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かざぐる舞(かざぐるま) 『花火の音がこわいから』

作者: 物語のあるリボン/いろいと

物語のあるリボン作家『いろいと』です

私の作るリボンには、1つずつ名前と物語があります

手にとって下さった方が、楽しく笑顔で物語の続きを作っていってもらえるような、わくわくするリボンを作っています


関西を中心に、百貨店や各地マルシェイベントへ出店しております



小説は毎朝6時に投稿いたします

ぜひ、ご覧下さい♡



Instagramで、リボンの紹介や出店情報を載せておりますので、ご覧下さい

hhtps://www.instagram.com/iroit0

夜を着飾るお店がズラっと並ぶ

イカ焼き、カステラ、焼きそば、いちご飴、肉巻きおにぎり

どれも美味しそうで、口をしっかり閉じないとよだれが零れ落ちそうだ

『お腹すいたんか?』

『え?いや、えっと、美味しそうだなって。はは』

『もう行くぞ』

人混みを足早に抜けようとする彼の腕を必死に掴んで、私もするりと人をすり抜ける


が、足元がもつれて転びそうになってしまった

ぐいっと引っ張られ誰かにぶつかった

『ほんと世話のやける・・・』

ぶつかった顔を擦りながら声のする方を見上げると、そこには少し不機嫌そうな彼の顔があった

『あはは。ごめんごめん。つまづいちゃった』

1つため息を付いてギュッと私の手を掴む

『離れんなよ。ったく、ちゃんと付いてこい』

私が歩きやすいように気を配りながら、ぶっきら棒な彼は花火大会会場へと急いだ



ドーン、パラパラ、ドドーン

打ち上がる大輪は夜空を華やかに彩る

空に打ち上がるとパッと明るくなり、隣の彼の顔もよく見える

『なに?花火を見ろ花火を』

私の視線に気が付いた彼は、チラッと横目で私を確認したと同時くらいに打ち上がる花火の方へと視線を戻しながら話していた

『何か、今日いつもより冷たい気がするなぁ?』

ドドーン、ドーン

『何か言った?』

『・・・何もないよ〜だっ』

花火の音にかき消された私の思いは少し寂しく打ち上がって消えていった




毎年開催されているこの花火大会は、TVで中継されていたり、有料の観覧席も設けられいるが、だいたいの人は河川敷にレジャーシートを敷いてそこに座って鑑賞するのが恒例となっていた

地元の大きな川から打ち上がる花火はとてもきれいで、この辺ではとても有名な花火大会なのだ

今年も、どこからこんなに人が来るのかと思うくらいの人で賑わっている


去年は友達と、この河川敷に座って見ていたが、今年は彼と座って花火を見げている

さっきまで寂しい気持ちになっていた私だったが、どこか嬉しくなり私は恥ずかしくて少し俯いた

花火ももう終わり際、彼が私の手を取りギュッと手を握りしめてきた

突然の事で何かと思い、顔を上げ花火に照らさている彼を見つめた




その間にも花火は激しさを増し、クライマックスへと向かう

連発する花火に私は今年も心を踊らせながら、彼から視線を外し大輪の花を見上げる

バリバリバリバリ

辺り一面が昼のように明るくなり、クライマックスの花火は、大きな音と鮮やかな夏の想いとともに余韻を残して再び夜を闇にしいていった



『はぁ・・・』

ため息をしたと思ったら、ギュッと握った手が少し緩んだ気がした

『俺・・・実は、人混みとか花火の音が少し苦手なんだ。でも苦手とか、かっこ悪くて言えないし、そしたらお前何か花火見ながら落ち込んでるし・・・悲しい思いさせたみたいで、ごめんな?』

『え?そうだったの?全然かっこ悪くないよ!逆に気がつかなくってごめん!だから今日ちょっと機嫌悪かったの?』

そう言ってお互いの顔を見つめ、フッと笑いが吹き出した

『やっぱそう見えてたんだ!変わらないようにしてたのに』

『いつもぶっきら棒だけど、よりぶっきら棒だったよ?それより何で花火大会誘ってくれたの?無理しなくて良かったのに』

『・・・お前の友達に花火とかお祭り好きって聞いたから』

『そっか。でも!あなたと一緒ならどこでも喜ぶし楽しいよ♪』

『はは。おれもだよ。よし!イカ焼き食い行くか!』

『人混み大丈夫?でも、カステラも食べたいな!』

ギュッとしっかり握りしめた手が妙に優しく暖かく感じた

今度は二人で人混みを避けるよう、様子を見ながらゆっくり歩き出す




最後まで読んで下さり、ありがとうございます


色々なお話を書いておりますので、どうぞごゆっくりとしていってもらえると嬉しいです


また明日、6時にお会いしましょう♪

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