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夢の世界で


《トランプの間にて》


「はろはろ、みなさまこんばんわ。こんにちは、おはようございます。

 さてさて、地球時刻ではよいこの皆様はぐっすりお休み、いい社畜はせっせと働いているこの時間。

 そう、この時間がやってまいりました。

 今日のゲストはこちらの青年、いや、少年、ですかね?うん、たぶんそう。違ってもモーマンタイ。

 そして司会はもちろんこの私!そう、トランプの女王こと、ジャックちゃんです!!!」


「むー、んー!?」


「おや、少年の目が覚めたようです。

 え、なんですか?トランプのジャックは男だって?オウ、シット!

 でも関係ありません。ほら、地球にはあるじゃないですか。キャラ物のカードとか。

 だからジャックちゃんはジャックちゃんで全く問題あーりません。」


「ん?ん。」


「さてさて、少年も納得したところで今日のゲームを紹介していきましょう。

 ルールは簡単。

 私がこの机の上に10枚のカードを一列に並べます。

 あなたはトランプのハートのジャックがどこにあるのか当てるだけでいいのです!

 ですが、ただの運任せで選んでも面白くありません。

 いや、自分の命がかかっているのに運任せに当てようとしているあなたの姿を鑑賞するのも

 面白いのかもしれないですけどゲームとしてはまったく面白くありません。

 だからあなたには質問を三回だけしていい権利を与えます。

 それでどうにかこうにかしてハートのジャックの場所を当ててください!」


「むー」


「ああ、そうですよね。心配ですよね。

 ハートのジャックを当てたとしてもそれが実はハートのジャックが書かれているだけのカードで

 それはトランプじゃない、なんて難癖付けられたら困りますもんね。

 でも大丈夫!優秀なジャックちゃんはちゃんとそういう質問に備えてお目当てのハートのジャックが

 どんなものなのか見せてあげる準備をしてあるのです。えらい?えらいでしょう。

 というわけで壁かいてーん!」


「んむ!?」


「あ、びっくりしまして?びっくりしたでしょう。

 ちゃんとそちらの文化を学んでいるのですよ。アイエー、NINJAナンデー、っていうんでしょう?

 その屋敷みたいに壁を一面くるって回転するようにしといたんですよ。

 あ、そっちじゃない。そうですか。自信作だったんですけど・・・・。

 ああ、壁の向こうの空間ですか?見ちゃったんですか。

 ではSANチェックですね。壁の向こうに在った空間が何なのか気づいてしまった人は

 100d6で振ってくださいねー。あ、ふれないでよすよね。代わりに振ってあげますよー。

 おや、その顔だと何なのかわかってないようですね。アイデアロール失敗ですか。残念です。」


「・・・」


「はいはい、そんな不満そうな顔しないでくださいよ。

 べ、べつにあなたを狂わせて自動的にゲームを私の勝利にしようっていう魂胆じゃないんだからね。

 ほんとだからね。」


「・・・」


「ま、まあ、それは置いといて。

 とりあえずハートのジャックはこの絵柄です。壁一面のジャックちゃんですよー。

 出血大サービスのバニーですよー。

 どう?かわいい?かわいいでしょう。えへー、そーか、そうか。かわいいか。

 よーし、お姉さん一肌脱いであげよう。質問できる回数を四回に増やしてあげましょう。」


「んーー」


「おー、喜んでる、喜んでる。じゃあ、カードを配ってー・・・・・

 さぁ、ゲームスタートです!!」


「んーんーんーーー」


「あ、そうですよね。とりあえず縄ほどきましょうか。ときとき」




「ぷはっ。

 なんなんだよ、ここはっ!俺なんもしゃべってないのに勝手に話進めていくし、

 心読んでるわけでもなんでもなくてほんとに適当にしゃべってるだけだし。」


「はーい、質問されたので回答していくよー。

 第一の質問は『なんなんだよ、ここはっ』とのことですが、ここはあなたの夢の中でーす。

 ただしジャックちゃんがジャックしちゃいました!

 この夢の中ではジャックちゃんはどんなことだってできちゃうんです。

 ほら、さっき壁とか回転させたでしょう。あれ、別にそういう仕掛けじゃなくてただ、

 ジャックちゃんがそうしよう、って思ったからそうなったんだよ?

 ほかにはこのテーブルの上にあるカードもジャックちゃんが出したものだし、

 少年を縛ってたロープもそう。ここなら私はさながら神なのだー。」


「・・・は?」


「あとはー、ほら、あなたの命奪ったりできちゃったり?」


「な、何を言って」


「もー、最初の方にいったでしょうー。ちゃんと覚えてないとだめだよー。

 ほら、このゲームに負けたらあなたの命もらっちゃいますよー、って。

 あれ、言ってない?どっちだったっけ。まあ、いいよね。つまり、そういう事なんだよ。」


「ふ、ふざけんなっ。そんなゲームやってられっかよ。俺をここから出せっ!」


「いやー、だせないんですよー。だってほら、今このゲーム配信してますし?

 今ここで切っちゃったらもう私の人気ダダ下がりですよ、お客さん。

 私これでご飯食べてるんですからどうしようもないんだって。」


「じゃ、じゃあどうすればいいんだよ!」


「ちょ、またそんなことに質問権使っちゃいます?さすがにそこまで馬鹿な事されると

 ゲーム成立しなくなっちゃうんですけどー。すでに一回つかっちゃってますし。

 その時はしめしめ、って思いながら答えたんですけどさすがに、ね。

 ジャックちゃんかわいい、って言ってくれたら今なら何も聞かなかったことにしてあげますよ?」


「ぐ、うぐぅ。・・・じゃ、じゃっくちゃんかわいい。」


「はーい。かわいいジャックちゃんですよー。もう、しょうがないですねー。

 ジャックちゃんはかわいくてとっても慈悲深いので何も聞かなかったことにしますねー。

 はい、質問権は後さんかいですよー。よーく考えて使ってくださいねー。」





「よし、・・・・・ジャックのカードは右から三枚の中にあるか?」


「おー、質問ですか?独り言だからカウントしないで、とかなしですよ?

 あ、そうだ。『質問する』って宣言してから質問してください。それならややこしくないですし」


「『質問する』、ジャックのカードは右から三枚の中にあるか?」


「はい、『回答します』。ジャックのカードは右から三枚の中にありますよー。」


「よっし。じゃ、じゃあ『質問する』。ジャックのカードは右から一番目か?」


「はい、『回答します』。右から一番目のカードはジャックのカードじゃありませーん。」


「よし、最後だ。『質問する』、ジャックのカードは右から二番目か?」


「はい、『回答します』。ジャックのカードは右から二番目でもありませんよ。」


「じゃあ、ジャックのカー」


「ところで回答する時は『回答する』って宣言してから答えてくださいね。

 それでーー、なんかもう回答する気になっちゃってるみたいですけど回答しちゃっていいんですか?」


「はっ、いいもなにもジャックのカードの位置はもう分かりきってんだよ。

 邪魔したって駄目だぞ。『回答す」


「ジャックのカードは分かりましたね。ところで、あなたが当てるのは

 ハートの(・・・・)ジャックですけど~?」










「・・・・・・・・・・あっ。あああああああぁっ!」


「んっふっふー。楽しいですねー。あー、ほんとに楽しいです。

 あなたの魂のお味はどんな味なんでしょうかねー?この前食べたのはあんまりおいしくなかったから

 今度はおいしいといいんですけどねー。」


「ま、まて。待ってくれ。違うんだ。違うんだって。」


「はい~?何が違うのかは分かりませんけど待ちますよ~。

 でもあなたの質問権はもうありませんし~、あなたが夢から覚めようとしたらもうパクッて

 しちゃいますからねー。

 ふふーん、大丈夫ですか~?ご家族は?ご近所さんは?何らかの用事であなたの体が揺すられ、そして

 目が覚めようとしたら、んっふっふ、あ~、いいですね、その顔。高評価がグッときそうです。」


「な、七分の一。約15パーを当てればいいんだ。15パー・・・当たらない確率じゃない。」


「一応14パーセントの方が近いですけどね。

 そして14パーセントは当たらない確率じゃないけどほぼ外れる確率ですよね~。」


「くっ・・・・・」


「ほらほら、いいんですか?あなたの部屋のドアが今にも開けられ、足音が響き、

 一歩、また一歩中に入ってきて。そしてその手があなたの肩に」


「これだ!これ。『回答する』左から一番目がハートのジャックだ!」


「あー、それですか。はい、回答ありがとうございます。

 じゃあ、右から順にめくっていきましょうか。」


「いいから、いいから早くめくってくれ。いつ親が部屋に入ってくるかわからないだろうがっ!!」


「ん?ああ、ご安心を。実はここでの時間は地球時間よりずっと早いですから。

 大体一万倍程度ですし一分が何日にもなるので問題ありません。」


「・・・・」


「あんまり余裕なさそうですね。しょうがない。開けていきましょうか。

 はい、一枚目・・ハートのクイーン」


「・・・」


「二枚目・・ハートのキング」


「・・・」


「三枚目・・スペードのジャック。よかったですね。これで回答しなくて。

 もしこれで回答しちゃってたらドボン、でしたよ。」


「いいから、はやく」


「もう情緒のない人。会話を楽しみましょうよー。まあ、ご要望にはお答えしますけど。

 四枚目・・ハートのエース。五枚目・・ハートのジャック。六枚目・・ダイヤのジャック。

 七枚目・・クラブのジャック。

 八枚目・・ハートのキング、あれ?同じカードが二枚。入れ間違えちゃったのかなー。」


「あと一枚。あと一枚。次がハートのジャックじゃなかったら・・・・・。」


「んっふふ。いい顔してますよ、少年。正直すっごいぞくぞくします。もう、食べちゃいたい。」


「・・・」


「・・・」


「・・・」


「・・・」


「めくれ、いいからめくれよっ!いや、もういいっ。俺がめくる!」


「あ、ちょっと」 


「九枚目・・・・・・・・・・・・・・ハートの7!!!!

 やった!やったぞ!見たか、この悪魔めっ!かってやったぞこのやろー。」


「はいはい。じゃあ、あなたが選んだカードめくりますよ。」


「おう、めくれめくれ。俺の勝利の証だ。」


「では、十枚目












                      黒のジョーカー             」





「はっ?」



「では、いただきます(・・・・・・)。」



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