の精も僕たちと一緒に探している。
モモちゃん先生と、コーチはグラウンドの真ん中に立ち何か話をしていた。
夕日に照らされている二人。
僕は何をしているんだろう、ボーッと何気なく二人の様子を見ていた。
そうすると、女子三人組はツカツカ寄って来て、グイッと『何、二人の会話を盗み聞きしてるのよ、デリカシーの無い!』と、急に僕の腕を引っ張った。
びっくりしながら二人の処から離されつつ『だから、男子はバカばっか。少しは気を使いなさいよ。』と止めを刺された。
僕は、何が何だか分からず、何に怒られているのか、何がバカなのか、さっぱりわからないままだった。
離れつつ、『先生とコーチ、イイ感じじゃない』女子三人組はキャーキャー言ってた。
僕はそれを見ても相変わらず、分からずじまいだった。
もう辺りも暗くなり出し、あきらめかけた時、そうだ、と何か思い出したようにコーチは叫んだ。『桃田さん、あの避雷針と鉄棒の直線上に埋めたはずだ。』と言い、コーチは鉄棒のところまで走っていった。
鉄棒の後ろに回り、校舎のてっぺんにある避雷針を片目で鉄棒越しに見て、くるっと回れ右をすると。
モモちゃん先生が『あっ』と声を上げ『私も思い出した。逢佐古さんが鉄棒の後ろで回れ右をしているシーンを思い出したわ、確か鉄棒から百歩のところ。』
『そうだ、百歩。』
そういいながら、僕を呼び、『ここからまっすぐ百歩歩いてくれないか。』
コーチにそう言われ、
一歩二歩、と歩いて行き。
ここが百歩目、と立ち止ったところは、丁度、桜と梅の間だった。
園芸部の倉庫からシャベルとスコップを持ってきて、そこを掘ることにした。
しばらく代わるがわる、その場所を掘ると、シャベルの先に何か当たった。
金属の大きなタイムカプセルだ。
それを見て、コーチと先生は手を取り合って喜んでいた。
その二人を見ていたら、先生、コーチが僕たちと同じ小学生の女の子、男の子に一瞬見えた。
同窓会にも間に合い、そしてパワーを力を取り除くことが出来た。
よかった。
そして翌日、朝、登校して教室に行くと、何やら教室が騒がしくクラス中がワイワイ
言っていた。
それもそのはず、ドッジボールや、サッカーボールや、ソフトボールの球、ポートボールの球、軟球やらが教壇を埋め尽くすように一面転がっていたから。
ボールに何年何組とか、持ち主の名前を書いてあるものがゴロゴロと。
足の踏み場が無いくらい。
教室の後ろの方を見てみると、桜の妖精、梅の妖精が立っていた。
当然、僕にしか見えてないけど。
そして、ニコニコしながらグーの合図をしていた。
平安時代にもグーの合図はあったのか疑問だけど。
でもよかった、タイムカプセルを発見してそのパワーを取り除いたおかげで、異空間に取り込まれていたみんなのボールが戻って来て。
みんなの喜ぶ様子を見ていた、桜と梅の精の方に駆け寄って『これから、ボールが枝に当たらないように、放送部の部員や、朝の会や、クラス会や、学年集会があるときに全校生徒に、お知らせする様に言うね。』と伝えると、二人ともニコッと笑い、『よろしくお願いね。』と言って、白い影になってスッと消えた。
放課後、園芸部の部活動の時間になって、部員のみんなが集まっている時に。
ボールが戻って来てよかったね、とみんなで話し合っていると。
『でも。』と佐保姫は、気になることを言った。
『桜と梅の精がいてたから、気にならなかったけれど、よく考えたら桜と梅の花そのものが同時にこの時期まで咲き続けているなんて、おかしいわ。今はもう梅雨の時期よ。』と。
僕は『エッどういうこと。』と、佐保姫に言った。
『本当は、もっと大変な事が起きているのかも。』と言って、佐保姫は言った。
この時、本当の異変に気付くのは誰一人いなかった。
あの佐保姫でさえも。
目を通して下さり、誠にありがとうございます。




