噓と狂気の宴【12】
二日目昼、終了。
二日目夜。
獣は、村を彷徨い、唸り声を響かせ――
占い師は、とある人を占い、正体を暴き――
霊媒師は、前日処刑された魂の本質を見抜き――
騎士は、村民を守る――――
そして、朝日は昇った。
二日目夜、終了。
三日目昼。
* * *
ざわざわ、と嫌なざわめきが聞こえ私、月乃玲明は目を覚ます。
ただ、何となく何があったのか、という予想がついてしまい、背筋に伝うひやりとしたものを感じながら手短に支度を済ませ、家の外へと出ると――――
「月、乃さん…………」
白杜さんは、真っ青な顔で。
他にいるのあや淡海さん、風夜さんといった数名は、そこまで悪い顔色をしていないながらも、みんなの中央にある、白い布に包まれた塊からは、目を逸らして何とも言えない顔をしている。
そうこうして、皆で沈黙の間を保っている内に、この場には峰さんを除いた全員が、集まっていた。
そして、その事実は「ある理由」から私の心臓をどくどくと異様なほどに早い脈を打たせた。
「…………会議場に、行きましょうか」
ようやっと絞り出したような風夜さんの声を聴き、数名がやっと冷静になり、一人で動くのが難しそうな白杜さん、そして端っこで蹲っていた如月さんを支えながら、皆でいつもの会議場へと移動することになった。
* * *
「確認が取れましたので、ご報告いたします。――本日の犠牲者は、峰叶斗さんでした」
薄々みんなが気づいていたであろう現実を、風夜さんが改めて言葉にし、私たちの前に突きつけた。
「そして、時間もだいぶ押してしまっていますので、このまま三日目の会議を始めさせていただきたいと思います」
しかし、感傷に浸る余裕など、私たちに残されてはおらず、すぐにでも議論にうつらなくてはいけなかった。
…………けれど、誰も言葉を発することはない。
占い師を騙る、淡海さんも結果の共有をしようとはしなかった。
私はそんな沈黙の間に耐えかねて、覚悟を決めると、言葉を紡ぐ。
「今日、占い結果について、言わなくてはいけないことがあります」
その言葉に、みんながはっと顔を上げ――
「…………取り乱しておりましたが、わたくしからも話さなくてはいけないことがあるのです」
淡海さんも、何か話すことがあると、私に続いて言葉にした。
「私から話してもよろしいでしょうか?」
「いいえ、わたくしも今日は譲れませんわ。後に言う方が圧倒的に不利ですもの」
今回はお互いの主張が被った。
しかし今回はことがことだけに私も引くことが出来ないし、どうするか……とにらみ合っていると、風夜さんが一つの提案をした。
「まず、占い結果や対象を選んだ理由は置いておくとして、二人で同時に占った人だけでも発表したらいかがでしょうか」
「確かにそれが一番かもしれませんね」
「…………えぇ」
私も淡海さんも、二人が風夜さんの意見に納得したためその案を使うこととなった。
「では簡単に私が掛け声をかけるので、二人とも誰を占ったかだけ、お伝えください。
それでは、せーの――」
風夜さんの声に合わせ、私も、淡海さんも同時に口を開き――
『――峰叶斗』
「………………え?」
「………………はい?」
『………………』
見事に、シンクロすることとなった。これには聞いていた村民全員が、ありえないとでも言いたげな顔でことらを見ている。
「…………えぇっと、淡海さんのいう「峰叶斗」さん、は今日犠牲になってしまわれた…………」
「……それ以外にいるはずもないでしょう」
一応、別人物の可能性を探り、問いかけてみるが、やはり見事に同一人物の峰さんなようだ。
「これは…………何が起こったといえばいいのでしょう……」
この奇妙な状況に、まとめ役を担っていた風夜さんでさえ、頭を抱える。
「……まず、一つ目の偶然として、二人の占い対象が被ったことだろ。
で、次に今日、あいつが死んだこと。……この二つがことをややこしくしている原因なわけだが……」
何があったとははっきり断定できないまでも、ことをややこしくする原因は、一条さんがまとめてくれた。
「とりあえず、なんで峰さんを占ったのかでも、聞いてみますか?」
「……そうですね」
まだ話すことのできなさそうな白杜さんと、如月さんを除く三名での議論の末、私たちが峰さんを占うことにした理由をそれぞれ述べてもらおう、という結論に至ったようだ。
「どちらから言いますか?」
風夜さんが問いかける。
「恐らく、こうして占い対象が被るということは、同じところに目を付けた可能性が高いので、理由もかぶるかと思いますが……」
「それはまぁ、今回の場合仕方のないことでしょう。一旦そこについては議論しないこととするので、とりあえず両方とも理由を述べるようにしてください」
風夜さんからのその言葉を受けて、私が返答を返す。
「それならば、私は後でも構いません」
「…………ということなので、淡海さんからよろしくお願いします」
「えぇ、ありがたくわたくしから話させていただきますわ」
そう言うと、淡海さんは席を立ち上がり、全体を見渡すと言葉を紡ぎだした――




