ヨーグルトで作ろう。
今回の話は顔○です。
ある学校の一室。
皆からは『変態部』などと呼ばれている部活、正式名『青春部』に所属している生徒の集まる部室。
所属生徒は5人。
この物語はそこに集まる変態たちの会話をただだらだらとお届けするものです。
また、精神的に性的に犯される場合があります。ご注意ください。
「おはヨーグルト!」
彩乃が妙なテンションで部室に入ってきた。
掲げる右手にはなにやらコンビニの袋が握られていた。
「おお?ゆーちゃん早いねぇー。まーちゃんは?」
「僕はいつもこのぐらいの時間にはいるよ。まーちゃんはいま日直の仕事やってるんじゃないの?」
「およよ?なーぜゆーちゃんがそんなことを知ってるのかなー?ま、さ、か、ストーカー?」
「はぁ?なに言ってんだよ。僕とまーちゃんは同じクラスだろ。それくらい知ってないとかクラスメートとしておかしいだろ」
ちなみに僕とまーちゃんはAクラスで彩乃はCクラスだ。
「あっははー!そうだったねー」
彩乃は悪びれもなく言った。
「それよりその袋はなんだよ」
「おっとー。わっすれてたよー」
彩乃は部室の真ん中に鎮座する丸テーブルの上に袋を置いて
「じゃじゃーん!」
と言って袋を広げる。
出てきたものはヨーグルトだった。それはいいのだが。
「どんだけ買ってきてんだよ」
「軽く20個?」
彩乃はすこし首をかしげながら言った。
「はぁ!?なんでこんなに買ってきてんだよ。もったいねー」
「ふっふっふ。ちゃんとそれには理由があるのですよ。ワトソンくん」
ない帽子のつばを跳ねる彩乃。
「あっそ。それで?どんな理由があるんですかホームズさん」
僕は知りもしないワトソンの真似をして言った。
すると彩乃は調子に乗り始めた。
「ふむふむ、気になるかね。犯人がこれほどまでにヨーグルトを欲し、いくつものコンビニを襲った謎の行動の動機がっ!」
あなたが犯人なんですが。。。
「では!教えよう!」
「どきどきわくわく」
さっきまでなかった声がした。横を見るとまーちゃんが目をキラキラさせて手を胸の前にしていた。
いつ来たんだよ!
というのは胸のうちにしまうことにする。大体いつもまーちゃんの登場は唐突だし。
「ヨーグルトで顔〇を再現しようとしたのだっ!」
「はぁーー!?」
「ん?顔○ってなんだ?」
まーちゃんはこのメンバーの中では存外純粋な方に属している。まぁ、それでも一般的に言えば変態に位置してしまってはいるが。
顔○がなにかわかってないまーちゃんをみて彩乃は不気味な笑みを浮かべる。
「では、この彩乃ックホームズが教えてあげよう!」
「いや、もうシャー〇ックホームズ関係ないんですが」
「はい!教えてください!彩乃ックホームズさまぁ!」
「いや、ノるなよまーちゃん」
「おいおい。ゆーちゃん。顔○は乗られてちゃできないぞ?」
「いや、なんの話だよ!」
「え?そりゃ─」
「いや、言わなくていいから!絶対言うなよ!」
「じゃあ私が言うよ。たぶん井上彩乃が言いたかったのはセ──」
「言うなって言ってんだろぉぉ!!」
「ま、まぁまぁ。お・ち・つ・い・て?」
「キャラに合ってねーよ」
「ひ、ひどいわ!せっかく3分も練習したのに!」
彩乃は一昔まえのアニメのように頬に手をあてて白目をしようとしている。が出来てはいない。
「そんなにしてねーじゃねーか」
「あ、ほんとだ」
「自分で気づくんかい」
「やれやれ、2人は仲がいいね」
「どこをどう見たら仲良く見えるんだよ」
とりあえず、閑話休題。
改めて僕は彩乃と向かい合い、理由の説明を要求する。
「で?なんでその顔○をヨーグルトで再現しようとしたんだよ」
「うっわー。女の子にそんなこと聞くとかさいてー」
「いや、こんな質問を女の子に聞かないといけないようなシチュエーションを作った井上が悪いと思うんだけど」
「う、うそだー!」
「それで?なんで顔○再現しようとしたんだ?」
「昨日見たテレビでやってた」
「その番組大丈夫か」
「問題ないよ!未成年が見てるような時間にやってたから!」
「へぇ、何チャンネルだ?1か?8か?」
「Hチャンネルだよ!」
「は?そんなチャンネル聞いたことないけど?」
「正式名は『変態による変態のための変態チャンネル』っていうんだよ」
笑顔で頭を叩く。
「いたいー!」
「おまえ、それ絶対18歳以下は見ちゃダメなやつだろ」
「あー。そういえばR18規制がかかってたような~」
「はーー!?ばかだろ!つーか犯罪なんじゃねーのか!?」
「ま、まぁまぁ。落ち着いてよー」
「いや、落ち着かねーよ!?」
「えー。じゃあ、どうしたら落ち着くのさー」
「その顔〇を再現するのを止めたら僕は落ち着く」
「それはやだ」
「こどもか!」
「はぁ?ちがうしー。もう17歳だしー。結婚できるしー」
「うっざ!なんかその手を自分に向けるその感じがまじうざいわ!」
「まぁ、落ち着くんだ井上彩乃、三咲悠太。ここはひとつ顔〇を実際にしてみる。というところで妥協しようじゃないか」
「妥協してねーだろ!つーかそれもういろいろアウトだから!」
「わ、わたし/////ゆーちゃんだったら……いいよ?/////」
「いやいや、むりむりむりむり!だめだから!そんなことしても無駄だから!」
「うそだっ!」
「どこのレナさんだよ!」
「雛○沢のだよ!」
「お前は井上だろ!雛○沢のレナさんの名字は竜○なんだよ!」
「ほう、そうだったのか。私はてっきり北条かと」
「いや、北条はレナじゃなくて沙○子だろ」
「あぁ、そうか。私とした事が失念していたよ」
「まーちゃんってそんなキャラだったっけ?」
「あれ?どんなキャラだったっけ?」
「いや、僕に聞かれても………」
「あ、そっかー!さ〇こってそういう漢字なんだー。知らなかったなぁー」
「はぁ?僕は声に出しただけなんだけど?」
「ノートに書いてるじゃん!」
「あ、ほんとだ」
気づくとノートには『沙○子』と書かれていた。
閑話休題ぃぃ!!!
「で?なんだっけ?」
「だから顔○の再現でしょー?」
「もうやだー!」
「ふっふっふっ。三咲悠太!そんな叫びでごまかせるのはギャグマンガだけだぞ。しかし、現実は違うんだよ。この現実ではね?」
「まーちゃん黙ってくれぇ!」
「もう、やっちゃえー!」
井上はヨーグルトの蓋を開いた。そして投擲した。
「おい、やめろ!なんでのなげ───」
顔に白いものがぐちゃっとなった。
「ほほう。これは素晴らしい顔○だ。しかし、これは男にするものじゃないね。やはり、顔○は女の子にするべき行為だ。残念なことに私にBLへ興味はないからね」
「いや、聞いてねーよ!」
「「へーー」」
「もうやってらんねー」
そう言って僕はハンカチで顔を拭った。
ちなみにヨーグルトはそのあとみんなで食べた。