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音に光があたらずとも  作者: 天空
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モノクロの世界

僕は上田 詩音。


父は有名な作曲家であり、母はピアニストということもあり生まれた頃から僕は音楽に囲まれた生活を送っていた。だから自然と僕はこの先もずっと音楽とともに人生を歩んでいくのだろうと思っていた。


音楽は好きだった。楽器を弾くのも歌を歌うのも大好きだった僕は物心ついたときから毎日の様に母と一緒に歌を歌ったりピアノを弾いたりと色鮮やかな毎日を過ごしていた。


中学生になると僕は父の影響もあり、作曲にすごく興味をもった。父はとても優しく僕に作曲のやり方を教えてくれた。環境に恵まれ、作曲の才能もあった僕はメキメキと上達し中学2年生の春、僕は初めて自分の曲を作った。歌声も歌詞も楽器も全て自分で行た曲を「はじまりのうた」と名付け、初めて作った曲に興奮した僕はたくさんの人に聞いてもらいたい気持ちで配信サイトにアップした。


動画は怒濤のごとく再生され、コメントには「何この曲!!」「神曲すぎる!」「新星現る!」などといった温かいコメントに溢れていた。


あまりの好評に驚いた僕だったが、たくさんの人に喜んでもらえた嬉しさや楽しさもあり、それからたくさん曲を作り配信サイトにアップを続けていた。


テレビでも紹介されるほど有名になった僕に両親はいつも優しく「自慢の息子だ」「詩音の曲、とても大好きよ」などと褒めてくれた。


好きな音楽で評価され、優しくて温かい両親に囲まれた生活はこれからもずっと続いてほしいと思えるほど僕の大切で幸せな時間だった。



そんな幸せな時間も長くは続かなかった。



両親は仕事の都合で海外へ出張することになった。親戚へ預けられた僕は、いつものように両親を見送り、早く帰ってこないかなと見送った早々に考えていた。


しかし、両親は二度と帰ってくることはなかった。

飛行機の墜落事故らしい。乗客350人一人残らず死亡した事故は、またたく間に報道され世間からの注目を集めていた。


僕の一番大切にしていた幸せな時間は二度と戻ってくることはなかった。父の大きな手で撫でられることも、母の演奏で一緒に歌うことも両親のぬくもりを感じることももうできない。


僕は部屋にこもり、一晩中泣いた。次の日もその次の日も部屋から出ることはなかった。涙が枯れるほど泣いたあと、僕は両親とともに愛した音楽をまた始めた。来る日も来る日も音楽に打ち込み、誰もが知る作曲家になった。



作曲依頼での要望の殆どが「売れる曲を作って欲しい」「みんなが好む曲を作って欲しい」だった。


僕は「売れる曲」をたくさん作った。結果その曲たちはどの曲もたくさんの人に届き「売れる曲」となった。


この頃からだろうか。音楽が楽しくないと思い始めたのは。



なんのために曲を書いているのか。自分は一体何をしているのか、何がしたいのかわからなくなった僕はある日



音楽をやめた。



音楽をやめ何もせず自堕落な生活を送る僕だが幸い、両親の遺産や作曲で稼いだおかげもあり、両親と暮らしていた家で一人で暮らし不自由ない生活を送っている。


中学生の頃から作曲を始め、気づけばもう中学3年生になっていた。

両親が死んでからはあまり行かなかった中学校だったが、卒業となるとやはり少しさびしい気持ちになった。


音楽をやめた僕は親戚に「高校はしっかり通いなさい」と言われしぶしぶ高校に通うことが決まった。


そんな僕の世界は両親が死んだあの日から モノクロ だ。




初めて小説を書いてみました!

このサイトでたくさん小説を読んで来ましたが、実際自分で小説を書いてみて、小説を書く難しさを実感する事ができました。

まだまだ拙い文章ですが、読んでいただけると嬉しいです!

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