一歩
この話で一章完結となります!
イレギュラーな冒険を終え、ユウたちが眠りについた頃。ギョウさんは酒場にヴァイスト、メントゥス、コーラスを集め、真剣な表情で今日の出来事を語った。
ギョウ「・・・って事があったんだ。そして疑問にも思う。龍神は今まで小さな集落や、弱みを握り信仰させられる村や町にしか何かをしたことは無いはずなんだ。でも今回あの洞窟にナイアスがいた。これは何か龍神が違うことを企んでいる可能性があるように感じるんだ。」
コーラス「そうだねぇ。あの龍神のことだし。ナイアスを動かすなんて。よっぽどな内容じゃ無い限り考えられないわ」
メントゥス「でも、龍神の最終目的を考えれば。僕達の予想より遥かに早いけど次のフェーズにいこうとしていると考えるのが妥当だろう。」
ギョウ「ああ。しかし恐らくまだ龍神は姿を現さないだろう。だが側近に出くわす可能性は遥かに跳ね上がった。正直俺は単騎で迎撃できるが。他は3人いてようやく一人相手にできる程に戦力差があるだろう。」
ヴァイスト「いやぁお頭!流石にそれは言い過ぎじゃ無いですか?」
コーラス「いや。言い過ぎじゃないわ。むしろだいぶこちらに甘い評価をして3対1が妥当。それくらいやばい奴らなのよ。あいつらは。」
ギョウ「とにかく。今まで以上に危険がどこにでも潜んでいる。そして前回の石像破壊対策。あれをしてくるって事は、恐らくこちらの存在に龍神側も気付いている。」
ヴァイスト「それってかなりやばい状況って事ですか・・・?」
メントゥス「いや、不幸中の幸いか。今のところはメンバーまでは割れてないと思う。だが次の石像破壊の際。必ず僕達はバレる。そこからは常に襲われる危険が付き纏うだろうね。」
緊迫した空気が立ち込める。龍神という存在の強大さ。そしてその側近はギョウさんにも近い実力者たち。彼らが目指す龍神討伐は遥か夢物語のようにも感じさせる。
ギョウ「まあ!気にしてもしょうがない!まだ生憎俺たちが反龍神組織とは割れてないんだ!今日は飲もう!2つ目の石像破壊を祝して!」
皆がうんうんと頷き、乾杯する。今日がこのメンバーでできる最後の晩酌かもしれない。そう思いながらも誰もそれは言葉にしなかった。
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鳥の鳴き声がする。その音でゆっくりと目を覚ますユウ。昨日の冒険で感じたワクワク感、そして恐怖がまだ残っている。そんな自分を振り払うため、すぐに筋トレを始め出す。
「もっと!もっと基礎を鍛えて魔法の強化範囲を広げるんだ。じゃないとあのスピードにはついていけない!」
「兄様ぁ。おはようございますぅ・・・。って何なさってるんですか?」
横で寝ていたマイは目の前に汗ダラダラでスクワットして「朝の運動ってやつさ!マイよ!」と言うユウを見て、少しだけ引いていた。
朝の運動を終え、体を洗い、ご飯を食べたユウ達は昨日購入した装備を身につけ、集合地点に向かう。
「兄様・・・。兄様は昨日の洞窟で私を、体を張って守ってくださいました。でも私は何もできなかった。足手まといになってしまいました。」
「そんな事ない!」と言おうとしたが、マイにはそんな言葉は要らなかった。
「だから!私ギョウさんやヴァイストさん達と過ごせるこの旅で。必ず自分の特異を操れるようになります。絶対になります・・・!」
震えたような、でも決意に満ち溢れた声に、僕は優しく微笑むことしかできなかった。
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「おお!来たなぁ!昨日は災難だったなぁ〜。何はともあれ冒険者登録おめでとう!頑張ったなぁ!二人とも!」
先についていたヴァイストは僕達にそう声をかけてくれた。それから程なくして。組織総勢20人が集まる。
「集まったな!それでは次の目的地に出発する!4つの馬車を用意した。皆準備が出来次第教えてくれ!」
ギョウさんの掛け声と共に馬車に乗り込む各員。次の目的地まで5日ほど掛かるそうだ。この5日間で僕達は成長しなくてはならない。そう心に言い聞かせ。奮い立たせる。ここから始まる新しい旅や出会いに不安や期待を持ちつつも、地面を強く踏み締め一歩を踏み出した。
次回二章突入!
ユウとマイに更なる試練と成長の気配!
完成し次第すぐにアップしますので!
乞うご期待です!