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ボールと、さがしもの 3

『梅の花をあしらった着物の女の人は梅の精、桜の花でできた髪飾りを付けている女の人は桜の精。』、と佐保姫さほひめは言った。


『そなたたちが、わらわを、和歌の力で呼び寄せることが出来た事と同じ。和歌に込められた思いが、彼女達を呼び寄せたの。』と続けた。


 そして『モモちゃん先生、逢佐古おうさこコーチは同級生なんでしょ、そしてある物を探している。』と、モモちゃん先生に向かって言った。


『エッ、どういうこと。』僕は、佐保姫さほひめと、モモちゃん先生を交互に見て言った。


『確か、十数年前モモちゃん先生と、逢佐古おうさこコーチはここの学校で、クラスは違うけど、同じ学年。』

 と、佐保姫さほひめは言った。


 それに続いて、

『卒業式の実行委員で、一緒に活動していた。』

 桜の精は言った。


『その、委員会で、みんなでタイムカプセルを埋めることになった。』

 梅の精は続けて言った。


『タイムカプセルって、何?』

 僕が聞くと。


『思い出の品物、写真、未来の自分にてた、手紙などを丈夫な箱に入れて、それを地中に埋め、何年後かに記念日などを決めてみんなで掘り起こし、その時の自分に出会う。そう言うものらしいわ。』


 いつの間にか、花壇かだんに来ていた松根さんが言った。

『私のお父さんも音楽学校で、卒業記念演奏を録音した、CDとかをタイムカプセルに入れて埋めたって言ってた。それと同じと思う。』

 続けて、『その時の、様子がアーカイブでテレビニュースに流れるほど、流行(はや)っていたらしいの。』と小さい声で言っていた。


 なぜだか、休日なのに百合川さんと宮竹さんが、この園芸部の花壇にやってきた。

『今日、蝶乃池ちょうのいけ公園でダンス大会があったんだけど、その予定が急に中止になって、ついでだから、学校に寄って花壇かだんの様子を見に来たよ。』と百合川さんが、ひょいと花壇かだんふちに飛び上がって、

『松根さんのお父さん、世界的に有名な指揮者だったわね、だからよね、ニュースになる位だもの。』

 と言った。


 僕は、『あ。聞いてたんだ。』と思わず口に出しちゃったものだから。

 百合川さんがこっちを、ズイっと見て。ニッて笑った。

 エッ何。僕は声を出さず思っていたら。

『やっぱり、花壇かだんの様子が心配で、来ちゃった。』と、百合川さんがみんなに向けて続けて言った。


『私も花壇かだんの花が気になって様子を見に来たらそこで、百合川ゆりかわさんがいて、みんなが居てるので、びっくりしたわ。』宮竹みやたけさんが続けて、『私は、編み物のアイデアが無いかなーと、デザインを探すのに。』と言いながら、花を一輪ずつながめるようにみていた。


 モモちゃん先生は『その通り、今度、同窓会があるから当時の実行委員の私たち二人がその同窓会までに掘り出せるように探してたの。』


 僕は『じゃあそのタイムカプセルを探してたんだ。』とたずねると。


『そう、桜の精さんと、梅の精さんがいう通り、卒業式の時、何年後かに掘り出してみんなで同窓会をしようと約束したの。

 でも桜か、梅の木かどこの木の下埋めたか分からなくなってしまい、私たち二人が記憶を頼りにそれらしいところを探して回ったの。

 何処どこに埋めたのか、記憶があいまいで、植樹しょくじゅの記念碑、とか、記憶の糸を辿たどっては見たけれど、全くと言っていいほど、そのタイムカプセルには辿たどり着かなくて。』

 モモちゃん先生が困った様子で言うと。


『そこで、同窓会の日にちが迫る中、あせっている想いと、みんなの事を想う思いが、余計に重複ちょうふくし、それがある力となった。』

 と、梅の精が言った。


 佐保姫は、

『そうね、前にも言ったように、学校って一種のパワースポットって言ったわね、その中でも沢山たくさんの思いの詰まったタイムカプセルなんて、すごいパワーを持っているの。その思いが、その力が、彼女達たちの気と、』

 佐保姫さほひめ一呼吸置ひとこきゅうおいて。


『グラウンドでしている、サッカー、ドッジボール、野球や、ソフトボールが木の枝によく当たっていて、そしてよく折れているらしいわ。そなたたちは特に当てたくて当てているわけではないけれど、そこに桜の妖精と、梅の妖精は、自分たちの身の危険を常々感じていたらしいの。』

 桜の精と梅の精の近くに寄り添いながら。


『それが、タイムカプセルのパワーと、桜と、梅の精の危険から、逃れようとする思いの相乗効果そうじょうこうかで、空間をゆがめてしまい、近づいたボール、特に危害きがいおよぼすようなボールなど、異空間に閉じ込めてしまった。』


佐保姫さほひめ、どうしたらいい?』

 と、僕はたずねてみた。


『僕たちは、桜や梅に当てたくて当てているわけじゃないし出来るだけ、ボールを近づけないようにしているつもりなんだ。』


『私たちは、確かにボールを枝にぶつけて欲しくないと願っていましたが、あなたたちが困るような、ボールが消えてしまうような事まで、願っていません。』

 桜の精と梅の精は声をあわせて言った。


『そうね、そのタイムカプセルを見つけてあげて、パワーを取り除いてあげて、しかも、ボールが木や枝に当たらないようにする事ね。』

 佐保姫さほひめは、グラウンドの方を見渡みわたして言った。

いつも、目を通して下さり誠にありがとうございます。いつも感謝申し上げます。

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