「転」小説
一話「小説家と自殺」
ある小説家が自殺について考える。
焼身自殺・入水自殺。
飛び込み自殺・飛び降り自殺・飛び乗り自殺。
首吊り自殺・首折自殺・首ひねり自殺・寝違え自殺。
服毒自殺・服薬自殺・服焼く自殺・服焼かない自殺・ふく……。
小説家は結局、自分の語彙のなささに自殺はできなかった。
二羽「男と女」
男と女がいる。
男は言った「SEXをしよう」。
女は答えた「SEXはしない」。
男は言った「キスをしよう」。
女は答えた「キスはしない」。
男は言った「手をつなごう」。
女は言った「手はつながない」。
男は言った「話をしよう」。
女は当然、何も答えない。
三輪「幽霊」
「やい、貴様は幽霊を見た事があるらしいな」
「はい、そうです」
「それは、女だったか男だったか?」
「女でした」
「ほう、それは若かったか年をとっていたか?」
「若かったです」
「ほほう、それは美人だったかそうでなかったか?」
「美人でした」
「ちょっと、すいません。あなた。その男はうそつきですよ」
「む?貴様は誰だ?」
「私は人生の最期を迎える瞬間、その男のそばにいたものです」
その人間は年老いた醜い顔の男で、足がなかった。
四環「学者」
数学者が有と無について考える。
物理学者が時間と空間について考える。
文学者が人間と歴史について考える。
哲学者はモンスターハンターをやっている。
五把「レンジャー」
「赤レンジャー!」…情熱の赤・正義の炎を燃やす主役のレッド。
「青レンジャー!」…冷静の青・静寂の貴公子ブルー。
「緑レンジャー!」…創生の緑・生命のほとばしる息吹グリーン。
「黄レンジャー!」…太陽の黄・輝かしい明るさ誇るイエロー。
「桃レンジャー!」…紹介内容が18禁に抵触しますのでお見せする事ができません。
六琶「地震」
地震が起きた。
村人達が多く死んだ。
軍人さん達が怪我人の救出に向かった。
都会から義勇軍が多く生まれた。
企業家達は大量に募金をした。
電力会社の社長が土下座をした。
官僚達はそれをTVで見ながら鼻くそをほじった。
七倭「侍」
一番強い侍を考えてみよう。
刀を持った侍。
槍を持った侍。
弓を持った侍。
防具を持った侍。
馬に乗った侍。
拳法を使える侍。
憲法を使える侍。
八和「ロボット」
天才科学者がロボットを作り出した。
一体目は目が見えるロボット。
二体目は耳が聞こえるロボット。
三体目は口がきけるロボット。
四体目は腕が使えるロボット。
五体目は足が使えるロボット。
六体目は計算ができるロボット。
七体目は心が通じ合えるロボット。
そして八体目は何もできないロボットを作り、その後自殺した。
九吾「動物」
周りにいる人たちを動物に例えてみよう。
君はマイペースだからネコだニャン。
君は律儀だからイヌだワン。
君は走るのが速いから馬だヒヒン。
君は泳ぐのがうまいから魚だギョ。
君は力が強いからゴリラだウホ。
君は肌が黒いからカラスだカァー。
君は強くてたくましいからライオンだガオー。
君はびくびくとこわがりだからウサギだピョン。
君はのんびり屋さんだからゾウだ( )←勇気のあるものは空欄を埋めよ。
十我「神」
神とは常に人にとって都合の良い存在である。
神について少し考えてみよう。
力を司る神。
水を司る神。
火を司る神。
土を司る神。
風を司る神。
生命を司る神。
時間を司る神。
空間を司る神。
宇宙を司る神。
そして人間が概念を構築できなくなった時、全ての神は死んだ。
小説家になろうとしている奴はあきらめて総理大臣にでもなれ。