4月6日 忘れてはいけない物がある
「春休みがもうすぐ終わるけど宿題終わった?」
俺が朝食のスクランブルエッグを作っている最中にソラが話しかけてきた。
まあ、いつもだと大歓迎な訳なんだけど今日は嫌な予感しかしなかった。
「最初の休みで終わらしたけど。それがどうしたんだよ?」
「宿題が終わってるってことは、今暇だね。中学生の問題でも解いたら、いい暇潰しになると思うんだけどなー?」
「何が言いたい?」
「え、えっとね、つまり………問題でも解いて中学生の心を忘れないようにしてくれたらなー、って思って………」
「俺のための思ってそこまで………どれどれ、貸してなさい」
ソラの顔が明るくなり、いつもの顔に戻っていった。そして、これ!と勢いよく渡されたのが5、6冊ぐらいある問題集だった。その問題集をパラパラめくっているうちに重大な事実が分かってしまった。
「これ、ソラの宿題だろ!」
「いいでしょ。どうせ生きてても意味無いんだから少しぐらい私の役に立ったら?」
「さりげなく嫌み言うのやめてくんない?」
俺って生きてても意味ない存在だったの!?人は何かをするために生まれてきたってやつは嘘だったのかよ!と思うカイトだった。
「そんで、手伝ってくれんの?くれないの?どっち?」
「急に上から目線だな。ま、数学と科学ならやってもいい」
「ありがと」
何かと言いながら手伝ってあげる心優しいカイトだった。
やっぱり宿題は始めの方にやっておくべきだと思う。
「あ、それより、読者はソラが中学校通っていること初めて知ったと思うぞ!これを切っ掛けにソラがストーカーされたらどうするんだ!」
「これ、2次元だから誰も画面の中に入ってこないから」
雑談しながらも手を動かすカイトとソラ。人は追い込まれると凄まじくなるので驚きだ。
────宿題、駆逐完了────
問題集を閉じ、宿題をやりながら出した結論を言う。
「最終的に、作者を脅しておけばそういうことは無いんだな!?」
「私はいいけど、もし脅したら作品の中から消去されるか、作品内でひどい目にあうよ?」
「その時は主人公不在によりこの小説は終わります」
「そんなわけ無いでしょ。存在価値が無い人が一人や二人いなくなったところで何も変わらない。それに主人公が死んでもやってる小説なんて結構あるから」
くっ………。と、唇を噛み締めるカイト。そして、悩みに悩んで頭の上に電球がでて光った。
「必殺!土下座」
「これで許してやってください」
頭の上の電球にツッコまないソラであった。