ねご家に来る
あれから俺がどうしたか?
いつもの公園で、彼女から猫を受け取った。真っ白いような灰色のような猫だった。
ひぅみーぃ
公園で愛されてきたのか、猫はとても人懐っこかった。…へんな鳴き声だけど。そこは、まぁ…どうでもいいか。
アパートに帰ってくると、いつも出迎えてくれるはずの先住人は何故か空中に浮かんでいた。
まだ拗ねているのだろうか?そもそも足が床についていない時点で幽霊なことは確定してしまったとも言える。
「やっぱり俺は疲れてたんだな」
抱えた猫と共にお風呂場へ行き手足を洗おうとすると、全体的に灰色だった猫の泥は綺麗になり、本当は白猫だったことが明らかになった。
「お前、白猫さんだったのか」
ミィーと鳴きながら俺を見上げる猫の愛しさは、誰かさんとは比べ物にならない。
タオルにくるんで濡れた毛を乾かそうとした時、猫は一目散に先住人のほうへと走っていってしまった。
「猫にも……アレは見えてるんだ」
空中に浮かんでいても垂れ下がっている彼の長い黒髪が猫は気になったようで、ちょいちょいとオモチャで遊ぶかのように夢中になっているようだった。
彼は、そんな猫が気に入らないのか、子猫がジャンプしても届かない位置にいってしまうと、猫も負けじと俺の本棚によじ登り彼のお腹目掛けてジャンプをした。
見事に彼の腹の上にはダイブが成功する。
『…………………。』
なにも言わない彼に、怒っているのでは?と思い始めた頃に、彼が猫の身体を撫でるとすぐに猫は眠りについてしまったようで、ようやく彼は床に降りてきた。
『……ほれ』
眠った猫を俺に差し出してきた。
「ありがとうございます。手懐けるの上手いんですね」
『んなわけあるか、動物は苦手だ』
「そうなんですか?」
『ぶへっくしッッ……動物アレルギーだし』
彼は、俺に向かってシッシッというアクションをとると、むしろ自分がどこかえへと消えてしまった。
幽霊にも動物アレルギーとかあるんだろうか??
そもそも、幽霊って壁をすり抜けたりできる透明な生き物のはずで、こんな猫を掴んだりすることはできるのだろうか?ポルターガイストで机のものを床に落としたりできるわけだから、物を掴むことくらいならできるのだろうか?
…彼のことは、どうでもいいか。