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第42話 不死身の男

 夜空から不気味な轟音が響き渡ってくる。空に浮かぶ巨大なバリアに覆われた戦場から漏れ出てくる、くぐもった音だ。

 地面にめり込むように突っ伏していた柳崎男は、ようやく意識を取り戻して、頭を振りながら立ちあがった。


「屋上からの顔面ダイブなんざ、金輪際ごめんだぜ」


 ぼやきながら顔についていた泥を払って立ち上がる。不思議とマントには染みひとつ付いていない。そのことに軽い驚きを感じたが今はそれどころではない。


「おっと、こうしちゃいられねえ! 急がねえと昴隊員と由布子隊員が危険だ!」


 勝手に由布子まで隊員にしている。


「いまいくぞ、戦友たちよ!」


 力強く言って夜空を見上げ――茫然とした。


「やべえ……」


 鋼鉄姉妹が張り巡らせたバリアは、あきらかに不安定になっていた。放電現象のような明滅の影響で、中の様子がまるでわからなかったが、それ以上に問題だったのは……


「――お、降りてきてやがる!」


 目を(しばたた)かせてこすってもみたが、残念なことに見間違いではない。それは彼の視界の中で、ゆっくりとだが、確実に大きくなってきている。その巨大なバリアが――神獣の巨体が学校に向けて落下してきているのだ。

 一瞬、見なかったことにしようかと思ったが、それではなんの解決にもならない。


「こうなったら!」


 柳崎は決意とともに大地をしっかりと踏みしめると、両手を天に突きあげ、落下物を受け止めるような体勢をとった。


「バイオニーーーック!!」


 柳崎は気合いを込めて適当な言葉を叫ぶ。


「――って、できるかぁぁぁっ!!」


 彼はすぐに考え直して常識的な判断を下すと、仲間たちに危険を告げるために北校舎に向かって爆走していった。

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