昼・防御・小説
空には一片の雲もない休日、本日は執行ミーティングが執り行なわれる予定だった。
だいたい人と会う時は、朝はヨーグルトかバナナで胃袋に軽くジャブを与える程度。
昼には大抵学食で、その同期の連中と食事を済ませるからだ。
「うぃーっす」
いつも通りドアノブに手を当て勢い良く扉を開けると、そこに作業中の一人の青年がいた。
ノーネクタイのフォーマルなスーツ姿。
僕はこの人を知らない。
先輩だろうか。
僕が入学前の創作部のOBかもしれない。
職員だろうか。
たまに来る備品の整理の関係で、プリンターでも新調に来てくれたのかもしれない。
憶測ははっきりしないまま、彼はこちらを向いた。
「よぉ」
僕はすかさず防御の体勢をとろうとした。
伏し目がちに、ども、と返事をした。
まだ、来てねぇな、彼奴等。
つまり、俺はこの見知らぬ男と二人きりになってしまったと。
こうなれば話は早い。
何か…セロハンとか糊とか、部室から借りてくる『フリ』をしてさっさと一時撤退。
已むを得ない。
目の前の長机の上に散乱している文房具の中からスティック糊を鞄の中に押し込み、踵を返す。
「おいおい、折角だし、飯いかね?昼だしよ」
何言ってんだコイツ。
冗談はたいがいにせぇや。
「あ…そうっすね、そろそろそんな時間でしたね…」
ヤベェ、この受け答えで断れないフラグも立つかもしれん。
石橋を叩いて渡る作戦、発動だ。
「実は俺、今日、半年前に送ったBFライトノベル大賞の最終選考作が発表される日なんですっっ!!それで、実は、昨日から緊張の余り吐き気がして食事が喉を通らなくて…今日の14時なんすけど、そわそわしちゃって…そ、そんな事で、飯は…え、遠慮しときますっ」
甘かった。
「そういう時は、飯はちゃんと食わないといかんぜよ」
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