プロローグ
タイトルを変えての投稿。
今回は長い間を開ける事なく完結させたいなぁ……。
ある小さな家で、幼い男の子は寝付けづにグズっていた。
「お母さん、ご本読んでよ」
そう言われた女性、この男の子の母はクスっと微笑んで本棚から絵本を手に取り、読み聞かせた。
「むかーしむかし、男の冒険家がいました。
彼は神様のいる世界に行ける扉があると信じて冒険をしていました。
長いながーい時間をかけて、彼は神様のいる世界に辿り着きました。
すると神様は、ここまで辿り着いた彼に驚いて、褒め称えました。
そのご褒美に神様は、とても強い力を与えました。
彼は大喜びして人間のいる世界へ戻ると早速力を使いました。
その力は本当に強大で、腕を振ったら嵐が起きたりしました。
そんな力を得た彼は、いつしかある事を思うようになりました。
世界を支配してしまおう。
その事を知った人々は怯えて家から出なくなりました。
この世界にある国全てが力を合わせて男を止めようとしますが、彼は神様から貰った力を使っていて歯が立ちません。
誰もがこの世の終わりを想像していました。
そんな中、たった一人の若者が立ち上がりました。
若者は男に打ち勝つ為に、精霊達の力をその体に宿して戦い、遂に勝ったのです。
しかしトドメを指す事は出来ず、逃げられてしまいました。
神様は、男の逃げた何もない世界に鍵をかけて出れなくしてしまいました。
その後、若者は神様から祝福とお礼を貰い、英雄として語り継がれていくようになりましたとさ。
めでたし、めでたし。って……」
母が読んだのは伝説の英雄の話。
しかし途中で満足したのか、男の子は既に夢の中へと旅立っていた。
「ふふっ……」
母は愛おしい我が子を見守るように、聖母と形容しようとも劣らない慈しみの微笑みを向けて、頬へキスをした。
願わくば、この幸せが続けば……。
そう胸の中で思いながら、
「ルロイ……私の可愛いルロイ……」
そう呟いて、愛子のルロイと共に微睡みの中へと自分を委ねた。