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講義三時限目

 全員がサバスの方を見ながら唖然としていた。ABコンビなどは口を開けたまま固まっていた。


「私は勇者に会った事がありますよ。これは勇者が()()()()()()()()です。」


 サバスはサラッと衝撃的な発言をした。


「本当か?」


 皆が聞きたがっていた事であろうことをシーザーが尋ねた。


「えぇ、これはかつてこの世界に召喚された勇者の手記です。ちなみにタイプ5ですよ。」

「も、もしかしてそれは世界中の商人が喉から手が出るほど欲しい物なのでは?」


 シャトレが震える声で尋ねる。


「いいえ、これにはあまり価値が無いでしょう。それなりに古い物ですし、何よりこの手記の中の物は既にかなり出回っております。まぁ、資料くらいの物でしょうか。」

「ちなみにどんな物があったのでしょうか?」


 サバスは手記をパラパラと捲ると答えた。


「ボードゲームがメインですねぇ。確か『リバーシ』、『将棋』、『ダーツ』ですね。ダーツ以外は既にこの勇者より前の勇者が広めていますし、『ダーツ』と書かれていますが、そもそもソレが何なのか私にはわかりかねます。」


 サバスが顎に手をやりながら手記に目を落とす。


「ちょっと待て。異世界の勇者なんてここ15年ほど召喚されて無かったはずだが、手記の勇者は何年前だ?」

「私は長命種ですので時間の間隔には疎いのですが、確か10年ほど前でしょうか?」

「10年前?そんな記録は無かったはずだが?」

「それは異世界の勇者の生存率が低いからですよ。」

「何?」


 シーザーは訝しげに問う。


「実は異世界人は結構召喚されているんですよ。ただ、先ほども言ったとおりに頭がお花畑(アホ)なので大概の勇者は己の能力に気づく前に死んでしまいます。」

「その勇者もか?」

「いえ、コレは私が個人的な興味で観察してから()()しましたのでご安心を。」


 サバスはまたもや爆弾を投下した。


「こ、怖いですよ。サバス様!」

「あなたの暗殺術よりはマシだと思いますが?」

「事の経緯は後で聞くとして他には何て書いてある?」

「しょーもない事ですよ?見せてもいいのですが、皆さまには向こうの言語は分からないでしょうし、この手帳は私も愛用しておりますので抜粋で書き出しますのでご勘弁願います。」


 サバスはそういうと黒板に手記の内容を書き写し出した。


 “通貨 

 鉄貨-10円

 半鉄貨-5円

 銅貨-100円

 小銅貨-50円

 銀貨-1.000円

 小銀貨-500円

 金貨-10.000円

 小金貨-5000円

 国金貨-1.000.000円

 偽造防止魔法の組み込まれた各国の製造している大商い用金貨


 月収

 農民-金貨5枚

 町民-金貨3枚-15枚

 商人-金貨5枚~

 奴隷-小金貨1枚

 兵士-金貨10枚~

 貴族階級

 大公  国王  帝王  魔王  国主  教皇

 公爵   〃 〃  四天王  総統 大司教

 侯爵   〃 〃 副官 次席  司教

 辺境伯  〃 〃 無   三席   無

 伯爵   〃 〃 総隊長  総代  司祭

 子爵 〃 〃 大隊長  範士   無

 男爵 〃 〃 隊長  教士  聖騎士

 準男爵 〃 〃 部隊長  練士  無

 騎士 〃 〃 特級兵  闘士  騎士


 物価


 外食-銅貨7枚

 宿泊-小銀貨1枚 銅貨3枚(お湯1杯小銅貨1枚)

 住宅-国金貨1枚

 馬車(馬付き)-金貨30枚

 馬-金貨17枚

 装備(兵士)-金貨5枚

 学費-金貨3枚/月

 夜の店-銀貨7枚

 すごい夜の店-小金貨3枚

 薪-鉄貨3枚 

 ギルド登録料-金貨1枚

 芋-鉄貨1枚

 水-半鉄貨1枚

 綺麗な水-鉄貨8枚„


 ふうっとため息を吐いてサバスはチョークをおいた。


「ざっとこんなものでしょうか。まぁ私たちにとっては当たり前の事ですが勇者からしたら死活問題ですし、メモをとっておいたのでしょうね。後は私にも意味の分からない文字が多いですし、何より『日本』には文字だけでも『ひらがな』『カタカナ』『漢字』『英字』と複雑になっているらしく、独特の言い回しや地方特有の言語まであるそうなので暗号より暗号っぽくなっていますね。」

「それにしても良く調べておるのぉ。他国の爵位まで調べておるのか。」


 ウィードは関心と驚愕が半分といった感じだった。


「この勇者はタイプ5ですが町に興味がある方でした。だからここまで調べたのでしょうね。」

「だろうな。そうじゃなきゃここまで詳しく調べないだろうな。と言うか夜の店とすごい夜の店って、こいつろくでも無いな。」

()()()ってなんですよ?」

「キュアは知らんで良い事じゃて。それよりもおじいちゃんとこの前教えた調合の復習をしようか。」


 ウィードはキュアの頭を撫でて興味をそらすといそいそと調合器具を準備しだした。


「行きたかったんだろうな。」「すんごい行きたかったんだろうな。」


 ABコンビが遠い目をしている。


「彼は行きましたよ?」

「「行ったのかよ!」」

「えぇ、仲間も増えて行きづらそうでしたがそそのかして行かせました。そこで始末しましたので。」

「「悪魔かよ!」」

「流石にそうでもしないと不意をつけませんでした。」

「まぁ、最後に目的を達成できたのならいいのか?」「逝ったんだよな。」

「勿論、()()()()()()という最大の隙を突きましたが?」

「「この鬼畜外道め!」」


 何故かABコンビが怨嗟の呪詛を彼の勇者に代わり吐いている。


「タイプ5でそんなに厄介なのか?サバスなら町ごと処分できそうだが?」


 ハッカが険しい顔をして問う。


「彼の戦闘力事態は私でどうにかと言った所でしょうね。問題は彼より周りに集まった仲間達ですね。何故か女性ばかりで軒並み強敵でした。まとめてとなると流石の私でも無理ですよ。」

「何故女ばかりなんだ?それと強敵ってそんな手練れがそうそう一か所に集まる物なのか?」


 シーザーは訝し気な顔をして尋ねた。するとサバスは少し困った表情をして答えた。


「わかりません。ただ、あくまで推測なのですが彼のいた場所はジッポ共和国寄りの山岳地帯の窪地を開拓していました。」

「・・・たしかあそこは。」

「そうです。ドラゴンの群生地と未攻略ダンジョンが存在する。現在でも立ち入り禁止区域です。そんな所に来る人達ですから自ずと戦力が高いと推測されますが何故女性だけかは分かりませんね。また入り江があり海にも面していますが断崖絶壁な上に入り江にはダンジョンの入口があり外洋は海流が渦巻き船では近寄れません。一応行くには陸路で行けますが、相当な人でも苦労しますよ?あと、ここだけの話ですが入り江のダンジョンに隠し通路がありましてそこを通れば窪地へ行けますよ?」


 サバスは人差し指を口元にあて『内緒ですよ?』と言ったそぶりを見せる。


「空からはドラゴン、海からはの侵入は自然の海流で近寄れない。奇跡的に海からたどり着いても玄関口がダンジョンとかよほどの事があっても近づかないな。メリットが無さすぎる。」

「そうなんですよ。ですから滅んだ国は国の威信をかけて攻略しようとしてましたね。まぁ、これで三時限目は終了なんですが、少し中途半端なのでここで見た目で分かる勇者の脅威度を説明しときましょうか。」

「・・・鑑定スキルなんてないぞ?」

「いえいえ、そんなスキルは使いません。むしろ持ってても使わないで下さい。使えば勇者に敵認定されてしまいますからね。」


 孫に調合を教えながら目だけをこちらに向けたウィードが言った。


「ではどうするんじゃ?皆が皆、儂らのように動きで力量を図れるとは思えんが?」

「それも無駄です。基本は戦闘の素人ですから玄人には分かりません。」

「ではどうするのですぅ?」

「周りの取り巻きを見て下さい。それで大体の戦力が解ります。」


 何を言ってるんだ?と言う視線を受けたサバスが襟を正して言う。


「良いですか?これは真面目な話ですが、異世界の勇者の全タイプは取り巻きを連れています。そこで何人連れているか、または何を連れて居るかで脅威度を測れます。」

「どういう意味だ?」

「詳しく説明しましょう。まず人数これは単純に戦力ですね。少ない方が脅威度は低くなります。後は種族です。こちら人、獣人、魔族などのどの種族を連れているかです。あ、勿論全員女性ですよ?男の場合は人数から除外して下さい。」

「って事は極論を言うと勇者+女5人と勇者+女1人+男100人ならば・・・」

()()の方が危険です。」


 はっきり言うサバスに一同が瞠目する。


「そもそも取り巻きが5人もいればれ()()()()()です。迷わずかかわらない方を選んで下さい。戦力では全国家並みの戦力になります。勇者のタイプにもよりますが基本は変わらないものと思って下さいね。ここまでは良いですね。それでは何をの部分を説明しますよ。」


 サバスはまた手帳を取り出し目を落とした。


「まず人種ですがエルフに猫獣人が多いですね。」

「猫獣人限定なのですよ!?」

「そうです。しかも7()()()()()()()のタイプですね。逆はたまにいるくらいです。」


 サバスはきっぱり言い切った。


「他には感情の起伏が無く、無口で『・・・ん』としか言わない様な人を連れているとアウトです。こんな会話の出来ない者を普通は連れて歩きませんからね。」

「次に特殊タイプですがまず何かしらの聖獣です。大体愛玩動物も兼用しているので見かけたら注意ですよ。後は人化ドラゴンやキツネ系が多いです。こちらの見分け方が一人称です。彼女らは一人称が『妾』『我』などおおよその女性が()()()使()()()()()()()を使用します。特に幼子が使っていれば確定です。注意して下さい。ついでに言うとウィード君みたいな年寄りみたいな喋り方をするキュア君みたいなのもアウトです。」

「普通のヤツはいないのか!」


 ハッカが激を飛ばす。頭脳派のハッカとしては矛盾が多くて耐えられないのだろう。


「だから見分けがつくのですよ。」


 ハッカはこの状態がまだまだ続くのかと思うと歯を食いしばったままうなっているのだった。


いつもありがとうございます。

不定期更新ですがよろしくお願いします。

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