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音に光があたらずとも  作者: 天空
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新たな光

親戚から「高校にいけ」と言われたあの日から一ヶ月後、高校入学への準備をしていると気づけば入学式前日となっていた。「明日から学校か…」ため息をつきつつ、そんな言葉が漏れた。

中学2年生の後半から学校には行っておらず、久しぶりの学校生活のことを考えると憂鬱になる。

しかし、音楽をやめた今、寝る、食べる以外のすることはなかったので暇つぶし程度にはなるかと考える詩音だった。


その日はいつもどおりだらだらと過ごし気づけば夜になっていた。

「そろそろ寝るか」とスマホに映る23時という表示を確認し、ベッドに潜り込む。

(まあ、学校に行ってもこれまでと変わらないんだろうな)と思いながら、静かに目を閉じた。


スマホのアラームが部屋に鳴り響く音で、詩音は目を覚ました。「久しぶりに早起きしたな…」と気だるそうに6時30と表示されたアラームを止め、上半身を起こした。

洗面台で顔を洗い、リビングに足を運ぶとパンをトースターにセットし、ポットでお湯を沸かしている間に、真新しい制服に袖を通した。

リビングに戻ると、丁度パンは焼けたようで、カップにコーヒー粉を入れお湯を注ぐ。そして興味のないニュース番組を見ながら朝食を食べる。

少し時間は早いがいつもと変わらない時間がそこには流れていた。


テレビに7時30分と表示されているのを確認し、皿を水につけ、焦ることなく学校へ向かう。

僕の家から学校までは歩いて20分とかなり近い。8時40分迄に学校に着けばいいので余裕を持って行くことができる。


ほとんど外に出ることがなかった僕は久しぶりに日差しに照らされていた。「まぶしっ」家を出て早々に行きたくないという気持ちが芽生えたが、なんとか耐えることに成功した。ほとんど外に出なかったためか、細い体に肌は白く、髪も肩まで伸び切り光を遮るかのように前髪が目を隠していた。

学校まで残り半分というところで、僕は軽く息切れをしていた。「歩くのってこんなにきつかったっけ…」と弱音を吐いている僕の前に自販機がみえた。「せっかくだし買っていくか」と自販機にコインを入れ、水を購入した。自販機の少し先には日差しを遮る木々の横にベンチと小さな公園があった。僕は時間には余裕があるからと自分に言い聞かせ、ベンチに腰掛けることにした。キャップを開け水を3口ほど飲むと先程までの疲れが少しなくなった気がした。

風に揺られた木々が心地よい音を鳴らし、春の訪れを感じさせられる。しばらくその音を楽しんでいると公園の奥の方から違う音が聞こえてきた。その音は少しずつ近づいてきて自然と僕もその音に耳を傾けていた。その音はどうやら女の子の歌声のようだ。何かの曲を歌っているようだが僕にはその曲が何なのかわからなかった。なぜなら音を外しすぎてまず、曲なのかも怪しいくらいだ。

しかし、彼女はとても楽しそうにその曲を歌っていた。一人公園をスキップやターンをしている彼女の姿を見ているとなぜだか、まだ両親がいた頃、音楽を楽しみ、曲を作っていたあの幸せな時間のことが脳裏に流れてきた。

ぼーっと彼女を見ていると彼女も僕の存在に気づいたのか、少し恥ずかしそうに下を向いたあと、「どーよ私の歌声は!まるで天使みたいな歌声でしょ!」と笑顔でハニカミながら僕に話しかけてきた。


「音を外しすぎてノイズかと思った」僕は無意識にそう言ってしまった。咄嗟に手で口を抑えたが声に出てしまっていたようで、二人の間には嫌な静寂が訪れていた。

急いで言い訳の言葉を言おうとしたが、長らく人と会話をしていなかったためか、言葉がでてこなかった。

そんな僕の考えを遮り彼女は「ひどい!どーせ私は音痴ですよーだ!ばーか!!」と小さな子どものような言葉を発した。プンプン!という効果音が彼女の後ろに出ているかのような表情をしたあと、どんどんと音を鳴らし、どこかへ歩いていってしまった。


「初めてあった女性にひどいことを行ってしまった…。今度会ったら謝らないと」無意識とはいえひどいことを行ってしまった彼女に申しなさを感じながら次会った時のことを考えていた。

なぜか彼女とはまた会えるとそう感じていた。


「そういえば彼女、同じ学校の制服だったな」と思いながら、学校のことを思い出し、少し足早に学校に向かう僕であった。

なんとかまた、書き終えることができました…

継続は力なりと偉い人も行っているので、これからも頑張っていこうかと思います!

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