表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
音に光があたらずとも  作者: 天空
4/19

二度目の出会い

途中で飲んだ水のおかげか、そこまで息を切らすことなく学校に到着した。

自分のクラスを確認し、人の流れに身を任せ自分の教室に到着した。黒板に貼られている座席表を確認すると僕は一番うしろで窓際の席を確保することができたようだ。少し嬉しい気持ちを押し殺し、自分の席に座った。学校初日ということもあり、教室にはかなりの人がいて、中学生の頃からできているグループで固まっていた。当然僕に友達はいない。中学2年生の頃から学校に行ってないからだ。決してコミュ障だからではない。しかしよく考えてみれば、中学2年生以降にも友達がいなかったことを思い出した。

(あの頃は音楽に没頭してたからな…)友達も作らず音楽をしていたことに少し後悔し、考えるのをやめた。

8時30分になるとほとんどの生徒が集まり、自分の席に座っていた。(隣の席の人はまだ来てないんだ)

10分前というのにまだ来ていない名前も知らない同級生に少し失墜感を覚えた。

8時40分になり、担任と思える教師が声を発した。「あー、まだ1名来ていないが俺の自己紹介をするぞー。俺はこの1年2組の担任になった青山 秀悟だ。まあ気楽にやっていこーや」着崩したスーツに長い髪を雑に結んだ長身の男性が少し気だるそうに挨拶をした。「みんなの自己紹介はこの後の入学式の後に行うから何話すか考えとけー。じゃあ今から」

バタンッ!!教師の話を遮るように教室のドアが激しく開いた。「遅れてすいませんー!!!道に迷ってしまいました!!!」と何度も頭を下げ、走ってきたせいかボサボサになった髪を揺らす女性の姿がそこにはあった。


(あれ、あの子ってあの音痴の…)

「わかったから落ち着け、そして後ろの開いてる席に座れ…」教師は右手で頭を抑えため息混じりにそう言った。

彼女は少しきょろきょろした後に自分の席を見つけこちらに歩いてきた。

じっと見てると彼女は僕に気づいたのか、また大きな声で「あーー!!朝音痴ってバカにした人!!なんでここにいるの!また私を馬鹿にしに来たなー!」

僕には怪獣が暴れているように思え、オロオロしていると、「うるせえ!さっさと座れ!!」ととうとう教師は怒った。

その迫力に「「すみません!!」」と僕達は瞬時に謝罪をした。「君のせいで怒られちゃったじゃない!」と小さな声で僕にそう言った。(こっちのセリフだよ…)言葉に出すとまたうるさそうなので、心のなかでそう呟いた。


「じゃあ今から体育館にいくぞーついてこい」彼女に遮られた話を改めて続け、ぞろぞろと生徒が廊下に出るのを確認し、僕も流れに乗って廊下をでた。

(これからの学校生活先が思いやられる…)彼女を遠目で確認しそう思ってしまった。


とっくに彼女に謝罪しようとしていたことなど僕は忘れていたのであった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ