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KOMION  作者: 猫のような兎
6/16

カタクリ乱用禁止

契約シーンはカーットしました。

短めです。

その辺で摘んだカタクリの蕾を生でかじりながら、レイスの傷口が癒えていくのをぼーっと眺める。

そういえば、俺もいつの間にか血の契約の為に切った手の傷がない。

…勇者って便利だ。


しかしせっかく薬草摘んだのに使えないではないか。

 もったいない。植物も生きてるんだぞ。

…カタクリ、やはり茹でなくでは駄目か?醤油が欲しいな…。旨いが。

日本ではもうほとんど見られないからな。これだけ生えてると感激ものだ。

 絶滅危惧種のギフチョウの貴重な食料なのだから、カタクリも保護してもらいたいものだ。


花言葉は初恋、嫉妬、寂しさに耐える。乱獲や盗掘。

土地開発とかで数が減っていってる野草の一つ。名前の通り、昔は片栗粉の原料として使われていた。


レイスにも食わせてやろうと開けっぱなしの口に投げ入れる。

俺の世界では貴重なんだ。心して味わえ。


傷口同士を押し当てて血を送る無理やり方法をしたが成功したようだ。

 あのときは薄めてたし、飲ませようとしていたが。


…今は復活したが、顔の下半分消えてた。

飲ませられなかった。しょうがない。


レイスをガスッという効果音付きで蹴ってみる。骨も治っているようだ。

 む。なら引きずってもいいか。馬車引っ張るのも面倒だしな。


片足をむんずと片手で掴む。

 しかし一歩踏み出した所でレイスの足が僅かに動いた。


「って!どぇわああぁっ!」

「起きたのか。早かったな。カタクリ旨いだろう。」

「え?あー…ってお前!引きずる気だっただろ!」

「……。」

「…なんだよその残念そうな目はよぅ」


何を言う。

負担が減って大変喜ばしく思っている。


はぁ…。と溜め息を尽きながら、立ち上がるレイス。

そして目に付いた手の甲に驚いたような、困ったような、

混乱したような難しい表情を浮かべた。


「で?これはー」

「契約成功したようだな。」


刻まれているのは複雑な形をした紋章の様なもの。

微かに光っている。

…ような気がする。気のせいか。


「マジかよ…。勇者は王族の女性しか契約出来ないって聞いたんだけどなー」

「なんでもいい。」


それまで嘘なのかよと苦笑いを浮かべるレイスにそう返した。

世の中、気にしても意味のないことがたくさんあるんだ。

 結果おーらい万々歳。それでいいじゃないか。


「あんた、かなりプラス思考だよな…」

「ありがとう。」

「誉めてねぇって。」

「ともかく、だ。」


突っ込みを軽く避けつつ、前を指差す。

 ようやく森の出口が見えてきていた。

いろいろ摘めたし、運が良かった。


「近い国、何処だ?」

「知らずにあのスピードで進んでたのかあんたっ!?」

「…まぁ、時間に追われてる訳でもない。近国にはゆっくり行こうと思う。お前は?」


一瞬の停止の後、やれやれと肩を竦めるレイス。


「あのな、契約者だぜ?離れれねえっつーの。」

「何故?」


聞くと、勇者のコミオンというのはあまり離れすぎると、

勇者は平気だが契約者の方に大小はあるが、なんかしらの症状が起こるらしい。


それは初耳だ。知らなかった。


つまり…、

 この世界から契約者を守っている勇者の力が薄くなり、

この世界がこれを好機とばかりに勇者の血が混ざってるとはいえ、力は弱いその者を追い出そうとするのだろう。


もしくは勇者がその者にとっての世界のような物となり、世界から離れれる力が無い故に体が拒絶するのか。


思考に没頭してると、レイスが俺の顔の前で手を叩いた。



「まぁ、面倒な事にはなったけどお陰で命拾いしたぜ。よろしくな相棒。」

「ああ。よろしく。」


ここからが本当の世界旅行だ。

思い切り楽しもうじゃないか。




「でもまずここどこだよ」

「知らん」



いつかどっかに着くだろ。たぶん。









                     The world is simple and difficult.

                           And, it is difficult and easy.

               ―― 世界は何の味方なのか、何の敵なのか

                             『勇者と契約者編 End』

いちあどはカタクリがバイオでエリンギに醸されてコンタミったので泣けてきます。

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