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才能

時間は少し遡る。ヴァイストに呼ばれ、魔法を教わることになったマイ。


「基本はお頭から教えてもらったってなぁ。なかなか才能があると聞いたが魔法の出力はすぐに上がるものでは無いんだ。魔法の行使を繰り返して、少しずつやっていかないと、魔法は成立しないし、最悪魔力が暴走しちまうんだ。」


「そうなんですね・・・。魔法は最大の武器であって、諸刃の剣でもあるんですね。」


「そうだなぁ!でも俺が教えてやっから心配ない!まずは魔力で炎を作るんだ。そして具現化した炎に魔力を込める。そうすることによって威力の底上げができるだよ!そしてこの炎に命令を与えてやると!こんな感じに火炎攻撃魔法になるんだ!」


なんてわかりやすい説明なんだろうと感心しつつ実際にやってみるマイ。


「具現化した炎に・・・魔力を込める!・・・ってあれ。ヴァ、ヴァイストさん。炎が大きくなるのが止まらない・・・!」


「危ないマイ!それに命令を与えて放たないと飲み込まれるぞ!」


ヴァイストの言う通り前方に向かって魔法を放出する。威力の反動で少し後ろに飛ばされるマイ。尻餅をついて目を開けると、遥か遠方まで焼け焦げていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


爆発音を聞き駆けつけたギョウさんとユウ。目の前の光景に唖然とするが、すぐさま我にかえり状況を確認する。ユウはマイの元に駆け寄り「大丈夫か!」と声を掛ける。ギョウさんは固まって動かないヴァイストの肩を掴み揺さぶった。


「おい!ヴァイスト!固まってないで何が起きたか説明しろ!」


我に戻ったヴァイストはありのまま起きたことを語った。


「あんなの初めて見た・・・。魔力が体内からじゃなく周囲の魔力を取り込むかのように膨張していた。マイはその制御ができなかったから、前に放つように言ったんだ。」


周囲の魔力を活用して魔法を行使する。これがどれだけ特異な事か。魔法を覚えたての僕でも容易に想像できた。


「そ、そんな事ができる人間なんて聞いた事もない。もしかしたらこれがマイの特異体質なのかもしれないな。だとしたら。マイはとんでもないほどの魔法の才を秘めていることになる。」


珍しく驚き戸惑うように話すギョウさん。マイは自分の特異体質を知り、立ち上がる。


「ヴァイストさん。私この力を使いこなせるようになりたいです!この力さえ使いこなせれば、兄様を守れるようになります。」


マイは自分の絶大なる才能を僕を守りたいという一心で極めたい。そう言ってくれた。でも僕はどこかでマイに劣等感を抱いていた。


「ギョウさん!僕は1日1万回素振りしてやります!才能がなくたって努力で全てカバーすれば問題ないですから!ね!そうですよね!」


そのムキになった顔をするユウに「そ、その通りだ!」と子供を相手にしている時のように乗ってあげるギョウさん。そしてひと段落し、4人は休憩地に戻る。


「さあ!再出発だ!ここから経由地であるギャルド城下町までの約10時間。休憩なしで歩くことになる!着いたら1日休憩し道具の補充や装備を整え再出発する予定だ!では行こう!」


ギョウさんの号令と共に経由地へと向かい出発する一行。ユウは歩きながら素振りをしていた。マイは4大元素を繰り返し具現化し操る練習をする。二人はお互いの目的のために強くなりたい。そう真剣に思い始めていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「さあもうすぐだ!ギャルド城下町はもう目の前だ!」


城下町が近づいて、やっと休めそうだと安堵していた一行。しかしそれとは裏腹に激しく息をあげていたユウ。本当に10時間素振り歩きをしていた。


「ユウ、君は結構負けず嫌いなんだな!その調子だ!と言いたいところだが、城下町に着いたらしっかりと休むんだ!休息をしっかり取るのもまた、強くなるには必要だからな!」


「いや!まだまだ!」と素振りを続けているユウにやれやれと首を傾げるギョウさん。そんなギョウさんの前に、とんでもないことをするマイが現れる。


「ギョウさん見てください!炎・水・土・風の具現化を同時に操れるようになりました!」


しれっととんでもない神業をしているマイに、ギョウさんは開いた口が塞がらない。ユウは素振りの速度が2倍になる。遠くから見ていたヴァイストは失神していた。


そんなこんなギャルド城下町に着く。ここはこの世界で4番目に大きい町で、世界地図の真ん中らへんに位置するため、物流の経由地になることが多いそうだ。初めて村を出て大きな町に来たユウとマイは、初めてみる建物や食べ物。人の多さ。一つ一つが新鮮で目をキラキラ輝かせていた。


「では、明日またこの場所に集まり、再出発とする!それまで解散だ!」


その合図とともに全力で町に行こうとするユウとマイはギョウさんに掴まれる。


「君達はまずこっちに来たまえ!冒険者ギルドに連れて行ってやる!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

冒険者ギルドとは、冒険者として登録し人々の依頼や、新たな生物の発見。未開の土地や迷宮の踏破などを行い、内容に見合った報酬を提供する組織。そうギョウさんは前にテントで教えてくれた。


ギャルド城下町の冒険者ギルドに着くと受付嬢の所へ僕達を連れていく。


「あら!ギョウさん久しぶりねぇ!冒険者はやめたんじゃなかったの?」


「ああ!一旦冒険者はやめたさ!今日は新しく冒険者になりたいって者を連れてきたんだ!」


親密そうに話す二人。ぽかんと見ていると前に突き出される。


「あら、可愛い冒険者志望者さんですね!・・・ってギョウさん本気?」


「ああ!本気さ!」


不安そうな顔で受付嬢は僕達に向かって苦言を呈する。


「ギョウさん。冒険者は確かに夢のある職業よ。でもこんな小さい子達にできるほど簡単な者じゃないのよ。みすみす見殺しにすることなんてできません。」


「誰の弟子だと思っているんだ!俺とヴァイストの教え子なんだぜ?」


「それでもです!・・・まあでも気持ちはわかりました。ちょうどこの町のすぐ近くの洞窟にラグドルが住み着いたから討伐してほしいって依頼があるの。二人だけでこの依頼を達成できたなら、冒険者として登録して差し上げます。」


「そうか!ユウ、マイ。もちろん引き受けるんだろう?」


思いのほか早く訪れた冒険者になる機会。逃すわけにはいかない。


「もちろん!引き受けさせていただきます!」


「そうと決まれば準備しなくてはな!ありがとうメルナ!」


受付嬢のメルナは、「全くもう!」と言いながらどこか嬉しそうな顔で僕達を見送った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

初めての依頼を引き受けることになったユウ達。ギョウさんは僕達を武器・防具屋に連れてきてくれた。


「ラグドルっていうのは、オオカミのような魔獣だ。基本的に武器さえ持っていれば、ある程度どうにかなるだろう。しかし油断は禁物だ。今回は好きな武器と防具。一つずつ俺が買ってあげよう!」


「そうなんですね!ではお言葉に甘えて・・・。」


たくさんの武器種があった。槍、杖、爪、剣、大剣、斧、魔法書。でも僕は一択だった。


「僕はこの剣をください。」


僕は即決で剣を選んだ。マイは杖か魔法書で悩んだ結果、杖を買うことにした。購入した武器防具を、実際にきてみせた。


「二人ともいいじゃないか!冒険者らしい見た目になった!剣は己の技量により、最強の武器にも最弱に武器にもなるがユウならすぐに使いこなせる!杖は魔力の制御の安定化、魔力出力の底上げをしてくれる!魔法メインの冒険者には必須の武器だ!あとは魔力を流すと明かりになるこれと・・・・。」


いろいろ説明してくれるギョウさんはどこか楽しそうだった。必要な道具と武器防具が整い、ラグドルが住み着いた洞窟に向かう。


「着き次第俺は洞窟の外で待っている。何かあったらすぐに呼ぶんだ。命ば一番大事だからな。」


「わかりました。危険を感じたら呼びます!」


洞窟は街を出て30分ほど歩いた場所にあった。洞窟内からは獣臭が立ち上る。初めての冒険に不安とワクワクがひしめき合っていた。


「では、検討を祈る!」


「行ってきます!」「行って参ります!」


ユウとマイは勢いよく洞窟の暗闇の中へと消えていった。


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