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講義②

「では、まず初めに勇者とは何か、か始めましょう。勇者とは、ハイ!ハッカ君!」


指名されたハッカは淡々と答える。


「勇者とは勧善懲悪(かんぜんちょうあく)を旗に掲げた者たちである。各国に最低1名は存在し、各国の最高指導者によって任命される。古くは魔王なる邪悪な存在に立ち向かう(やから)を勇者と呼んだのが事の始まりだ。現在では政治的な意味合いが強く各国のけん制に利用されている。一応共通の敵が現れた時は共闘すると言う責務と勇者の独断で断罪出来るという権限持つ者達だ。勇者達は各国の法から除外され場合によっては王族ですら粛清出来る。と言うのが一般的だな。」

「素晴らしい!流石ハッカ君ですね!ちなみに補足すると魔王は魔国の王ではなく人類共通の敵と言う認識ですね。魔国の王は魔国王と呼ばれております。」

「ちなみに前回の魔王が出現したのはいつなのでしょうか?」


シャトレが手をあげて質問する。


「魔王は過去数回出現しておりますが、前回は30年ほど前でしょうか。魔獣が高位の進化を遂げて魔王となりました。ちなみに種族はスライムです。」

「あぁ、魔王ロードキルか。」

「ウィード君は現役でしたからおぼえているでしょう?」

「何でも食う悪食(あくじき)なヤツじゃったわい。奴が通る道は草一本残らないと言われ、儂も一度跡地を見たが奴が通った後は道ですらえぐれ無くなっておった。ゆえに奴の導線(どうせん)上にある物は生き物であろうとそうでなかろうと一切が無くなるだからその名がついたんじゃ。」

「えぐいヤツだな。」「どうやって倒したんだよ?」

「あの時は各国の勇者が力を合わせて何とか倒したらしいわい。まぁ、2人ほど死んだらしいがの。」

「そうですね。痛ましい出来事でした。」


サバスはハンカチをそっと目元にあて涙を拭うそぶりを見せた。


「サバス様笑ってるですよ。」

「茶番はいいから続けてくれ。」

「坊ちゃまは辛辣(しんらつ)ですねぇ。そういう訳でして勇者は各国の国力の誇示(こじ)と互いのけん制という意味合で存在しているのです。」

「・・・なるほど。俺たちにとっては厄介者か。」


ビーツが呟く。


「そうだろうな。面倒なやつらだ。それで、異世界の勇者ってのは何処が違うんだ?」


シーザーがサバスに問いかける。するとサバスの目が鋭くなった。


「奴らは文字通り異世界から来た召喚者です。しかも()()()()()()()()を持っています。」

「・・・必ずなのか?」

「例外なくです。一見なんて事ない技能(スキル)でも必ず化けます。ユニークスキルとは彼らだけの者といってもいいでしょう。」

「スゲーなぁ。」「なんか俺も転生してみてぇな。そうすればウハウハじゃねぇか!」


ABコンビははしゃいでいるとサバスは(さと)す様に言った。


()()()()()ですよ。」


ABはキョトンとした顔で首をかしげる。


「どういう事なんですよ?」

「だからそういう事です。彼らのように浮かれて死んでしまうのです。一応、召喚にはデメリットがあります。呼び出した勇者は強力ですが質を選べないのです。」

「そう言う事か()鹿()()()()()()()()()()()鹿()なんだな。」

「そう言う事です。召喚される際は年齢などは一律10代で召喚されますが、中には非戦闘員どころか主婦や子供まで存在します。それでも勇者なのです。彼らも文化は様々で魔法がある国、無い国、文明の高い国や低い国など様々です。特に『日本』という国か召喚された勇者はタチが悪い。だいたいの奴等は調子にのってしまうのです。中には『異世界キタ━(゜∀゜)━!』等と叫ぶ輩がいるくらいです。」

「何で喜んでいるのかわかりませんがめでたい方達なのですね?」

「いや、そいつら馬鹿だろう。」

「しかも何故か『日本』からの召喚率が高いのです。しかし、彼らの文明は非常に高く。知識が凄まじいのですよ。また魔法が無い国の様なのですが、何故か魔法に詳しく。()()()()()()()()()()()()()()()()()()を知っているのです。」

「なんだそれ?」

「分かりやすく言うとですね。よいしょっと。」


サバスは懐から小さい石鹸のようなを3つ取り出した。


「サバス!お前それは!宝物庫に入ったな!」


シーザーはサバスが取り出した鉱石に食いかかった。


「まぁまぁ、後でちゃんと戻しますから。」

(そういう問題じゃないだろう。これは色々見直さないとダメだな。)


シーザーがブツブツ呟いているのを後目にシーザーは講義を続ける。


「えーここにある鉱物をみて皆さんはどれが欲しいですか?」


サバスは机に4種類のインゴットを並べた。左から順に山吹色のインゴット、薄っすら燐光を放つ銀色のインゴット、薄い水色のインゴット、表面に油膜が付いたように光る黒色のインゴットである。


「わたしは左のインゴットですよ!」

「・・・俺もだ。」

「「俺は左から二番目のやつだ!」」

「私は左ですねぇ。」

「儂は水色のヤツじゃ。」

「俺もだ。」

「なるほどなるほど。シーザー様は決まりましたか?」

()()()()に決まってるだろうが!」


シーザーは半分呆れたように言った。


「流石はシーザー様。ついでに説明して貰えますか?」

「お前、後で執務室(説教)だからな!左から2番目のヤツを鋳つぶして杭にして刺してやる。」


シーザーの言葉にサバスはダラダラと汗を流し顔をひきつらせた。


「ぼ、坊ちゃま!調子に乗り過ぎた事は謝罪しますので何卒ご勘弁を!流石に私でも死ぬかもしれませんので!」


シーザーの言葉に何人かは『どったの?』といった表情を浮かべていた。


「サバスの件は置いとくとして、左から金、ミスリル銀、オリハルコン、アダマンタイトだ。」

「「!!!」」


分かる者は驚愕に顔色を染めて、分からない者はやはり分からないといった表情だ。


「実在したのか!」

「話には聞いたが眉唾(まゆつば)だと思っていたのう。実物を見るのは初めてだわい。」

「おじいちゃん、これはなにですよ?」

「これはアダマンタイトといってのう。神が作ったと言い伝えられとる金属なんじゃよ。ミスリル銀は魔法伝達が良く聖騎士クラスの隊長なら腰にぶらさげとるのう。あとは稼いでる冒険者くらいのものじゃて。それでオリハルコンはさらにミスリル銀の特性に強靭性を兼ねそろえた物だと思っておきなさい。」

「それはすごいですよ!」

「アダマンタイトはそれをさらに数倍の性能を持ち不懐(ふかい)のスキルが付く。更には()()()()()と言われている。」

「何と!それほどの物なのか!シーザー、まさか俺にまで隠しているとはな。」


ハッカは驚いた後に少しイラッとした様に言った。


「別に隠していた訳じゃない。俺にしたって知ったのは親父の後を継いでからなんだよ。それにあった所で出すわけにもいかないんじゃどうしうもない。」

「何故出せないんですか?」

「それについては説明しましょう。まずこれを加工できる人がいないのです。」

「神の金属だものなぁ。」「加工出来なきゃただの塊だしな。」

「そうですね。インゴットすらが不懐ですからね。あと値段ですがこれ一つで()()()()()()。」

「「「はぁ!?」」」


サバスの爆弾発言にシーザー以外が驚く。当のシーザーは頭を抱えていた。


「これ一つでどこの国でも買えますね。ちなみに国家予算が三年分くらいついてくるんじゃないでしょうか?」

「そ、そんなにするのか?」

「するでしょうねぇ。ただ、買い取れる人がいるとも思えませんがね。」

「だとしてもだ!そんな物をいったいどこから!」

「え?宝物庫からっていったじゃないですか?」

「シーザー・・・俺にも杭をくれ。」

「任せろ。」


とぼけるサバスに冷静なハッカもイラッときたようだ。


「は、話がそれましたね。このように普通は価値があっても分からないと選ばないのです。一般人なら金、戦士なら同等の金でも買えないミスリル銀、その道を極めた人ですらオリハルコンといった感じです。話には聞いても実物が分からなければそんなもんですよ。」

「確かにな。誰かが鑑定でもしないとわからないだろう。」


皆がシーザーに同意する。


「しかし、異世界の勇者は必ずアダマンタイトを選びます。」


皆が驚愕の表情を浮かべる。


「それは異世界勇者の三大スキル『鑑定』『空間収納』『ユニークスキル』のせいなのです。」

「『鑑定』に『空間収納』って言えばどれか一つ持っているだけで仕事にあぶれる事がねぇじゃねぇか。」「むしろ引く手数多で選びたい放題だぞ!」

「まぁ、それに何かしらのユニークスキルが付くのですからたまったもんじゃないですね。」


しばらくの沈黙が続いた後にサバスが口を開いた。


「なんか微妙な空気になってしまいましたね。少し詰め込みすぎたようです。ここで少し休憩を挟みましょう。では二時限目は10分後に開始します。」

「そうしてくれ色々疲れた。」

「二時限目っていったい何コマあるんですよ?」

「ん?勿論6時限までありますよ?」


サバスが告げた瞬間に皆が一斉に机にうなだれた。



今回も読んでいただきありがとうございます。

頑張りますのでよろしくお願いします。

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