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KOMION  作者: 猫のような兎
3/16

姫?美女?知らん

勇者は魔王を倒す者。

いつからその概念が出来たのかはわからない。

魔王が何故現れるか、勇者が何故現れるか。

魔王が悪で勇者が正義。何故?

魔王が魔物の王ならば、人間の王は何故戦わない?

何故一般人である勇者に全責任押し付ける?


 知るか。


でもそういうものなのだ。

なんだっていいじゃないか別に。


10年間、城に使え続けたメイドは軽く鬱になりそうだった。


時々哀れむような、レイスさんの目線が痛い。


「考えてみたのだが。」

「何をだ、何を。」


コーヒーを一飲みし、突拍子もなく勇者様はレイスさんに向けて言った。

小一時間ほどかけて説明した話の感想。


「百聞は一見にしかずって言うよな。」

「「………。」」


メイドさん、可哀想に。

レイスさんの目がそう語った。





------------------------


なんかよく分からないが、取り合えず勇者は魔王を倒せとのことらしい。

 いないものをどう倒せというものか。


コミオンについては、めんどくさい制度だ。

 迷信とかではなく、本当に消えるらしい。勇者は消えないらしいが。


すべきことがはっきりしてないのに使われるのは割に合わん。


さっさと城を出よう。


空になったコーヒーをテーブルに置き立ち上がる。

せっかくの世界旅行だ。

 観光しなくては。



がちゃりと扉が開いた音。

目だけを向けると、メイドが頭を下げていた。


「勇者様、血液検査をしますので腕をよろしいでしょうか?」

「?…分かった。」


勇者かどうか調べる検査でもするのだろうか?

素直に腕を出すとレイスが意外そうな表情を浮かべる。


「王様が勇者様とお二人で話されたいそうです。」


血を採ったメイドとは別の金髪の兵士が頭を下げる。

 レイスをちらっと見た。


「行ってこいよ。あんまり王様困らせちゃ駄目だろ?」


レイスは意外に城になじんでいる。

 似合ってはいないが、慣れているといった感じだ。

実は結構いい育ちなのか?そんなことを考えつつ立ち上がる。


王と二人、か。気は進まないが…まぁ、大丈夫だろう。

彼はしぶしぶと部屋の外に出た。




部屋の前にいた兵士に案内されながら長い廊下をひたすら歩く。

当然だが城って広いな。

皆、迷子にならないのだろうか。


兵士が一つの部屋の前で止まる。


「こちらです。」


仕方ない、部屋に入ろうとドアノブに手を伸ばした。


ちくりと首に何かが刺さる。

その方向に蹴りを入れ、壁に埋まった案内の兵士。

その手には注射針…らしきもの。


しまった…


時既に遅く意識が途切れた。


------------------------------


「何話してんだ?あいつ」


王様、ショウとまともな会話出来てるかなぁ…。

 大変そうだ。時間かかるのもしょうがないかもしれない。


53杯目のコーヒーに口をつける。

 カフェイン中毒になったらどうしてくれるんだ。

一杯につき100mgカフェイン含まれてんだぞ!

致死量が5~10gなんだから、致死量範囲内じゃねぇかよ!


  みなさん、コーヒーの飲みすぎには気をつけましょう。

  適度なコーヒーはパーキンソン病、大腸がん、直腸がん、2型糖尿病の発生リスクを減らします。

  アルツハイマー病・肝細胞がん・胆石の発生リスク低下に効果があるかもしれない?とも言われています。


現実逃避は置いといて、今をどうにかしてほしい。

さっき、ショウにいじめられていたメイドさんと2時間、気まずい雰囲気を保ち続けている。

 ていうか、俺帰っていいんじゃ?

逆に何で待ってるんだ。でも2時間待ったのに今帰るのはなんか癪にさわる。


アルサーダムの城よりは広くないが、この豪華さというか貴族王家というか…

 苦手だ。すごく苦手だ。


ぐしゃぐしゃと頭をかきむしった。

 あああ!城とかあんまり居たくねぇのに!

と、メイドさんの引いた視線が刺さる。


「ご、ゴメンナサイ。」

「え、い、いえ。ごめんなさい…。」


お互いに頭を下げ、再び沈黙する。


ショウ!早く帰ってこいよぅ!





-----------------------------





目を覚ます。

何時間寝てたのだろうか。床に転がされるように倒れているようだ。

頭がまだぼやっとする…。


状況把握に周りを見渡す。

赤タイツのリアナタと目があった。

 こいつが犯人か、と内心舌打ちする。


「起きられたようですね。」

「寝させといて何を言う。」


うす暗く、ドーム状の広い部屋。所々一定間隔にろうそくが置いてあるのが趣味が悪い。


これから怪談話でも始めるというのか?

 

「契約の間にようこそいらっしゃいました。」

「誘拐しといて何を言う。」

「これからコミオンの契りを交わしませんか?」

「拒否権の無い状況で何を言う。」


周りには、黒ロープの女性と何人かの召し使いと包帯だらけの金髪兵士。とリアナタ。


「さぁ契約を交わしましょう!」


リアナタの言葉に遠くにいた黒いロープを着た女性が詠唱を始める。


「汝、ここに勇なる者との血の契約を交わし、幻清の配下となれ。」


足元に魔法陣のようなものが浮かびあがった。

 これが魔法か…。


流石に身の危険を感じた。

恐らくじゃなくても例の契約だろう。

 まさか無理やりにやらせられるとは思わなかった。


リアナタがワイングラスに入っている赤い液体を俺の口元に持ってくる。

飲めってか?


独特な臭いに顔をしかめる。これは血だな、間違いなく。

リアナタの方も同じ物を持っていた。あれは恐らくは俺の血。

 血液検査といって血をとられたのを思い出す。それを水で足し増やしたのだろう。

まさか、ああ使われるとはな……。


意識はまだはっきりしない。

だが体はなんとか少し動きそうだ。


思い付いたら即行動。

近付けられたワイングラスに頭突きをお見舞いしてやった。

当然ながら割れる。


「馬鹿な…!」


リアナタが息を呑む。

頭に破片が刺さって痛いが、おかげで思考が晴れてきた。

リアナタの持っているワイングラスを右ストレートで粉砕し、きびすを返す。


「帰る。」



まぁ家は無いが。


「…ちょっ!追いなさい!」

「は、はっ!」


包帯ぐるぐるの金髪の兵士が追ってきた。

 なるほど、たしかにホラーかもしれん。

剣を抜く音に兵士を振り返る。


「それは銃刀法違反だ!」

「は?ジュウトウホ…」

「む?そうか、世界が違ったな。これはすまないことをした。」


それではな、と手を挙げ、廊下に走る。

慌てて追いかけてくる兵士をおいていき、うろうろ走り回る。


レイスを探さねば…しかし





…部屋は、どこだ?








がんっ!と扉を蹴破る音に振り返る。

城の者がそういう開け方をするはずなく、予想通りの男がそこにいた。


「ここか。」

「おぉ、おかえりー……頭から血がだらだらと流れてるんだが。」

「気のせいだ」


そうか~。木の精か~。なんてくだらないことを考える。

 でも頭からガラス生えてるぜ?思わず指さした。


「無理やり契約させられそうになった」


ショウがむすっと呟く。

はいっ?


「逃げるぞ。」

「うおっ!?」


あっという間に片手で担がれる。

なんとなく向かう方向的に嫌な予想がついた。

向かう先には窓がある。

ちょ…ちょっと待…


ぱりーん。


「こ、ここ…4階なんだけどなぁっ!?」

「…そうだったな。」


ガラスが割れる音と風圧を感じた。

飛び降り現場が遠のく。


なにより折れた指に響く!



だんっ!と強い衝撃。

紐無しバンジーは無事成功したようだ。

しかしよく着地出来たな。

勇者ってのは本当に人間なのか?


それともコイツが異常なのか?


ぱっと落とされる。

ひでえ。そして痛ぇ…。こっちは骨折ってんだぞ!自業自得だけどな畜生!


「あんたなぁ…」

「世話になったな」

「あ?」


くるりと振り返り何を言うかと思ったらショウの突然のさよなら宣言。

本当にいつも、なんでも、奴は突然だ。


「ま、やっと一人で行く気になったんだよな…」

「取りあえずな。」


なんだよ取りあえずって。

俺に最近平穏がねぇんだよ。あんたのせいだろ!と責任転嫁。

…無理だな。コイツがいなくても平穏はしばらく来ない。


「ま、気を付けなよ?」

「あんたこそな。」


手を振ってあっという間歩き去った勇者を見送る。

…早えなー。


なんとなく空を見上げ、飛んでいった魔物に目をそらす。

 上に緑の髪が見えた気がした。


城の敷地から出て、ふと思う。



…アイツ、金とかどうする気だろ?


そういや武器もねえし。





あー



…俺、知らね。





                 I decide the my road where I live.

自分の書く話に振り回されてる…

 あぁこれが初心者かぁ…

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