4月2日 ゲームネーム
俺は目が覚めたら見知らぬ場所にいた。そこは、太陽を遮るやうにビルが多く建っており日光が俺を拒絶するように一切当たらない。人々が通りすぎる中、俺は1人ベンチに座っていた。人々は俺の存在かないのように進んでいく。そこは、俺の見知らぬ世界であった。
『ここは………どこだ………』
「は?何言ってんの?バカじゃない?なんで、覚えてないの?記憶消失なの?それとも場所を覚える脳がないのかな?」
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『これから、俺は皆を苦しめてきた魔王を倒しにいこうと思う。もう俺は皆の苦しむ姿を見てられない!苦しい旅になるけど、みんなついてきてくれ。俺は伝説の勇者なのだ。ここで、やめたら勇者じゃねぇ!』
男は剣を持っている右腕を太陽に向かって高々と掲げた。それは、まさしく誰が見てもかっこいいと思うものだろう。
「ださ!てか、きもすぎだよ!なんなの!しかも、『苦しい旅になるからぁ~、みんなつぃてきてぇくれぇ』てのも、キモいね。それと、なんで剣を上げたの?あげる必要なかったよね?ただ、かっこいいってことであげてるだけだよね。そう思ってることが、ほんとキモいよね。なんでこうキモく感じるのかな?あ、名前がカイトだからか!だから、全ての行動・言動がキモく感じたのか!」
「この世の全てのカイトって名前の人に謝れ!それに俺を慰めて!でも、俺がキモがられる理由って名前だったのかよ!?名前変えようかな………」
『この日をきっかけに伝説の勇者カイトの世界を救う冒険の始まりであった。のちにこの日のことを【伝説の勇者カイト誕生日】と言われた』
「伝説の勇者(笑)か」
「かっこいい台詞が(笑)だけで台無しだから!その一言でムードが台無しだから!」
「それに【伝説の勇者カイトの誕生日】ってネーミングセンス無さすぎ!もっといいのなかったの?ね、伝説の勇者(笑)カイト?」
「誰が伝説の勇者(笑)だよ!そんな名前決めたのは俺じゃねぇよ!あと、(笑)はつけるな!」
そしてカイトは呆れながら言った。
「そろそろゲームの主人公の名前をカイト以外にしないか?なんで全ての主人公を俺の名前にするんだよ?」
「はぁ?何も分かってないね。ここまでくると感心するよ?私は身近な人をゲームの主人公にしてバカにしてるだけ」
「それがいけないんだよ!使われた人の身になれよ!」
「てへっ☆でも、安心して!兄ちゃんの名前しか使ってないから!」
「何が安心してだよ!俺の名前なら良いのか?駄目でしょ!まるで俺が汚されているように思うからやめなさい!」
「は?汚すためにこの名前にしてるんだから!この名前以外にしたら意味ないでしょ!」
「つまりソラがゲームする度に俺はバカにされるのか!?それはたまったもんじゃないぞ!プライバシーの侵害だよ!」
「え?そんなもんないよ?だって人権がないんだから無いに決まってる」
「人権が無いの俺ぇぇええ」
ソラは、俺と会話しながらゲームを続けていく。その速度は相当なもので留まることをしらない!ものすごいスピードで進んでいく。でもそこで、RPGをプレイするものなら殆どの人がやると言ってもいいことが起こった。それは────
『カイトは力尽きた』
主人公が力尽きること。ソラはこの事を待ってたかの様に、カイトの方向いてにやっと笑いこう言った。
「………ふふっ………こんな奴死ねばいい………」
「あれゲームでだからな!俺が実際死んだ訳じゃないからな!でも、本気じゃないよな!?」
「本気だよ!もう、二酸化炭素を無駄に排出してる有機物だから」
「ねぇ、俺は何をしたの?何もしてないよね?なのに、この言われよう酷くね?」
「あ、さっき言ったのはゲームのカイトについてだから!お兄ちゃんとは違うから」
「分かってるけど名前が同じなだよ!伝説の勇者カイトに感情移入してしまうんだよ!」
「あら、本当だわ。名前が同じとは偶然ですね」
「おい、わざとらしいぞ!絶対偶然じゃないだろ!」
ゲームを進めていくと、そこには驚きを隠せないほど不思議な文字が現れたのであった。
『カイトはゴミと化した』
「どうやったら勇者がゴミになるんだよおおおおお!!」
「……よし……」
「喜んでんじゃねぇ!!もう、このゲームはクソゲーだ!」
久しぶりにゲームがやりたいカイトであった。